第89話 アキトの『精神世界』にて



~~~



「と、言う様なやり取りがあったっスけどねぇ~。」

「ほぉ~ん、懲りん奴だなぁ~。・・・しかし、何度やってもこの“シーン”はカッコいいよなぁ~。“中世編”は、間違いなくカ〇ルが主人公だよなぁ~。」

「“世界一かっこいい両生類”の名は伊達じゃないっスよねぇ~。けど、ワタシはサイ〇スさんも好きなんっスよぉ~。いいっスよねぇ~、男同士の友情っ!」

「そうだなぁ~。ここまで出来た人間もそうはいないし、迷いながらも前に進むグ〇ンも男だよなぁ~。どっちも流石に『勇者』の“称号”を冠するだけあるわ。俺にも、にこれ程頼れる『仲間』達がいれば、もう少し別の『』もあったかもしれんが・・・。」

「まぁまぁ、セレウス様。もう済んだ事っスからっ!それに、今はアキトさん達も居るっスよっ!」

「・・・うむ、そうだなっ!」

「あのぉ~・・・。」


目が覚めたら、僕は“謎の空間”にいた。

まぁ、これに関してはもはやある程度慣れたが、のアルメリア様がセレウス様と仲良く“クロ〇トリガー”やってるんすけど・・・。

どうしよう、この“ゴッドゲーマー”共・・・。( ̄ω ̄;)

いや、僕も“クロ〇トリガー”は名作だと思うけどね?


つか、何か聞き捨てならん内容も聞こえた気がしたが、それよりも、とりあえずツッコミを入れる事にしよう。


「って、何やっとんのじゃ~、この『おっぱい女神チートめがみ』がぁっ~!?アンタ消えたんとちゃうんかっ!!??」

「キャッ・・・!!!???だ、ダメっスよ、アキトさんっ!セ、セレウス様が見てるっスからっ・・・!」


僕がアルメリア様の両肩を掴んで振り向かせると、一瞬驚いたものの、その後彼女はしおらしく恥じらってみせた。

いや、そんな展開じゃないんすけど・・・。(´・ω・`)

まぁ、流石に女神だけあって、その破壊力は半端ないが・・・///。


「な、何を勘違いしとのじゃ~!」

「うむうむ、あんなに小さかったアルメリアの嬢ちゃんも立派になったもんだ。アキト、嬢ちゃんの事、よろしく頼んだぞぉ~っ!」(TДT)

「アンタも何言ってのっ!?」


うんうんと頷くセレウス様。

見た目は青年だが、一応かなりの年長者らしいので、その雰囲気はお父さんか親戚のおじさん染みていた。

しばらく、そんな感じでその場はカオス空間と化すのだったーーー。



・・・



「んで、って何処ですか?」


しばらくして落ち着いた僕は、話を進める事にした。

まぁ、『非常識』には慣れてるからね、おかげさまで。

大変不本意だが、僕自身も周りの人から見たらそう大差ないんだろうけどね。大変不本意なんだが(大事な事なので二度言いました)。


「あれ?覚えてないか?はお前んの俺ん『』だぞ?ルドベキアの嬢ちゃんや、俺ともで会った事あんだろ?」

「あっ・・・、あぁっ~!って僕のだったんですかっ?あれですよね?僕の『個人的無意識』と『普遍的無意識』の『狭間』がどうのってやつ。」

「そそ。元々お前が『限界突破』を果たしてからは、自由ににも来れる様になってたんだけど、意外と自分の『中』には目を向けねぇモンだからなぁ~。それに、お前もディアーナの嬢ちゃんに関わってからは、ますます忙しくなってたからよ。俺も伝えるのは止めといたのよ。」

「ふむふむ。んで?何でにこの女神居んの?アンタ消えたんじゃなかったっけ?」

「アキトさぁ~んっ!久しぶりなのにワタシの扱いがぞんざいじゃないっスかっ!?アレっスかっ?“倦怠期”ってヤツっスかっ??ワタシの身体にはもう飽きたんっスねっ!!??」

「人聞きの悪い事言わんで下さい。僕とアンタはそんな関係じゃないでしょ~がっ!?」

「そんなぁっ~!!家族同然に過ごして来たって言うのに、あんまりな仕打ちっスっ!!!」

「ええい、話が進まんっ!!!」


何だか“キャラ”変わってない、この女神っ!?

