第13話 昇格しちゃった
今の騒ぎで酒場にいる連中が全員俺の方を見てるじゃないか。
その連中の方に体を向けると全員目を
付き合ってもらったさっきのおっさんたちには悪いが、とりあえずテンプレを経験できて大満足だ。金を頂くのはテンプレじゃあない。はいそうですか。
受付カウンターの前には、さっきまで数人並んでいたが、俺が近づくと順番を譲ってくれた。なんだ良い人たちばかりでここはいいところじゃないか。
カウンターの向こうで受付をしているのは、胸の大き目の美人のお姉さんだった。だからって、ここに並んだわけじゃないぞ。
「冒険者ギルドにようこそ。どのようなご用件でしょうか?」
お姉さんの
「冒険者ギルドに登録を。俺と後ろの二名で」
「冒険者登録ですね。こちらの用紙に必要事項をおきゃきください。お書きください」
渡された用紙に必要事項を書き込む。
名前:ショウタ
生年月日:H20年5月8日(現在十六歳)
種族:ヒト族
出身:ニホン
戦闘スタイル:前衛、接近戦。後衛、遠距離攻撃。なんでも可。
名前:アスカ
生年月日:H20年5月8日(現在十六歳)
種族:ヒト族
出身:キルン
戦闘スタイル:前衛、接近戦。後衛、遠距離攻撃。なんでも可。
二人分適当に書いて受付のお姉さんに渡した。何か聞いてくるかと思ったが何も言われなかった。あんなのでも
「ギルド証ができ上がるまで、しばらくお待ちください。その間に、ギルドでの注意事項をご説明します」
……。
注意事項は、まあ、常識の範囲?または、テンプレ?そんなもんだった。
「以上で、注意事項の説明は終わります。何かご質問は?」
黙って首を横に振る。
「こちらがギルド証になります。無くさないように
「現在のギルドランクはお二人ともGですので、一つ上のFランクの依頼まで受注できます。依頼を期限内に達成できない場合は違約金等も発生しますので、十分に余裕を持って達成可能と思われる依頼を受注することをお勧めします」
「説明ありがとう」
お礼をいうと、お姉さんは目を丸くしていた。社会人としてサービスを受けたらお礼を言うのは当然だろう。
「さっそくなんだけど、この街に来る途中でオオカミを
「オオカミですと
「ありがとう」
……
言われた買取カウンターにまわり、
「すみません、オオカミの買取りをお願いしたいんですけど?」
買取カウンターの奥の方からバンダナを巻いたごっついおっさんが出てきた。
「見ない顔だな、新顔か? オオカミの買取りは、状態にもよるから出してみ。ああ、外にあるのか、裏の方か? 新入りのGランクでオオカミを
「ありがとうございます。ここに持ってきてるんで、いまそこに出します」
『排出』
「アイテムバッグ持ちか? 何だこの容量は? こんなのが入る容量には驚くけど、驚くのはそこじゃなくて、なんだ? こいつらオオカミじゃなくて灰色オオカミじゃないか。それにこのでかいのは
しかも、スパっとしたこの切り口は何だ? どうなってるんだ、こりゃ。首の他にどこにも傷がねえ。後ろの姉ちゃんと二人で
「いや、
「なにー? まあいい。今
「はい。それでお願いします」
……。
「こっちにサインしてくれるか? そこに、そうだ。
灰色オオカミ、 五体。 状態: 優良。 一体当たり銀貨八枚
魔狼、 一体。 状態: 優良。 一体当たり金貨三枚
合計 金貨三枚と銀貨四十枚 確認:オスカー 受け取り:ショウタ
「この紙を支払いカウンターに出せば金が出る。支払いカウンターは、受付カウンターの一番左だ。」
……
「金貨三枚と銀貨四十枚。あとこの紙を持って受付カウンターに行きな。信じられないが、今Gランクだから二つくらいランクアップすると思うぞ」
かなり稼げたみたいだ。これだけあれば、すぐに金の延べ棒を売らなくてもよさそうだ。
……
今は最初のお姉さんのカウンター。
「Eランクへのランクアップおめでとうございます。これがお二人の新しいギルド証です」
信じられないといった顔をするなよ。いや、信じろよ。
古くはないが古いギルド証を渡し、新しいギルド証をもらう。最初のは木製だったが今度のは銅製のようだ。
「お二人が
「場所は覚えてます。地図かなんかありますか? ……、
ええと、確かこのあたりです」
お姉さんが取り出したキルン周辺の
「ずいぶん街から近い場所だったんですね。ありがとうございます。この情報は、ギルド
「よろしく。
それじゃ、アスカ行こうか」
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