第7話 授業開始
「では始めは魔法について理解してもらいます」
僕は授業を開始していく。始めはやはり根本理解をしてもらうのが1番だ。
「その前にですが……… エミリー様。授業中は敬語を使って下さい」
「な、なんでよ?」
「社会のルールです」
社会のルール。大抵こう言えば丸く収まってしまう。
「むむ、わかったわ。い、いえ。わかりました」
「よろしい。では………」
「じゃあ先生も様を付けるのやめて下さい」
「え?ああ、でもエイブさんに………」
「私が許可します!」
「はあ?そうですか?わかりました。ではエミリー、キイラ、ここで質問です。魔法はなぜ発動するでしょうか?」
「なぜって……… それは呪文を唱えるからではないのですか?」
「ふふ。そうですねキアラ。エミリーは?」
「魔法は……… 精霊を呼び出している」
「ほぉ〜 中々勉強なさってますね」
エミリーに向かって微笑みかける。エミリーは慌てて視線をそらすが、褒められて嬉しいのか顔が少し火照っている。
「そう。僕も思います。魔法は言わば精霊を呼び出していると」
「でもライジン先生。それは科学的に否定されたのでは?」
「キイラもよく勉強できていますね」
僕はキイラの頭を撫でてやる。
「ひょえ…… 先生? も、もう結構です」
「え? ああ。すみません。キイラがついつい可愛いので。いやでしたか?」
「い、いえ。その…… いやではないです」
「では授業を再開します。それで精霊の話ですが………」
エミリーがしきりに手を挙げている。
「エミリー様。何か質問ですか?」
「ええ。キイラは褒めて私は褒めないというのはどういうことですか?」
「え?」
エミリーが少し怒ったような顔をしてこっちを見ている。ほっぺを膨らました顔もいかにも可愛らしい。
「エミリー様も褒めてほしいのですか?」
「い、いや……… その……… そういうわけじゃ………いいです。授業を進めて下さい」
「そうですか………? では次からはきちんと褒めますね」
「……………」
はは……… この子と付き合うのはまだまだ難しそうだな。
「では精霊の話についてですが、たしかに科学的には否定されています。なので僕はこう考えました。魔法は精霊を呼び出しているのではなく、呪文によって力を借りていると」
2人共興味深々に僕の話を聞いている。あの王女とは大違いだ。これなら授業もやりやすいな。なにより、ちょこんとしている2人がいかにも可愛らしい。
「いいですか? たとえば火の魔法に水の魔法を加えるとどうなりますか?」
「それは消えるに決まっているでしょう?」
「そうですね。エミリー。でも見たことあるでしょう?強力な火の魔法を水の中に打ち込む様子を」
「そ、それは………」
実際よくある話だ。素人の水魔法使いを油断させて、超強力な火の魔法を打ち込む。中々高度な技だ。
「つまり火の精霊と水の精霊は一緒に混在はできない。しかし、能力を借りてくるだけなら能力者に依存します。なので、より高度な能力を持っている方が強くなるのです」
「な、なるほど………」
「さすがライジン先生です!」
「これくらい初歩的なことですよ」
僕は実際魔法能力が優れているわけではなかった。でもなぜ魔法は発動するのか?どういう仕組みか?誰も疑問に思わない当たり前なことに対して僕は関心を持った。
「では次に実戦練習です。お2人の魔法能力を見せてもらいます」
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