そこに、セレウス様が止めに入った。


「これこれ、アルメリアの嬢ちゃん。アキトが困ってるからその辺にしときなさい?」

「はぁ~い。」


うん。

これ、完全にオトンと子供や。

何か、アルメリア様の“キャラ変”の理由が分かった様な気がするわ。


「悪いな、アキト。アルメリアの嬢ちゃんも中々お前が気付いてくれなかったモンだから淋しかったんだわ。以前の様には嬢ちゃんも『現世』に簡単に『顕現』出来なくなっちまったからなぁ~。」

「はぁ・・・。」


曖昧に頷く僕。

いや、そう申されましてもねぇ~・・・。


「んで、僕が今にいる理由と、アルメリア様がにいる理由は何か関係があるんですか?」

「おう、まぁな。」

「本当は、アキトさんが自力で気付いてくれるまで待つつもりだったっスけど、ちょっとが発生しましたので、睡眠中に強制的にに御越し頂いたっス。放っておいたら、大変な事になりそうっスからね。」

「・・・???」


ちょっと真面目モードになってアルメリア様も説明に加わってきた。

なんじゃらほい?


「何ですか?『異世界人地球人』達が攻めてきたんすか?」


僕は思い当たる節を述べてみた。

今現在の僕らの脅威となる存在モノは、客観的に鑑みても『異世界人地球人』達の存在か、『失われし神器ロストテクノロジー』を始めとした『古代魔道文明』の『遺産』。

あるいは、可能性としては低いが、『至高神ハイドラス』の様な『高次』の存在であるところの『神々』ぐらいしか思い当たらない。

まぁ、とは言え、『政治的』や『経済的』な事なら、そうした特殊な『力』を持たない人々も決して油断出来ないんだけどね?


「うぅ~ん、当たらずとも遠からずってトコっスかねぇ~。アキトさんは『』って言葉に聞き覚えはないっスか?」

「『』・・・?」


・・・あれかな?

某煩悩少年が活躍(?)するゴーストをスイープする物語に出てくる某カ〇スなじーさんの助手のアンドロイド的な女の子や、某守銭奴美女の事務所に憑依している存在の事だろーか?


「まぁ、それだけではないっスけど、概ね当たってるっス。『』に造られた『』を持つ存在。『SF』作品なんかでは、割とお馴染みの存在の事っスね。」

「ふむふむ。」


『SF』作品なんかでは、『』が『』を持ち、『人類』に対して反逆するモノも多いな。

それらも、広義の意味では、その『』に分類されるかもしれん。

いや、ちょっと待てよ・・・?


「・・・このタイミングでその話をするって事は、この世界アクエラ、っつか、『古代魔道文明』時代にも、そうした存在が居たって事ですか?」

「半分正解で半分外れっスね。『魔道兵量産計画』。これは、『古代魔道文明』の末期に、『古代人』達が『する為に『計画』し、最終的には『完成』を見ずに『廃棄』、正確には『古代魔道文明』自体が崩壊した為に、『歴史』の彼方に忘れ去られたモノっス。で、その『魔道兵』。言うなれば『ロボット』っスね。を量産するのが目的だった訳っスけど、ただの『魔道兵ロボット』では『神々』に対しては有効ではなかったっスよ。もちろん、『』的には、向こうの世界地球の『最新兵器』をも軽く凌駕する『性能』を持っていましたが、ただの『』では『アストラル界』の住人である『神々』には通用しませんからね。」

「ほぉ~。それはまたスゴい・・・。っつか、『って・・・。一体、何やらかしたんすか、『破壊神セレウス』様?」


じとぉ~っと、僕はセレウス様を見やる。

それに、セレウス様は額に一筋の汗を流しながら目を背けた。


「ま、まぁ、あれだっ!若気の至りってやつだっ・・・!!それに、一応正当な理由もあったからなっ!?・・・一応・・・。」

「ほぉ~ん・・・?」


いや、まぁ、僕も何も全面的に『人間種』の味方って訳でもない。

一応元・おっさんなので、『人間種』の中にも、どうしようもなく救いようのない人達がいるのは知ってるからねぇ~。

