第32話 ショタアスが来た!!
ゴブリンの集落を殲滅して数日が過ぎた。
ヒギンスさんの手料理は非常に
俺とアスカは、ここ数日何をしていたかというと、PAポーションの量産のための段取りをして、必要な薬草や資材を集めていたのだ。
まず、見本のPAポーションを、10本ばかり中級錬金セットで作ってみた。正確にはアスカさんに作っていただきました。俺は収納庫から材料を取り出してアスカに渡しただけです。すみませんでした。
出来たのは、「PAポーション、 ランク2」
PAが二十回復。売っていたPAポーションよりもやはり高品質だ。
次に、商業ギルドのリストさんと交渉し、PAポーションが出来たら引き取ってもらうようお願いした。見本を見せたら、すぐに了承してくれた。
今回
ついでに、PAポーション用のポーション瓶と蓋を
次に、まとまった量のポーションを中断せずに作るため、素材となる薬草を集めた。主に、アスカさんが。
今度は駅馬車の
昨日、商業ギルドに頼んでいた資材を受け取っているので、今日から本格的に、PAポーションを作ろうと思う。
「材料の薬草は何だっけかな?」
「PAポーションの材料は、先日言ったとおり、純水と
「そう、純水と
俺は、黄躁草を二十本、紫棘草を十本、青葉草四十本収納庫から取り出して、作業台の上に置く。
「純水製造器からこのようにビーカー一杯分の純水を出します」
ビーカーに入った純水を錬金釜にまんべんなく注いでいる。
「錬金釜は一応水洗いしていますが、純水で仕上げに水洗いします。汚れた水は錬金釜の底のバルブを開けて排出し、排出し終ったならばバルブを閉めたことを確認します。次はポーション作成に必要な純水を純水製造器からこのように直接、錬金釜に注ぎます」
そういって、純水製造器の
「それから純水製造器のボタンを押し、純水が錬金釜に必要量
まず、青葉草を全部右端のスリットの中に入れます。入れ方は適当でかまいません。入れ終えたら錬金釜の1と書いてあるボタンを押します。このように錬金釜が軽く振動し始めます。十秒後、1のボタンをもう一度押して動きを止めます。
次に、中央のスリットに黄躁草を全部入れます。あとは、青葉草の時と同じようにします。こちらは量が少ないので、八秒動かします。
最後に、紫棘草を左端のスリットに。これも先ほどと同じです。時間は五秒です。
ここまでで、材料の準備はできました。後は錬金釜の盤面で一番大きなボタンを押して、ポーションが完成するのを待ちます。
十分ほどそのまま待っていますと、液に粘り気が出てきます。液の色も青みがかります。
……
この粘り気とこの色ですね。これでPAポーション完成です。最後に先ほどのボタンを押して反応を止めます。
こんなところです。
では、さっそく、ポーション瓶に入れますので、鑑定お願いします」
そう言って、アスカは専用の大型スポイトで出来上がったポーションをポーション瓶に注ぎ、俺に手渡す。
どれどれ「PAポーション、 ランク2」 一本、PAが十八回復。良いじゃないか。
錬金釜の下にあいている取り出し口を開き、下に置いた大型瓶にポーションを移す。一つで十リットルだったので大型瓶二本分のポーション二十リットルが完成した。鮮度?が落ちないようすぐに収納しておく。
後は錬金釜の中にある薬草の残りかすを洗い流し、新しい魔石に入れ替え、再度同じ工程でポーションを作る。
再作成二回で、全部で六十リットル、ポーション瓶千二百本分のPAポーションが完成した。時間にして一時間。最後は錬金釜を純水で洗って収納。
これから、
アスカが並べられた千本のポーション瓶の中にスポイトでPAポーションを注ぎ、俺が蝋付け機を使って瓶の蓋をしていく。
だいたい五秒で一本、全部で一時間半程度かかった。
ふー。さすがに疲れた。当然アスカさんは何ともない顔をしている。
空になった大型瓶を純水で洗い、ポーションの残った瓶とともに収納し作業終了。スポイトも純水できれいに洗って収納。
蝋付け機の方は皿の上にまだ蝋が少し残っていたが、そのまま収納した。とくに問題はないだろう。
昼までにまだ時間があるので、休憩。
「アスカ、ちょっと休憩しよう。おーい、シャーリー、お茶を入れてくれるか。ヒギンスさんもお茶にしましょう」
「はーい。ご主人さま」
台所からシャーリーの返事が聞こえて来た。彼女もだいぶ慣れて来たな。
四人で、食堂でお茶をして、しばらく
「ポーション瓶が千本もあればいいかなと思ってたけど、すぐに使っちゃったな。今度の注文は五千本いっとく?」
「そうですね。あまり多くポーションを
「そうだな。それじゃあ、これからひとっ走りして注文してくるとするか。一人でもいいんだけど、アスカは付いて来るんだよな」
「当然です」
「じゃあ、昼までにできたPAポーションを届けて瓶を注文してくる。ちゃっちゃと済ませてしまおう。お茶ごちそうさん」
今日もまた、ショタアスコンビがキルンの街をひた走る。道行く人にぶつかりそうになっても決してぶつからず器用によけてゆく、その姿は、
「ショタアスが来た!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます