第24話 クロとヤミの『国盗り物語』 2
「ワンッ、ワンワンッ(僕達、『ボス』争いに参加するよっ!)」
「ガウッ、ガウガウッ(僕らが『魔獣の森』を守るんだっ!)」
「ワォーン、ワウワウッ(おおっ!よくぞ決意してくれた。感謝するぞ、クロ、ヤミ。)」
翌日、大分復調したジンさんに、クロとヤミが宣言する。
「そっか・・・。クロ先輩とヤミ先輩、『シュプール』を離れちまうんスね・・・。」
「って言っても、『白狼』達も『魔獣の森』に住んでるんだから、結構なご近所さんだけどね?」
「しかし、今までの様に気軽には会えないぞ?『人間種』と『魔獣』が馴れ合うのは、不自然だからな。」
「他の『白狼』達にも、示しがつかないしな。」
「まー、だからといって、テキタイするわけじゃないけどねー。」
「互いが互いの『領分』を守っていれば、争いは起きないからな。まぁ、実際には難しい話だが・・・。」
「クロちゃんとヤミちゃんとお別れか~。仕方ないと分かっているけど、淋しいなぁ・・・。」
「まぁまぁ皆、笑って送り出してやろうよ。僕の弟分達の新たな門出だからね。」
「クロちゃん、ヤミちゃん、身体には気を付けるのよ~。」
「「「クロさん、ヤミさん、お元気で~!!!」」」
「「「ワフゥ~(あの~、その~・・・。)」」」
クロ、ヤミ、ジンさんは、何だか気まずい雰囲気である。
まぁ、当然だよね。
若者達がこれから旅立ちます、って格好つけたいシーンで、両親や親戚一同が皆で見送りに来ちゃった、みたいな感じだし。
ぶっちゃけ、相当恥ずかしいと思う。
ジンさんも、相当気まずそうだ。
「ワフゥッ。ワォーン、ワウワウッ(こほん。まぁ、何だな。良い仲間達じゃないか・・・?)」
「ワンッ、ワンワンッ(まぁ、そうなんだけどね・・・?)」
「ガウッ、ガウガウッ(は、恥ずかしい・・・。)」
「それはそうとジンさん。『白狼』達はどこで『ボス』争いをしているのですか?」
「ワォーン、ワンワンッ(いやいや、アキト殿。教えるのは別に構わないが、ついて来られたら困りますぞ?)」
「それは分かっていますよ。でも、遠くから様子を見るくらいなら、別に構わないでしょう?」
「ワフゥッ、ワウワウッ(まぁ、その程度ならば・・・。)」
しぶしぶとジンさんは了承する。
まぁ、この反応もある意味当然なのだが。
先程ティーネ達も言っていたが、『モンスター』や『魔獣』や『人間種』は、
『人間種』同士でもそう言った領分を侵し、争う事があるのだから、『モンスター』や『魔獣』が、自らの
高い知能を持つ『白狼』達は、プライドも高いし、警戒心も強いので、『人間種』と馴れ合う事は基本的に無い。
これから、『ボス』争いに参戦する事を決めたクロとヤミに、僕らがついて行ってしまうと、他の者達に示しがつかないのだ。
つまり、ここで、クロとヤミとはお別れになるのだ。
「ワンッ、ワンワンッ(お前達、アキトくんの事、任せたぞっ!)」
「ガウッ、ガウガウッ(アルメリア様の事は、・・・まぁ、適当に頼むぞっ!)」
「ちょっ!」
「ああっ、任せてくれよ、クロ先輩、ヤミ先輩っ!」
「我ら『エルフ族』は、
「クロ殿とヤミ殿の代わりを、立派に努めてみせますよ。」
「どうか、ご心配なく。」
「アルメリアさまのこともー、テキトーにわかったよー。」
「クロ殿、ヤミ殿。ご武運を。」
良い顔で頷き合う、クロとヤミ、そして
まぁ、後ろでは、アルメリア様がいじけているのだが・・・。
「ワンッ、ワンワンッ(アイシャさん、アキトくんと仲良くねっ!)」
「ガウッ、ガウガウッ(アルメリア様の事は、あまり甘やかさないでね。)」
「クロちゃん、ヤミちゃん。元気でね~。」
感動的に抱き合うクロとヤミとアイシャさん。
アルメリア様は、以下略。
「ワンッ、ワンワンッ(アルマ、エーヴァ、スヴィ、君達も、元気でね。)」