おそらく、そうした人達が、何か『神々』の逆鱗に触れる様な余計な事をしたんだろう、・・・多分。

まぁ、しかし、いずれにせよ過去の話だしねぇ~。


「まぁ、そこら辺の過去は『制約』によってワタシ達の口からは語れないので、ご興味があれば、アキトさん自身の手で解き明かしてみて欲しいっス。んで、話を元に戻しますが、もちろん、『精霊』や『妖精(妖怪)』などと言った存在や、『幽霊』・『悪霊』、まぁ、正確には『残留思念』と言った存在なんスけど、の様に、一時的に対処する『手段』は『古代人』達も持っていたっスけど、それを完全に滅する事、あるいは『する、となると話は変わってくるっス。で、その辺の“事情”は割愛しますが、長年の『研究』の結果、『する『手段』の見当を付けたっス。それが、『』。すなわち、『肉体』・『精神』・『霊魂』の『』の事っスね。と、言う結論に至ったっス。まぁ、しかし、その為にはどうしても『』の存在が必要不可欠だったっスよ。もちろん、アキトさんの例にもある様に、『人間種』自身も、その『』に至れば対処は可能なんっスけど、こちらは時間も掛かるし、ほぼ不可能に近いと言う結論に至り、早々に断念したっスけどね。」

「ほうほう。」


まぁ、それはそうだろう。

僕でさえ、アルメリア様の手を借りて、しかも13年以上の時間を費やし、ようやく“レベル500カンスト”に至ったのだ。

更に、そこから『限界突破』の『試練』をクリアして、初めてその『』に至れるのだから、量産が目的なら、時間も手間もコストも掛かり過ぎるわな。


(ちなみに、この世界アクエラには(にも?)、『幽霊』や『悪霊』と言った存在も実際に観測されている。まぁ、『神々』と呼ばれる存在が観測されているのだから、当たり前と言えば当たり前の話なのだが。正確には、アルメリア様も言及した様に、『』、つまり、』ではないのだが、しかし、一般的に見たら大した違いではない。


『霊魂』や『魂』ってのは、以前ルドベキア様やアルメリア様も言及していた様に、『システム』上、『世界』へと『帰化』するから、』は存在し得ない。そうでなければ、『世界』は有史以来の『霊魂』で溢れかえっている筈だからな。ただし、先天的にか後天的にかは知らないが、中には『』が強い者、あるいは『魔素』との親和性が高い者達が存在する。そうした者達が、何らかのを遺して死んだ場合、まぁ、正確にはだけではないのだが、そうした“”が、『世界』に焼き付けられてしまう現象が起こる。具体的には、『写真』がそれに近いイメージだろうか?それが『残留思念』である。


そうした『残留思念』は“想い”の塊であるから、の『常識』や『理性』などは吹っ飛んでいて、“想い”のままに暴走する事がある。また、剥き出しの『精神』や『霊魂』であるから、『物理法則』に縛られない『力』の行使が可能だ。所謂『心霊現象』、『ポルターガイスト』などと呼ばれる現象を引き起こすのである。


そうした『超常的存在』は、ある種、『魔術』や『魔道』、『魔法』とは近しい関係性にあるので、『』でも、十分に対処が可能である。もっとも、完全に『祓う』とか、『浄化』と言った処置をする為には、『』に特化した『特殊能力』が必要になってくるので、今現在のこの世界アクエラの“事情”では難しいのが現状であろう。なぜなら、そうした『力』を持つ者達は、より待遇の良い『魔法使い』や『魔術師』になってしまうからである。『超常的存在』は、それを知る者達にとっては既知の存在モノではあるが、大半の人々達にとっては眉唾な存在でしかないのだから。


と同時に、『神々』と呼ばれる『高次』の存在も、広義の意味ではその『超常的存在』の『カテゴリー』に当てはまるので、それらに対抗するとしたら、『魔法技術』や『』が必須となる。まぁ、エキドラス様の様に、『現世』に『顕現』して『肉体』を持つ存在ならば話は別だが、大抵の『神々』は『アストラル体』しか持たない存在なので、『』が通用しないのである。仮に、一時的に『現世』に『顕現』して『肉体』を持ったとしても、『肉体』を『』しただけでは、『アストラル体』には何のダメージもない。まぁ、『人間種』と『神々』ではレベルが違い過ぎて、並大抵の『使い手』では『肉体』の『』すら困難だろうが。)


