バージョン4 SNS戦隊 バエレンジャー

バージョン4.1 次なる攻略対象

 スマートシティーにおいて、アンドロイドの製作は法律で禁じられている。それは、アンドロイドが人間になり代わって地球を支配すると恐る終末論者への配慮からのことである。だが、700年も前からアンドロイド製作の基礎技術は完成している。



 清はAIに向き合い、言った。


「AI。次の攻略対象を提案して!」

「……。」

「あれ? どうしたの、AI?」

「……そのご命令は、音声では受け付けられません……。」

「じゃあ、どうすれば良いの?」

「……それは、私の左のおっぱいを……。」

「えーっ!」

「……どうか、優しくしてくださいませ……。」


 AIは、左のおっぱいを指差してはにかんだ。清は、AIが自由に動いているからつい忘れてしまうのだが、目の前のAIは奈江を模した単なるモノ。単なるモノにはスイッチがある。あきを模した単なるモノの場合は、左のおっぱいをつんつんすることがスイッチ。あきの今を3D映像装置に映した。


 奈江を模した単なるモノも同じ仕組みになっている。つまり、清がAIに次なる攻略対象を提案させるには、奈江を模した単なるモノの左のおっぱいに、あーんなことをしなくてはいけないのだ。


 清には、戸惑いがあった。清には女子の服を脱がせるという経験が全くないのだ。


 ふと、清は思い出した。AIが服を着る前のことだ。AIは何かを思いついたような素振りを見せた。それはひょっとすると『服を脱がす趣味があるけど、あきのときは実演できなくって残念だから、いつかどこかでやってみたい』という願望があるのを、『だったら私がまずは脱がせ易いジャージーを着てその願望を叶えて差し上げます!』とAIが思ったのかもしれないと、清は考えた。だから、お節介なAIのありがた迷惑を、清はありがたく受け入れることにした。


「わっ、分かったよ……。」


 清がAIの正面に立つと、AIは大きいおっぱいをアピールする第2ポーズをとった。右脚が左後方に左脚が右前方に置かれ、腰は半ひねりされていた。上半身は前屈みになっていて、トレシャツの中央にあるチャックは下から上へと辿るときれいに谷間を抜けていて、開け閉めのときに持つところは山岳地帯を行き来するロープウェイのようにぶらぶらしていた。両腕はさり気なく膝に乗せられているが、これこそが第2ポーズの真骨頂で、細くともぷるぷるしていそうな二の腕がおっぱいを割と強めに圧迫していた。


「では、よろしくお願いします!」


 AIが言った。清はお得意の生唾ごっくんのあと、そーっとチャックを開けはじめた。谷間を通過させるときには子指がおっぱいにふわりと触れ、清の右腕に電撃が走った。それでも清は持つところを放さずギリギリのところで谷間を通過させた。だが、息つく暇はない。清の顔とAIの顔は、すでにその距離数cmにまで接近していた。どちらからともなく2人の顔は赤らんだ。


 AIは、膝に当てていた両手を、今度は後ろ手に組んだ。こうすることで清が両手でチャックの最後の部分を取り外すのに都合良くしていた。さらに、両腕の圧迫から解き放たれたおっぱいは、必然的に開いた胸と相まって、ブラジャーの中を垂直からやや開く方向に移動した。清がチャックの最後の部品を取り外してトレシャツを脱がせたのを確認して、AIは自ら中シャツを脱いだ。そのときに一時的に上体を起こしていて、そのさらに一時的に中シャツがおっぱいを上へと引っ張り上げ、そのあとに左右のおっぱいは同時にブラジャーのカップに収まるように落下した。当然、ぷりんぷりんだ。AIは両腕の脇の下を同時に清に見せるような不思議な体勢をとった。清の両腕がAIの背後にまわり込んだ。

 いよいよ、ブラジャーのホックを外すときがきた。清はひと想いに上のホックと下のホックを外した。カップの中では丸みのあるおっぱいは、だらりと下がって先端を突き出すようになっていた。こうして、ようやくスイッチが露わになった。


 清は、また生唾ごっくんしてから、顔を赤らめたまま、したり顔で右手の人差し指をたて、突起のような単なるモノをつんつんした。


「はぁっん。清様……。」


 静寂のなか、AIの嬌声と、清が生唾を飲み込むときの喉越しの良さげな音が響いた。清は何も言えなかったが、これでもうすぐ緊張から解放されるのではないかと思っていた。


「……。」

「……清様ったら、ただのエッチなんですね……。」

「えっ……。」

「だって、つんつんするんですもの……でも、ちょっと嬉しかったです……。」


 AIの顔はさらに赤くなった。


「えっ、いや。命令したかっただけなのに……。」


 清は何かを執りなすように慌てながら言った。


「……でしたら、ぱっくんしていただかないと……。」

「えーっ!」

「等身大の単なるモノですから、それがルールだって、言いましたよね……。」

「……そ、そうだっけ……。」


 清は、そんなの忘れてるよと思いながらも、仕切り直し。突起のような単なるモノを口ですっぽりと覆い、ちょっとだけちゅうっとした。


「はぁあぁんっ!」


 見事なぱっくんに、AIの反応も上々。清にはそう思えた。しかし……。


「清様、残念ながら時間切れです。もう1度、最初っからです!」

「えっ、時間切れ?」

「はい。脱がしはじめてからぱっくんするまで、2分以内でお願いします!」

「えーっ!」

「因みに、今のは5分ですから、倍速以上でお願いします!」

「そっ、そんなぁ……無理だよっ!」

「そうでなければ、命令は下せません!」

「……。」

「ルールですから」


 前屈みになって器用にブラジャーを付けながら、AIが言った。そんなルール、法律を変えちゃうほどの力のあるAIなら、簡単に変えられそうなものだが、清にもAIにも、そんな野暮なことをするつもりはなかった。


 清は努力した。何度も2分で脱がせてぱっくんすることに挑戦した。その度にレコードを更新。8度目にはついに2分56秒という記録を樹立した。しかし、それが清の限界だった。


「も、もう、ダメだよ……。」

「何を弱気なことを言っているのですか? 精進してくださいね」


 清は、このまま続けてもムリだと思い、考えた。そして、ある構想を抱いた。それは、半脱ぎ状態でのぱっくん。清はこの構想をAIに伝えた。


「なるほど。試す価値はありますね!」

「うん。ちょっとワイルドだけど、仕方ないよ」

「清様、やりましょう! やってみましょう」


 こうして9度目に叩き出した35秒という好記録をもって、ついに命令が下された。

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