第9話 心変わり

「こ、これ何の魔法ですか?」

「ふふふ。キイラ。そんな心配しなくても大丈夫ですよ」


より正確に、より速く、より効率的に魔法陣を展開していく。


「これが私の得意魔法。そして名前の由来です」


魔法陣が突如光り、小さな雷が落ちる。


「す、すごい!これが極魔法の雷ですか!」

「噂には聞いてたけど……… ほ、ほんとにすごいです!」

「ええ。そうです。でも世界にはごくたまに、こんな魔法を使える人もいるのです」


ここで雷の形を変えたり、自由に動かしたりする。


「こ、これは………?」

「さて?何だと思いますか?」

「………古代魔法の一種。極魔法の応用ですね?」

「さすがエミリーです。そう。これは古代魔法の一つです」


そう言いつつ魔法を消す。やはりこの古代魔法はかなり体力をもってかれる。あまり使わないようにしないとな。


「どうです、エミリー。魔法はこんなに素晴らしいのです。時には人の命を奪う刃になります。でも魔法にはまだまだいろんなことが隠されている。以前のあなたはそんな魔法が大好きだったのじゃないですか?」

「せ、先生………」


エミリーの目には涙が少し滲んでいた。


「私もあなたと同じく魔法が大好きです。だからあなたの気持ちはよくわかります。しかし過去を引きずっていても元には戻りません。今は今です。以前の気持ちを思い出して下さい!」

「……………」


これが言いたい為に古代魔法を使ったんだよなぁ。


「わ、わかりました!私、もう1度魔法を練習します!」

「よろしい。今日は1日頑張りましたね」


エミリーの頭を撫でてやる。


「あ、あうあうあう。あ、ありがとうございまふ」


エミリーの顔が真っ赤になって縮み上がっている。


「お、お嬢様だけずるいです!」

「き、キイラはさっきやってもらったじゃない?」

「でも……… むむむ………」

「むむむむ………」


はは……… これは困ったな。



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