「それで、『魔道兵ロボット』の『』に『』を『』、あるいは『宿』と考えた訳ですね?理由は、『魔道兵ロボット』にも、ある程度『魔法技術』を、正確には、『術式』を扱う事は可能だったが、一番重要な『』を扱う事が不可能だったから。まぁ、当然ですけどね。『魔法技術』と違い、『』は、言わば『』。『』を持たない存在モノでは扱い様がない訳ですからねぇ~。しかし、それは難しいのではありませんか?例えば『精霊』や『妖精』を利用するとした場合、かなりのの『素材』を必要とする筈ですから、それらを『』して一つの『』を造り出す事は実質的に不可能の近いでしょう。既存の『』を使う場合も論外です。それには、所謂『幽体離脱』を可能にする必要がありますから、むしろ『幽体離脱それ』が出来るのなら、高い『』の素養を持つ訳ですから、わざわざ危険を犯してまで『魔道兵ロボット』に『宿』必要がない。下手すれば、二度と『肉体』に戻れない可能性もありますからね。まぁ、『人道的観点』を無視すれば、そうした無茶な『実験』をする事もあるかもしれませんが、成功したとしても。長期的に『肉体』と『精神』・『霊魂』を分離してしまうと、自身の『アイデンティティ』とか『ルーツ』が曖昧になってしまう恐れがありますから、高確率で『自我』も崩壊すると思われますので、『』を一切受け付けない『大量破壊兵器』が出来上がるだけです。後は、『遺伝子操作』や『残留思念』を利用する、と言った手法ですけど・・・。(ブツブツ)」

「さ、流石っスね、アキトさん・・・。」

「うむ、無意識的に『普遍的無意識』に『』して限定的にではあるが『情報』を引き出している様だ・・・。もちろん、アキト自身が元からの持っていた『知識』もあるんだろうが、知り得ない『情報』も混ざってるし、多分、この“”の影響だろうな。」

「なるほどぉ~。って、おぉ~いアキトさぁ~んっ!戻ってきてぇっ~!!」

「(ブツブツ)・・・ハッ!・・・えと、何の話でしたっけ?」


何か、今一瞬『』していた様な・・・?


「『』と『魔道兵ロボット』、通称『魔道人形ドール』の話っスよ。で、今アキトさんも言及した様に、それは失敗に終わったと見られていたっスが、最近その『魔道人形ドール』が偶然発見され、ある者の手に落ちたっス。しかも、完全とは言い難いですが、『』を備えた状態でね。」

「えっ!?そ、それってっ・・・!!!」

「そうっス。脅威的な『』を備え、なおかつ『神々』すら滅ぼし得る『兵器』が発見されたって事っスよ。」

「Oh、マジかよ・・・。」


そら大変な事態だわ。

そのある者ってのが何者かは知らないが、そんな『兵器』が悪しき者の手に渡れば厄介な事になる事は間違いない。


「残念ながら、そのある者と言うのは、ニコラウスと言う男で、間違いなく悪しき者の側っスね。以前『ノヴェール家』のジュリアンさんを唆して、アキトさん達に『掃除人ワーカー』達を差し向けさせた張本人っスよ。元々は、『ライアド教』側のアキトさんの『監視者』だったんスけど、その『任務』がつまんないからって言って、アキトさん達を困らせて楽しもうとしていた、どうしようもない男っス。もっとも、アキトさん達の活躍で『掃除人ワーカー』達は返り討ちに遭い、ニコラウス自身もアキトさんの『英雄の因子』の『能力』、『事象起点フラグメイカー』の『力』で身の破滅を迎える筈だったっスけど・・・。悪運の強い事に、もちろんそれ相応の報いは受けたっスけど、偶然逃げ込んだ『ヒーバラエウス公国この国』のとある『遺跡』で、その『魔道人形ドール』と出会って、どうにか一命を取り止めたっスよ。」

「ほぉ、あの件の犯人がねぇ~。」


っつか、サラッと言ったけど、『事象起点フラグメイカー』の『力』凄くない?

