35.私って影薄い?(Side:リリシェラ)
私、理紗……いや、リリシェラは今、モーレツに悩んでおります。
ひょっとして、私はここのところ存在感が薄いのじゃないかと。
何せオリエルとかいう子が現れたおかげで、お兄ちゃ……いや、ユーキアの意識はそっちに集中ちゃっているっぽい。いや、決して彼女の事をプラスの方向に見ている訳じゃないって事は分かっているんだけど、ユーキアが私の事を考える脳みその隙間って言うか、時間っていうかが明らかに減っているのは間違いないんだよね。
オリエルは登下校時を含め、学園でも「ストーカーかっ!」ってくらいに「兄さん兄さん」と絡んでくるから、私はゆっくりとユーキアと話している余裕も無い。
なるべく彼女と接点を持たないようにと考えて行動してるみたいなんだけど、どうもうまくいかないようで……。そうやって彼女への対策を立てるために頭を悩ませているから、ユーキアは私が話しかけても上の空の事が多くなってきている。
とにかく、私にとって彼女は天敵みたいな存在としか言いようがない。
んでもって、私は私で用も無いのに男共が寄って来るので困っている。
無視してもらちが明かないのは分かっているので、面倒くさいながらもいちいち追い払う事にしているんだけど、中学生レベルの年頃の連中相手だと何か色々と調子が狂う訳で……。
うっとうしいから、何か良い言い訳考えないといけないと思うんだけど。前みたいに「婚約者みたいなもの」とか言うと、変に面倒な事になりそうだし……と、悩んでいるところです。
で、話は戻るけど、
じゃあ、下宿ならユーキアと話せるのかと言うと、そうじゃない。私の敵は彼女一人だけではないのだ。
ようやく前世と同じように、お兄ちゃん……いや、ユーキアと同じ屋根の下で暮らせるようになったのはいいんだけど、事あるごとにお邪魔虫が入ってくる。
お邪魔虫……。それはミューリナちゃんだ。
彼女が「兄様!」と言う時、その後にはいちいちハートマークがついている気がする。うん、断言できる。
残念な事に、彼女がいるから下宿でもユーキアと二人の時間なんてほとんど無い。二人になろうとした瞬間に、どこから察知したのか背後から負のオーラが襲ってくるんだよね……。私、そのうちミューリナちゃんに呪い殺されるんじゃないだろうか……。
というのは冗談として、彼女にしてみたら学園に居る間は私達とは別々なわけで、ひとり寂しい思いをしている、というのは分かる。あんまり人付き合い上手じゃなさそうだし。
その分、下宿では一緒に居て甘えたいんだろうというのも理解できる。
でもね、私だって学園で常にユーキアと一緒に居たり話したり出来ている訳じゃないんだよ。ミューリナちゃんの言う「
色々と邪魔されるんだけど、私ってそんなに露骨に分かるほど行動に出てないはずなんだよね。
これでもなるべく好き好き光線出さないように頑張ってるんだよ。どちからというと、少し冷たいくらいの態度をとっている……つもり。
似たような対応をしていた前世だって、お兄ちゃんは気付いてなかったみたいだし。……いや、あの人かなり鈍感っぽいのは分かってるけど。
私にもツンデレ適性があるんならその路線でいいかもしれない。
世の男子はツンデレに萌えるってエミララにも言われたし。……高校時代の友、マミっちが「大概の男はツンデレで落ちる!」って自信満々に言ってたしね。信じてるぜっ、マミっち!
……あれ、マミっちって彼氏いたっけ?
ま、いいや。それは置いといて。
ここ数日、話しかけようとしたところをミューリナちゃんやオリエルに割り込まれて、ユーキアは私に気付いてくれない事が多い気がする。
「リリシェラ……。あなた、このままでいいの?」
なんて、エミララにまでニヤニヤと笑われる始末。
エミララも時々妙な視線をユーキアに送っているから、味方とは言い切れないところがあるんだけど……。
ともかく、学園ではオリエル、下宿ではミューリナちゃんという「禅門の虎、校門のオオカミ」だっけ……いや何か違う? まあいいや。そんな感じの二人に挟まれて私はどうしたら良いのやら……ですよ。
……シエスちゃんは天使だからいいとして、このままじゃ妹としての存在価値をオリエルとミューリナちゃんに奪われちゃうんじゃないかと思う訳で……。
それじゃマズ……く……ないな……?
良く考えたら、私って妹ポジ脱却狙ってたんだよね。
妹じゃない方がいいんだよね……?
ここのところ、微妙な距離感になっちゃってるけど、そもそも私は恋人ポジであるべきであって……。いや……でも、妹として甘えると言うのも捨てがたいという気持ちも確かに有って……。丁度半々が心地よいと言うか……妹ポジの方が気楽でいいというか……。
いやいやいや、色々ダメじゃん、私!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます