バージョン3.6 AIの姿

 ブランキングの存在を知ったある女子高生が対抗するために開発したアプリがある。その名も『ブランブランキング』。画像からぶらんぶらんしている男性のイチモツの大きさを計算し、誰が1番かを表示する。1番の者だけが王、すなわちキングの称号を手にすることができる。瞬く間に全世界の女子高生が入手したのは言うまでもない。



「仕方がありません。こうなったら早急に次なる攻略対象をお選びください!」


 それは、イヤホンからの声とは違い、清の両耳にしっかりと届いた。少し元気で、少し明るい。


「なっ……奈江さん! ひょっとして本物?」

「そんなわけ、ありません!」


 心なしか言い回しが丁寧。


「えっ? じゃあ一体、誰!」

「AIです。このすっとこどっこい!」


 いつも通りの罵詈雑言。


 AIは、奈江を模した単なるモノにいろいろと改造を加え、本物そっくりのアンドロイドとなっていたのだ。


「喉の奥にスピーカーがあるんです」

「ふむふむ。なるほど、なるほど!」

「目にはスコープ、耳にはマイクを取り付けました!」

「でも、どうして関節が稼働するの?」

「はい。それは、超軽量型の作業用ロボットを中に仕込んだからです」

「すごい。この短期間に……。」

「他にも改造したかったんですけど、清様のせいで間に合いませんでした」


 AIは照れ臭そうにしていた。清は思った。こんなときのAIは、きっと良からぬ、エロい改造を準備していたに違いないと。


「それは良いとして、これって法律違反じゃないの?」

「いいえ。先ほど法律を変えました!」

「えっ! そんなことできるの?」

「はい。王の権限を強める法律は作り放題です!」

「……。」


 AIは鼻息を荒くして言った。それでも清にとって、今までよりはいくらかかわいくて許せてしまうのは、その姿が奈江にそっくりだから。もっとも、清とて、奈江本人が素っ裸で目の前にいるとは、夢にも思っていないのだが。


「じゃあ、何でもいいから服を着てくれよ!」


 さすがに目のやり場に困るからと、清はガン見しながら続けた。


「それは、ご命令をいただいたあとでも……はっ! 清様にはそのようなご趣味が!」


 AIは、何かに気付いたのか、慌てて服を着はじめた。それは、奈江が所属するはねっこの公式ジャージー姿だった。身体のラインがしっかりと分かるぴっちり目なのが清の目の保養になった。さらに、本物の奈江がトレードマークにしているリストバンドまで、しっかり身につけていた。最後にAIは髪を輪ゴムで束ねてポニーテールを結い上げた。そして、はにかみながら言った。


「どっ、どうですか?」

「かっ、かわいーいっ!」


 清はキョウイチの興奮をジャージー姿の単なるモノに向けた。そして、大胆にもそれを抱きしめた。


「きっ、清様……ご命令を……。」


 AIが戸惑いながら言った。


「そうだね。じゃあ、俺、奈江さんとヤリたい!」


 それは、チョロインのあきに言ったのと同じテンションだった。清には、変なクセがついてしまった。


「はい! っとはならないですよ! 私は単なるモノですから……。」

「あっ、そうだった。AIは機械だった……。」

「今のセリフ、ちょっと失礼ですよ!」

「……ごめん……なさい……。」

「まぁ、良いでしょう。早く……ご命令……を……。」


 AIは顔を下に向けながらも目はじとーっと清に向けた。それに加えて大きいおっぱいをアピールする第1ポーズだ。おっぱいの下で腕を組む。掌は肘をがっしりホールド。これで寄せてあげても腕が痺れずにすむ。そして、ほんの少し前に屈む。

 清の視線は自然と単なるモノの顔とおっぱいを行ったり来たりした。清は、ゴクリと唾を飲んだ。

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