実際には、僕はその男と顔も合わせた事もないのに、そんな影響が出るんかい。


「その男が、『ライアド教』と共に再び僕らを狙ってるって事ですか?」

「いえ、その男は、今現在では『至高神ハイドラス』とは敵対する関係にあるっス。と、言うのも、彼が元々備えていた『力』、『魔眼』って言うんスけど、それは稀少性の高い『能力』故に、一時的に行方を眩ませていた彼のもとに、『至高神ハイドラス』の“持ち駒”である、『血の盟約ブラッドコンパクト』のメンバーの一人が派遣されたっスよ。彼を連れ戻す為にね。ただ、その時に彼は『魔道人形ドール』に命じてその『血の盟約ブラッドコンパクト』のメンバーを殺害。それ故、彼と『至高神ハイドラス』は対立する関係になったっスね。もっとも、『至高神ハイドラス』は、その時に確認した『魔道人形ドール』に強い興味を持ち、それを手に入れる為に動き出したっスけど。」

「“内輪揉め”かな?どうせなら、そのまま共倒れしてくれると有り難いんだが・・・。」

「それは無理っスよ。ニコラウスと『至高神ハイドラス』では、“持ち駒”に極端な差があるっスからねぇ~。いくら強力な『兵器』とは言え、『魔道人形ドール』も不完全な状態っスから、十中八九、『魔道人形ドール』は『至高神ハイドラス』の手に渡るでしょうね。『至高神ハイドラス』はこの件で『異世界人地球人』の一人を派遣した様ですし。」

「マジかぁ~。これ以上『ハイドラス派』の『戦力』が増強されるのは避けたいよなぁ~。」


『至高神ハイドラス』に『ハイドラス派』の者達、更に『異世界人地球人』達に『強国』・『ロンベリダム帝国』の後ろ楯・・・。

これだけでも、すでに十分大変なのに、そこに『魔道人形ドール』が加わったら、かなりヤバい事になるんじゃね?


「だから大変な事になりそうって言ったんスよっ!けど、先程の様子から、アキトさんなら問題なくその『魔道人形ドール』の『支配権』を奪取する事が可能だと分かったっスけどね?」

「Why・・・?」


先程の様子?

一瞬『』してたのと関係あるんだろーか?


「こっからは俺が引き継ごう。その『魔道人形ドール』に備えられた『』ってのが、『』の『』なんだ。既存の『人間種』、もちろん、『』や『魔素』に高い親和性を持った奴等に限定されるが、の、『アストラル』の一部を取り込んで成長していくんだな。言うなれば『アストラル版』のセ〇みたいなモンだな。」

「こらこらこらっ!いや、分かり易いけれどもっ!!」


そうした色んな『アストラル』を吸収して、“完全体”、完全な『』の『形』により近くなっていく訳ね?