「ガウッ、ガウガウッ(生きていれば、良い事もあるよ。アキトくんに出会えたのは、幸運だったね。僕らも、そうだったから・・・。)」
「クロさん、ヤミさん。短い間でしたが、お世話になりました。」
「私達も、前を向いて生きていこうと思いますっ!」
「どうか、お元気で・・・。」
アルマ達を慰める様に、クロとヤミは彼女達の手を優しく舐めた。
彼女達も、くすぐったそうにしつつも、それを受け入れ、ぎこちなく笑顔を浮かべるのだった。
「「ワンッ、ワンワンッ(・・・アキトくん、アルメリア様、僕ら行きますっ!)」」
「・・・ああ、行ってこいっ!」
「
「「ワンッ、ワンワンッ(はいっ、お世話になりましたっ!!)」」
僕らとクロとヤミは、特に触れ合うでもなく、無言で視線を交わす。
僕が大きく頷くと、2匹は、ワォーンッと遠吠えで応えた。
少しすると2匹は背を向け、ジンさんと共に、森の深部に走り去って行ったのだったーーー。
◇◆◇
『魔獣の森』の深部には、『白狼』達の『聖地』が存在する。
この場所は、『龍脈』のポイント『龍穴』のひとつであり、『祖霊』の眠る大樹が鎮座している場所だ。
歴代の『ボス』達の世代交代を見守ってきた地であり、今回も『ボス』の『座』を狙い、有力な雄達がぞくぞくと集結していた。
ジンは、確かに『魔獣の森』に住む『白狼』達をまとめ上げ、大きな『群れ』を統治していたが、『狩り』などの関係上、『群れ』はいくつかの『グループ』に別れていた。
その『グループ』の『リーダー』達が、今回『ボス』の『座』を争う事になった。
『モンスター』や『魔獣』と言うのは、『人間種』と違い、強者が『トップ』になるのが普通だ。
『グループ』内でも、『リーダー』争いがあり、勝ち残った者達が、この『聖地』で『ボス』争いに参戦するのだった。
『グループ』は、東西南北と中心部の5つがあり、5匹の『リーダー』達が、今『聖地』で顔を揃えている。
その内の1匹が、焦れた様に口を開いた。
「ワンッ、ワンワンッ(・・・『先代』は、まだ戻らんのかっ!?)」
「ワウッ、ワウワウッ(落ち着け、ノルド。それに、まだ『ボス』はあの方だ。『先代』ではないぞ。)」
「ワンッ、ワンワンッ(細けぇ事はいーんだよっ、ズュード。俺が新たな『ボス』になるんだから、『先代』になんだろーがっ!)」
「ガウッ、ガウガウッ(聞き捨てならんな、ノルドっ。我らを差し置いて、もう『ボス』になった気でいるのか?)」
「ワォーン、ガウガウッ(ヴェスト、気にするな。強者は吠える者ではない。示す者だろ?)」
「ワォーン、ワンワンッ(オストの言う通りだな。今は、大人しく『ボス』の帰りを待とう。『祖霊』の御告げを聞いて、行動している様だ。しかし、もうじき戻るだろう。)」
「ワンッ、ワンワンッ(へっ!余裕ぶちかましやがってよ、オスト、メディオ。しっかし、『先代』は世代交代を恐れて逃げたんじゃねーのっ!?『祖霊』の御告げって何だよっ!?『祖霊』なんて、眉唾モンだぜっ!?)」
「ワォーン、ガウガウッ(弱い『
「ワンッ、ワンワンッ(あっ?テメェ、なめてんのか、オストっ!)」
「ワウッ、ワウワウッ(だから、落ち着け、ノルドっ!『ボス』争いの前に戦り合っても意味ないだろうが。)」
5匹は、不毛な言い争いに発展しそうになっていた。
北の『グループ』の『リーダー』、ノルド。
彼は、この5匹の中では一番歳若く、急成長を遂げたが、まだまだ精神的に未熟な面の目立つ雄だ。
南の『グループ』の『リーダー』、ズュード。
彼は、この5匹の中では一番年上で、ジンの古参の部下である。
西の『グループ』の『リーダー』、ヴェスト。
そして、東の『グループ』の『リーダー』、オストは、中堅の雄で、知能、強さを併せ持った実力者だ。
