第8話 実践練習

「ではキイラ。君の得意魔法はなんですか?」


人にはそれぞれ得意魔法がある。自分の能力に見合った魔法だ。人は自分が得意とする能力を使う時、魔法の威力は別段と上がる。自分で得意魔法を見つける人もいれば、知らぬ間に開花する人もいる。


「わ、私は水魔法が得意です!」

「へぇ〜 では少し打ってみて下さい!」

「せ、先生にですか⁉︎」

「大丈夫です。防御はきちんとしますので」

「そ、そうですか……… では」


キイラが水の魔法を展開する。うん。見事だ。魔法陣が浮かび上がり、大きな水滴が渦を巻いて自由自在に飛んでいく。


「キイラも中々すごいですよ」

「そ、それより先生……… ずぶ濡れに………」

「大丈夫ですよ。これくらいは」


僕は風の魔法を使って身体を瞬時に乾かす。


「うわぁ! 先生ってどんな魔法でも使えるんですか?」

「いえいえ。あいにく水の魔法は少し苦手で……… だからキアラはすごいですよ」

「あ、ありがとうございます!」


エミリーもキアラも目を輝かせている。


「ではエミリー。次はあなたの番です」

「わ、私。魔法なんて使いたくないです!」

「そうですか………」


やはり魔法への嫌悪感はまだあるようだ。困ったものだ。どうしようか?


「ではエミリー。今日1日頑張ったら僕が褒めてあげましょう」

「え⁉︎ ほ、ほんとですか?」

「ええ。ほんとです」

「………わ、わかりました」


そんなに褒めてもらいたいのだろうか?たしかに貴族という生き物はやたらと褒められたがる。普段そういう場面がないからだろうか?


「あなたの得意魔法は?」


一応聞いてみる。


「そ、その……… 私、能力ないんです。って知ってて聞いてますよね?」

「まあ、一応です」

「先生は意地悪です………」

「そ、そんなことないですよ。エミリー、ではあなたが知っている魔法を展開してみて下さい」

「で、では火の魔法を………」


エミリーが呪文を唱える。魔法陣が浮かび上がってきて、


「はぁ〜 はぁ〜 やっぱり無理です………」

「よいのです。最初はこんなものでしょう」


魔法陣には問題ない。呪文も一言一句間違っていない。何かの呪いのせいか?それとも………


「先生の得意魔法は何なのですか?」

「はい?僕ですか?」

「見本を見せて下さい!」


僕の得意魔法かぁ。こんなところで展開していいのかわからないけど。


「僕のを見たら、魔法の授業に次からも来ますか?」

「え?え〜っと…… それは………」

「約束して下さい。来ますか?」

「そ、それは先生の魔法が凄かったら約束します!」

「わかりました……… それでは」


魔法を展開し始める。






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