Ⅱ ハンバーガーと女

「どうしようか」

「地図の人は」

「どうかなあ、ナオトは何て言ってるの」

「一人でも行くつもりみたい」

ミサトはうつむきながら、アヤノを見る。

「いた方がいいよね、地図の人」

「話だけでも聞ければ」

「準備はできてるの、食料とか」

「やってるみたいだけど」

「一気に遠くに行かなくてもね」

「行ける範囲を広げていくっていうか」

「そうだね」

ミサトが立ちあがって、部屋の奥の方に歩いて行く。

「ねえ、ナオト君。そう言ってるけど、どう」

「えっ、いたの」

立ちあがって、ミサトを目で追うアヤノ。

「ああ、来てたんだ」

奥から顔を出す、ナオト。

「それはね、少しづつだけどやってるんだよ」

「地図も作りはじめてて」

「そうなんだ」

アヤノ、ゆっくりと椅子に座りなおす。

「すごい、切羽詰まってると思った」

「まあ、早い方がいいのは確かだけど」

「それより、アヤノちゃん。肉を挟んだパンをもらったんだって」

ナオトはテーブルまで歩いてきて、

アヤノの向かい側に座った。

「その人って、よく来てるの」

「っていうか、どこから来てるのかな」

「それがわからないの」

「いつも、袋に缶詰を詰めてて」

「その人に会いたいな」

「また来るかもしれない」

「まだ、あの倉庫には缶詰類が残ってたし」

ナオト、ゆっくりとミサトを見る。

「あたしは知らないの、アヤノの倉庫は」

「そうか、ルールだからね」

「行ってみます、その倉庫」

「いいの」

「いいですよ、情報を共有するなら」

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