そして、中央の『グループ』の『リーダー』、メディオ。
『ボス』・ジンの直系の子どもで、最も『ボス』の『座』に近いと言われる雄だ。
5匹の周囲には、『ボス』の世代交代を見届ける為、それぞれの『グループ』の取り巻きが詰め掛けていた。
「ワンッ、ワンワンッ(何だか、大変だね~、ジンさん。)」
「ガウッ、ガウガウッ(確かに、ジンさんの後継者としては、かな~り頼りないよね~)」
「ワォーン、ワウワウッ(・・・。返す言葉もない。)」
そこに、クロとヤミを伴ったジンが帰還した。
『白狼』達は、クロとヤミを認識すると、一気にざわついた。
「ワォーン、ワォーン(黒い『白狼』だぞっ!)」
「アォーン、アォーン(雌と子どもを隠せっ!喰われるぞっ!)」
「ワンッ、ワンワンッ(そこまで過剰に反応されると傷付くんだけど・・・。)」
「ガウッ、ガウガウッ(まぁ、『迷信』ってこんなモンじゃない?)」
輝く光沢を放つ黒い毛皮に覆われた2匹は、周囲の警戒心もどこ吹く風の様に、のんびりと堂々と歩を進めていた。
「グルルル、ワンワンッ(何だっ、テメェらはっ!)」
「グルルル、ワウワウッ(『ボス』っ!なぜ『黒狼』を連れて来たのですかっ!?)」
『ワォーンッ!ワォーンッ!!』
ジンは、『威圧』と『遠吠え』を放ち、周囲の混乱を一喝した。
シンッ、と静まりかえった『聖地』に、ジンの言葉が木霊する。
「ワォーン、ワウワウッ(この者達も、『ボス』争いに参戦させるっ!『祖霊』のご意志だっ!)」
「ガウッ、ガウガウッ(な、何を言ってるんですかっ!?)」
「ワォーン、ガウガウッ(落ち着け、ヴェストっ!しかし、『ボス』、急に言われても、皆納得しないですよ?)」
「ワォーン、ワンワンッ(オストの言う通りです、『ボス』!せめて、『力』を示して貰わなければっ!)」
「ワォーン、ワウワウッ(やはり、お主らにも
「ワンッ、ワンワンッ(へっ、知れた事っ!おいっ、オメーらっ!コイツらを追っ払えっ!・・・構わねぇよな?)」
「ワォーン、ワウワウッ(クロ、ヤミ・・・。)」
「ワンワンッ、ワンワンッ(ん?別に良いよ?)」
「ガウガウッ、ガウガウッ(コイツらをやっつければ良いんでしょ?)」
『リーダー』達の取り巻きの雄達が、クロとヤミを取り囲む。
緊張感のない2匹に、ノルドは激昂する。
「ワンッ、ワンワンッ(かまわんっ!やっちまえっ!)」
「「「「「「「「「「ワォーン(応っ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」
「ワンッ、ワンワンッ(じゃあ、やりますかっ!)」
「ガウッ、ガウガウッ(ジンさんは、ちょっと離れていてねっ?)」
ジンを離脱させると、2匹は殺到する『白狼』達を迎え撃つのだった。
◇◆◇
「よっと、これなら見えるかな?こんな使い方した事ないけど、意外といけるモンだな・・・。」
「おおっ、見えるぜっ、
「凄いモノだな、『結界術』と『魔法技術』の応用とは言うのは。」
「ああ。我らも視力は良い方だが、ここまで鮮明には見えないからな。」
「ジン殿との約束で、これ以上は近寄れないしな。」
「まぁ、でもコエまではきこえないけどねー。きこえてもナニいってるかまではわかんないけどー。」
「でも、
「そうでもないよ?それに、新しい『術式』の実験にもなるから、これはこれで面白いし・・・。」
「あ~、アキトったら『研究モード』に入ってるね・・・。ティーネ、
「き、嫌われるっ!?・・・き、気を付けます。」
僕らは今、『白狼』達の『聖地』と呼ばれる所から、少し離れた場所にいた。
ジンさんに場所を聞いたのだが、あまり近寄ると『
そこで、少し離れた場所から、様子を見ているのだった。
クロとヤミの実力から言えば、心配する必要は無いのだが、そこはそれ。
僕も多少は気になるしね?
まぁ、この件の決着が着くまでは観戦するけど、その後は彼らの領分だ。
僕らが気にする事じゃないし、口出しする事でもない。
とは言っても、ここからでは、遠くてろくに様子も見れない。
そんな訳で、僕は、『テレスコープ』の応用で、『結界術』に『映像』を『投影』して見る事にしたのだった。
『テレスコープ』とは、水系術式で、光の屈折を利用した『遠見』の『魔法』である。
その性質上、僕の見える範囲しか『遠見』は使えないが(死角になる場所や、まったく知らない『村』や『街』の様子は見えない。所謂『望遠鏡』みたいなモノである)、情報をいち早く知る為には重宝する『魔法』である。
ただし、『テレスコープ』は『術者』専用で、他の仲間が『遠見』をしたい場合は、同じく『テレスコープ』を使うか、何か特殊な道具を使用せねばならない。
そこで、僕は『結界術』を応用して、『映像』の『投影』を試して見る事にしたのだ。
試行錯誤の末、何とか『映像』の『投影』に成功した。
これで、皆で『映像』を見る事が出来る。
流石に、『音声』までは無理だが、イーナが言う様に、聞こえても言葉が分かるのは僕だけなので、まぁ良しとしよう。
今度は、『音声』にも挑戦してみようかなぁ?
ただ、欠点として、『カメラマン』役の僕は、木々の上から『テレスコープ』を使い続ける必要があるので、こちらも改良の余地がありそうだ。
『魔法』の連続使用は、『魔力』や『魔力保有量』の『概念』がない
ただ、この場合は、『結界術』の範囲を限定しなければならないので、こちらも改良の余地がある。
まぁ、利用する事もあまり無さそうだけどね・・・。
ちなみに、アルメリア様とアルマ達は『シュプール』にてお留守番だ。
アルメリア様は良いとしても、アルマ達では、深部に位置するこの場所は、かなり危険地帯だからな。
「おっ、何やらおっ始める様っスよ?」
「ふむ。30頭くらいいるかな?」
「大方『力』を示す様に言われたんだろう。そこは『人間種』も『魔獣』も大して違いが無いな。」
ユストゥス達男組は、すっかり観戦モードだ。
彼らは、結構クロとヤミと戦り合っていたから、微塵も心配していない感じだな。
「しかし、『白狼』の真の脅威は、その一団が一個の生き物の様な『組織力』。そこから繰り出される『波状攻撃』にあるぞ?」
「ニヒキだとー、キョウシャでもキツいんじゃないかなー?」
「ふ~む、どう見ます、アイシャ殿?」
「そうだね~。私もあまり『白狼』の事は分かんないけど、クロちゃんとヤミちゃんは相当特殊だから、案外簡単に一蹴しちゃうんじゃないかな~?」
アイシャさん達女性チームも、心配気ながらも、クロ達の動向を見守っていた。
「動くよっ!」
僕が言うと、『白狼』達はクロとヤミに殺到した。
一糸乱れぬ強襲に見えるが、先攻チームと後攻チームで、微妙にタイムラグがある。
先攻チームの迎撃に気をとられていると、後攻チームに一気に飲み込まれてしまう。
単純だが、それ故に効果的な『波状攻撃』の基本だな。
『白狼』は、基本的に『群れ』で『狩り』を行う。
その中で、獲物を追い込む役、獲物に回り込んで退路を誘導する役、待ち伏せして一撃を加える役と、さまざまな役割を振り分ける。
メルヒの言う通り、『白狼』の恐ろしさは、その高い俊敏性もさる事ながら、その高い『組織力』にあるだろう。
しかし・・・。
「うおっ!飛んだっ!」