「しかし、その為には、『』、つまり『アストラル』を『学習』する対象と、『』して、一定時間その者と行動を共にする必要がある。『アストラル』とは複雑怪奇なモノだから、それを取り込み終えるまでには『』で繋がっている必要が生じるからだな。まぁ、言うなれば『魔道兵量産計画』とは、『コンセプト』的には真逆に時間が掛かる事だから、結果的には『魔道兵量産計画』は失敗に終わった訳だな。しかし、仮に今回発見されたその『魔道人形ドール』が『完成』した場合、その『データ』をもとに『アストラル』を『コピー』して、別の『魔道人形ドール』に『』させる事が出来れば、量産は可能だが・・・。まぁ、いずれにせよ、今現在の『技術』では、『魔道人形ドール』を造る事自体不可能な話だから、どちらにせよ結果は変わらないんだけどな。」

「ふむふむ。」


どちらにせよ、そんな『兵器』が量産される事はないって事か。

これは、不幸中の幸いである。

とりあえず、今回発見された『魔道人形ドール』を何とか出来れば、『ハイドラス派』が更に『戦力』を増強する事態は避けられそうだ。


「ところが、話はそう単純でもない。もちろん、お前がニコラウスの野郎から『魔道人形ドール』自体の『支配権』を奪う事は容易なんだが、ハイドラスの奴の『遣い』である『異世界人地球人』にもそれが可能だからだ。もちろん、お前ほどのレベルじゃないがな。と、言うのも、これは『魔道人形ドール』との『』に関わる部分なんだが、その『』、『魔道人形ドール』は常に『』から『』の『』を受ける状態になるんだ。『霊力』、『存在力』、『オーラ』、『気』とか呼ばれるモノから『アストラル』を抽出してるんだな。ここら辺は、彼の『古代魔道文明』と言えど、『アストラル』を完全に解き明かせなかった故だな。まぁ、『アストラル』に関する事は、『世界』の『真理』の一つだから、学問的・体系的に理解する事は難しいだろうし、それも無理はないだろうが。んで、当然そんな事をニコラウスの野郎は知らないから、常に『霊力』なんかを吸われている状態で、野郎の『寿命』は尽きかけているだ。まぁ、何かを得る為には、それ相応の『代償』が必要なのは当然の話だから、これは野郎の自業自得だがな。で、『魔道人形ドール』も常に『アストラル』の『完成』を目指している訳だから、新たなる、しかも、より完全な『アストラル』に惹かれる傾向にある。お前や仲間達、『異世界人地球人』みたいな、な。通常は、それでも『』との『』を優先されるが、お前や俺、『至高神ハイドラス』には、『』が可能だから、強制的に『』を切り離す事が可能だ。」

「なるほど。つまり、『魔道人形ドール』を『ハイドラス派』には渡さない為には、『異世界人地球人』達より先に『魔道人形ドール』の『支配権』を奪うか破壊する必要がある訳ですね?」

「そう言うこった。もっとも、破壊はあまりお薦めしない。と、言うのも、『魔道人形ドール』を破壊した場合、その『』がどうなるか分からないからだ。『』は『異世界人地球人』同様に、元々この世界アクエラに存在しなかった『魂』だから、『世界』にどういう影響を与えるか分からんのだ。」

「ああ~、その問題がありましたねぇ~。ちなみに、僕が仮に『魔道人形ドール』の『支配権』を奪った場合、僕が新たなる『』になるんですよね?」

「その通りだが・・・。ああ、お前が心配している事はないぞ?お前は、すでに『神性』の『』に至っているから、いくら『霊力』を吸われようと一切問題ない。っつか、お前の場合なら、一足飛びに『魔道人形ドール』の『アストラル』が『完成』する事すらありうる。」

「そうですか・・・。しかし、また面倒な事になったモンだなぁ~。」


何か僕、こっちの世界アクエラに来てから、ずっとこっちの世界アクエラの人達の“尻拭い”ばっかしてる感じがするんだが・・・。

気のせいかしら・・・?

いや、僕自身も結構フリーダムにやらかしている自覚は(多少なりとも)あるんだが・・・。


「面倒ついでにもう一つ問題がある。ニコラウスの野郎が、『ヒーバラエウス公国この国』の『政変クーデター』を目論んでいる様なんだ。」

「・・・へっ?ディアーナ公女殿下は無事ですし、『極秘資料』もこちらが握ってますけど・・・?今さら『政変クーデター』なんて、それこそ悪手だと思いますが・・・。」


誰を擁立するにしても、このタイミングでの『政変クーデター』は、疑って下さいと言っている様なモノだ。

『情報戦』はこちらが仕掛けた事だが、それで自暴自棄にでもなったんだろうか?


