第6話 全員揃いました

「ど、どうしたら良いのでしょう……… ライジン様」


「まあ直に頭も冷えますよ。それより貴方に先に魔法を教えましょう」


「わ、私ですか⁉︎」


「はい。貴方は素質もありそうなので。それよりライジン先生でいいですよ?」


「は、はい! ライジン先生!」


そう。僕には見えている。お嬢様が先程からしきりにこちらを伺っていることを。


◾️◆◇


「ではキイラ。魔法ができるように着替えてきて下さい」


「わ、わかりました」


キイラを別の場所に行かせ、僕は次の行動に移した。


「さて……… お嬢様。先程からこちらを伺っているのはバレバレでしたよ?」


すると、エミリーがこちらにやってきた。やっぱりか。


「べ、別にそんなんじゃないわ! ただ……… キイラが心配だっただけよ!」


「そうですか………」


お嬢様がほんとは魔法が好きなのは見ていてわかる。あの庭に植えてあった花や草木。あれは魔法が使われている。それも失敗した魔法が。多分この子はあれからも毎日魔法の練習を続けていたのだろう。


「お嬢様……… 貴女にはここにいてもらいます。そして私の授業を1度だけ受けてもらいましょう」


そう。多分、授業を受けてもらえば心も変わるはず。


「い、いやよ! 私は戻るわ!」


「だめです。逃がしませんよ?」


僕は浮遊魔法を使って、逃げようとするエミリーを部屋の中に戻す。


「な、何よこれ⁉︎」


浮遊魔法です」


「お、降ろしなさいよ!」


「ではここにいると誓いますか?」


「………誓う。約束するから……」


「では………」


浮遊魔法を解除してやる。


「どうです? 魔法ってすごいでしょう?」


「……………」


その時、キアラが入ってくる。まあ、この後何が起こるかは想定できる。


「じゅ、準備でき…… きゃっ!」


僕は転びそうなキアラを抱き抱える。


「落ち着いて下さい。キアラ」


「ひゃ、ひゃい。すみましぇん」


キアラの顔がまた赤くなる。まあ、放っておこう。


「それでは、今日から魔法の授業を始めます」

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