第3話 お嬢様は不服の様子……
お嬢様はこちらを見た瞬間、すぐにこちらに向かってきた。
「どうも。僕は家庭教師の………」
「エイブ⁉︎ 一体この人は⁉︎ どういうこと⁉︎」
あれ? なんか歓迎されてない雰囲気だな。執事さん…… ちゃんと話を通してからにしましょうよ。
「申し訳ございません。お嬢様。私は貴女のことを思って………」
「私には家庭教師なんて必要ない! 私はもう何をやっても魔法が使えないの! だって落第お嬢様なんだから!」
走ってお屋敷の中に行ってしまった。その目にはうっすらと涙が滲んでいた。
「ライジン様も…… わざわざ申し訳ございません」
「………これは少々厄介ですね」
◾️◆◇
「エミリー様。家庭教師の人がせっかく来て下さってるのですよ? 少しはご対応をされてはどうですか?」
「うるさいうるさい! 私のことなんか放っておいて!」
「そ、そうですか……」
その召使いは悲しそうにその場を去ろうとする。
『キアラ! ちょっとこっちに来なさい!』
「は、はい! ただいま!」
召使いは慌てて呼ばれた方に行く。
「ま、待ってキアラ…… あなたを責めたわけじゃないの! ただ…… その……」
「エミリー様………」
召使いの女の子は微笑みかけてその場を後にする。
「ふん……! 誰も…… 誰も私のことなんて……」
◾️◆◇
「お、お呼びですか? お父様」
「ああ。ご紹介します、ライジン様。こちらが私の娘のキアラです」
「へぇ〜 この子が………」
銀色の髪に可愛らしいメイド服。少し背が低めで、いかにも妹って感じだ。
「この子も今日からよろしくお願いします」
「ええ……… って、はい⁉︎」
よろしくお願いしますってどういうことだ?
「あれ? 聞いてませんでした? 私の娘もぜひご一緒にと言われたのですが………」
「…………」
くっそ〜 またしてもあの人にはめられた。期限が1年なのに2人も面倒を見るのか?
「わ、私。キアラと申します! きょ、今日から頑張りますのでよろしくお願いします!」
よく見ると、この子の目も希望で満ち溢れている。やる気は十分だな。もしかしたら素質があるかもしれない。
「私がライジンです。キアラ…… 今日からよろしく頼みますよ」
「は、はい!」
ふふ。中々素直で可愛いじゃないか。
「あなたは素直で良いですね」
俺は頭を撫でてやった。褒める時は褒めてやらないとな。
「ひょ、ひょえ…… あ、ありがとございまふ」
ん? 顔が真っ赤だ。俺何かしたっけ?
「ちょっとライジン様……… くれぐれも私の娘に言い寄らないで下さいよね」
エイブさんがジトジトした目で俺を見てくる。
「はは…… んなまさか……」
今のはちょっとしたくせだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます