第4話 お嬢様の本音

「ではキイラ。お嬢様を迎えにいきましょうか」


「は、はい! 承知いたしました!」


いまいち落ち着きがない。もっと気楽にしてないと………


「きゃっ!」


でしょうね。これは転ぶパターンと決まっている。そして僕が慌てて抱き止める。


「大丈夫ですか? キアラ。もう少し落ち着いて」


「ひゃ、ひゃい…… ありがとうございまふ」


とその時、鋭い眼光で見られたような気がした。


「エイブさん…… 変なことはしてませんから」


「ええ。わかっていますとも」


目が全然わかってくれてないんだけど……


◾️◆◇


「キイラ。一つ聞いてもいいですか?」


「は、はい! なんなりと」


さっきからキイラと目が合うと慌てて視線をそらされる。そして何故かキイラの顔が赤くなる。


「だ、大丈夫ですか?」


「ひゃ、ひゃい! な、なんでもありません! それより質問を……」


(う〜 ライジンさんカッコいい〜! さっき抱かれてから私なんかおかしいよ〜)


「では質問ですが…… お嬢様は魔法がほんとにお好きなのですか?」


「そ、それは………」


ここの公爵令嬢が魔法好きなのは知っている。ただそれは昔のことだ。1年前あたりから、すっかり魔法への興味が失せてしまったと聞いている。もし…… もしお嬢様が魔法嫌いになってしまったのなら無理に教える必要はない。あの執事には悪いが…… この仕事は受けるべきではない。

ただし…… まだ魔法がほんとは好きなら。僕が1年で最強まで鍛えてやろう。


「さて…… どっちなのですか?」


「お嬢様は多分…… まだ魔法がお好きだと思います!」


「…………」


「お嬢様は小さい頃から魔法が大好きでした。それはそれは、希望に満ち溢れておりました。しかし…… 1年ほど前になんていう称号がついてから、一切魔法に関わらなくなりました。でも……… ほんとは魔法がお好きなんです! ライジン先生! お嬢様を助けてあげて下さい!」


「キイラ……… 君の熱意は伝わってますよ。もちろんこの扉の向こうにいるお嬢様にもね」


そう言いながら部屋の扉を開けると……


「お、お嬢様……!」


こちらに聞き耳を立てて座っていた。


「な、な、何の用よ⁉︎」


「はじめまして、エミリーお嬢様。アーサー・ライジンと申します」

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