「踏み台にされたヤツら、昏倒してるぞ!?」
「相変わらずの早業だな。我らも、多少は慣れたと思ったが・・・。」
クロとヤミは、先攻チームに逆に素早く近付くと、軽業の様に『白狼』達を踏み台にして、包囲網を突破した。
それと同時に、踏み台にされた数匹は『肉球パンチ』を受けて昏倒している。
可愛らしいネーミングだが、クロとヤミが使うと意外と凶悪な代物になり、認識の外側から意識を刈り取る技を繰り出して来る。
クロとヤミにも、当然ながら、爪と牙と言う武器があるが、多数相手の場合は、殺傷力より、いかに素早く無力化するかが重要になって来たりする(嫌な言い方だが、生きた『肉の壁』は仲間達の助けようとする意識を利用出来るし、『障害物』にもなるからだ)。
そこら辺を踏まえて2匹は、どの『戦闘技術』を使うのかを、瞬時に選択しているのだ。
「終わったな・・・。」
これが統率の取れた『組織力』の脆い所だ。
包囲網を突破されてしまうと足並みが乱され、混乱してしまうのだ(まぁ、並大抵では突破する事自体不可能なのだが・・・)。
乱戦になってしまえば、もはやクロとヤミの敵ではない。
2匹は、作業の様に凶悪な『肉球パンチ』を次々とお見舞いして行くのだった。
つーか、今さらだが、野生動物が『格闘技術』を使うとか、考えるだけで恐ろしいな。
基本的に、『人間種』と野生動物とでは『
『狩り』に置いても、『戦闘』に置いても、勝敗を決めるのは、一瞬の出来事だ。
スタートダッシュからトップスピードを出せる『
それに加え、2匹は『格闘技術』を一通り学んでいる。
まぁ、クロとヤミに『色々』教えたのは(主に)僕なんだけどね?
いやぁ、恐ろしい『魔獣』を育成してしまったモノだなー(他人事)。
◇◆◇
「ワンッ、ワンワンッ(な、何が起こったんだっ!?)」
「ワウッ、ワウワウッ(こうも簡単に壊滅とは・・・!)」
「ガウッ、ガウガウッ(相当な手練れだぞ、あの2匹っ!)」
「ワォーン、ガウガウッ(何より、妙な闘い方をする・・・。)」
「ワォーン、ワンワンッ(確かに・・・。見ろ。倒された者達は、傷ひとつないぞっ?)」
「ワォーン、ワウワウッ(・・・これで文句はなかろう?クロとヤミはその『力』を示した。その『実力』に、疑いの余地は無いと思うが?)」
遠巻きに、2匹の戦いを見ていたノルド達に、ジンは確認する様に声を掛けた。
ノルド達は、お互いに顔を見合わせ、おずおずと意見を述べ始めた。
「ワンッ、ワンワンッ(ま、まぁ、少しは出来るんじゃねーかな?)」
「ワウッ、ワウワウッ(そう、だな。『黒狼』であるのが気にはなるが、『ボス』と『祖霊』が認めたのなら、ワシらが口出しする事でもない、か・・・。)」
「ガウッ、ガウガウッ(何より『強者』が『ボス』になるのが、『白狼』の習わし。)」
「ワォーン、ガウガウッ(俺はヤツらの『ボス』争い参戦に、異論はない。)」
「ワォーン、ワンワンッ(私もです。他の者で、異議のある者はっ!?)」
「「「・・・。」」」
「ワォーン、ワウワウッ(決まり、だな。)」
こうして、クロとヤミの『ボス』争い参戦は認められたのだった。
「ワンッ、ワンワンッ(ねー、もういーの?)」
「ガウッ、ガウガウッ(歯応えがないな~。
2匹は、あいかわらずのマイペースだったが・・・。
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