「いやいや、『政治的』な事はお前もまだまだだな。大衆の心理ってのは、それほどかしこくもないんだぜ?『印象操作』で如何様にも踊らされるモンだからな。ニコラウスが今回擁立しようとしているのは、第二公太子・グスタークなんだが、その為には、障害が二つある。一つは、君主・アンブリオの存在。まぁ、これは、ディアーナの嬢ちゃんの件での“心労”が祟って、放っておいてもいずれ倒れそうだ。まぁ、ニコラウスが“裏”から、少し手を加えているがな。そしてもう一つ。第一公太子・ドルフォロの存在だ。彼は、『主戦派』寄りではあるが、『保守派』であり、“流れ”によっては『主戦派』にも『反戦派』にもなりうるんだが、そうした一種の『日和見主義』を逆に利用されて、『』と内通している『』を『』される事になってる。『国内情勢』の悪化に伴い、自身の『立場』を守る保身を企てたとしてな。それをグスタークが糾弾する事により、ドルフォロの『追放』と『主戦派』の勢いを増幅させるのが狙いだ。後は、速やかにグスタークが『即位』し、そのでっち上げられた『内政干渉』の『報復措置』として、『ロマリア王国』に対して『宣戦布告』する手筈だ。その“流れ”になった時に、ディアーナの嬢ちゃんや『反戦派』が出張ってきたとしても、一度勢い付いた“流れ”を覆すのは難しいだろう。また、『リベラシオン同盟お前ら』に対して根も葉もない“噂”もばら蒔かれる予定だ。人の足を引っ張る事に関しては、ニコラウスはお前より一日の長があるって事だな。」

「ほぉ~、なるほどねぇ~。そのニコラウスと言う男は、中々の『策略家』ですねぇ~。道さえ違えなければ、『参謀』や『ブレーン』として活躍出来たでしょうに・・・。」


いや、もちろん僕の『失策』もあるんだけどね?

アンブリオさんが、それほどまでにディアーナさんを溺愛していた事までは、流石に読み切れなかったわ。

しかし、『ネガティブキャンペーン』は、効果的な手法でもある。

確かにその『策略』なら、『政変クーデター』は成功するかもしれんなぁ。


「おいおい、暢気な事言ってる場合じゃねぇぞ?」

「けど、その『情報』を知った以上対処の方法はいくらでもありますよ。僕には頼りになる仲間達がいますからね。アルメリア様も、その一員になった、って解釈でよろしいですか?」

「あれ?やっぱりお分かりになるっスね。」

「それはそうですよ。アルメリアがに居るって事は、でしょ?」

「まぁ、その通りだ。アルメリアの嬢ちゃんは、お前の『精神修養』と、俺の『神霊力しんれいりょく』を取り戻す為の『サポート役』としてに居るからなぁ。」

「僕の『導き手』として『現世』に居た時も、そうやって『情報』をもたらしてくれましたしね。多分、『世界の記憶アカシックレコード』に『アクセス』して、その『情報』を得たのでしょう?」

「そうっス。まぁ、正確には、『現世』の頃とは違って、アキトさん自身の『精神世界』から直接『アクセス』したんスけどね。はアキトさんの『個人的無意識』と『普遍的無意識』の『狭間』っスから、ワタシ自身の『神霊力しんれいりょく』は必要ないっス。」

「ほぉ~ん。」


まぁ、細かい事はよく分からんが、『神々』にも色々あるのだろう。

セレウス様も、多分『世界の記憶アカシックレコード』に『アクセス』する事は可能なのだろうが、彼は彼の発言から元々『武神』とか『戦神』と言った『闘い』を司る『神』である筈だ。

そう言った意味では、『情報』に関する事は不得手である可能性が高い。

その点アルメリア様はこの世界アクエラの『一級管理神』であるから、『情報処理』はお手の物なのだろう。


「その通りっス。“ペ〇ソナ”の様に『神々』にも得手不得手が存在するっスよ。そうしたアキトさんとセレウス様の『』を埋める為の『サポート役』としてワタシはに居るんス。まぁ、アキトさん自身の『魂の器たましいのうつわ』が大きくなったから可能になったんスけどね。(それに、アキトさんと一緒にいたかったですし///)」

「・・・セレウス様・・・?」(ゴゴゴゴゴッ)

「ぁん?・・・いや、言ってないぞっ!?アルメリアの嬢ちゃんに余計な事はっ!!??」

「ほんとっすかぁ~・・・?」


アルメリア様の“ペ〇ソナ”発言に、僕はギギギッと首を回してセレウス様を見やる。

それにセレウス様は、慌ててかつての邂逅での出来事を話していないと否定した。

それを疑いの目でじとぉ~と眺める僕と必死に弁明するセレウス様。

いやんいやんと身悶えをするアルメリア様。

と、先程と同じ様に、僕の『精神世界』はカオス空間と化すのだったーーー。


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