第二章 登場人物まとめ

 第二章登場人物まとめ



 シンツィア 年齢??? 女性?



 傀儡の魔術師と呼ばれた使役魔法の達人。ノエリアの母親であるフロリーナとともにライナスの弟子として魔法を学んでいた時期もあった。


 だが、フロリーナの才能の前に挫折し、王都を去るとインバハネスまで流れ、その地でひっそりと魔法の研究をしていた。


 彼女は物質にかりそめの意識を与えたり、動物と意識を共有する使役魔法を得意としており、その使役魔法を基に新たな魔法を研究していたが、大襲来時にアビスウォーカーとの戦闘で身体を失うこととなった。


 そこで命までを失ってしまう前に、研究中だった死霊魔術を発動させ、自らの魂を近くにあった全身鎧に移す事で、肉体を失って尚、生き残ることに成功していたのだ。


 ただし生き残った代償として、魔力が枯渇すると魂ごと消滅してしまう存在となっていた。


 その後、自分は死んだことにして、新たな肉体を作るための基となる骨を探して各地を彷徨う存在となったが、フリックとノエリアに出会ったことで彼らに興味を持ち、同行することを申し出た。


 フロリーナの娘であるノエリアに興味を持ち、フリックに対し恋心を抱いている彼女に色々と助言を与えるが、今のところは効果を発揮していない。


 戦闘時以外では、本体の金属鎧ではなく、目であり声でもある骨の鳥を使い、フリックの外套の中で彼の膨大な魔力を吸っている。本人的にはかなり住み心地が良いらしい。


 戦闘時においては、複数のゴーレムを使役して多数の敵を蹴散らしつつも、同時に強力な魔法を使う事ができるため、単独でもかなりの戦闘力を持つ。


 スザーナとは当初反目しあっていたが、ノエリアとフリックの恋愛成就への共闘が成立後は、骨が剥き出しの鳥となるシンツィアのために、スザーナがお手製の皮の被り物を作るほどの間柄に変化している。




 ディードゥル 年齢??? 牡



 傷だらけの黒い馬体に赤いたてがみを持つ巨大な軍馬。知性はかなり高く、人語を解し、自らの考えをフリックに伝えてくるほど。


 元々ジャイルへの献上馬としてどこかから連れてこられたが、近衛騎士団の支所に居た時に隙を見て逃げ出すと、その後はオーウェル草原で混沌馬ケイオスホース角馬ホーンホースの群れを率いて隠れ住んでいた。


 脱走した事により、インバハネスの冒険者ギルドへ捕獲依頼が出され、何度も冒険者たちに追われる事となったが、その度に持ち前の知性を生かし、捕獲しようとする冒険者たちを翻弄しては散々に苦しめ、冒険者ギルドに依頼失敗による報告書の山を築かせていた。


 しかしある時、冒険者に群れの仲間を傷付けられ、その冒険者を追いかけ回している最中にフリックと出会い、成り行きから魔物を相手に共闘する事となったが、それを機に、フリックを自分の存在を任せるに足る人物と評価するに至った。


 その後、冒険者ギルドの捕獲依頼を受けたフリックと再会すると、自分の存在が群れに迷惑をかけていると説得され、群れの安全を最優先することを決断し、若く馬体のいい混沌馬ケイオスホースに群れのリーダーを譲ると、一旦捕獲されることを選びインバハネスに戻る。


 そしてインバハネスの冒険者ギルドに引き渡され、近衛騎士団の支所に連れて行かれると、その日の夜に逃げ出し、フリックたちのいる駐屯地に顔を出していた。


 そのままフリックの仲間となり、彼を乗せてインバハネスの南に向かって走ることになった。


 戦闘では巨大な体躯と知性を生かし、乗り手の持つ能力が完璧に発揮されるように立ち回ることを得意とする。


 また、悪戯好きな一面もあり、自らの巨大な体躯を生かして周囲を威圧するなど悪のりをして、フリックやノエリアに怒られることもあった。




 ギディオン 年齢50代 男性



 インバハネスの冒険者ギルドマスター。アビスフォール付近で起きた出来事の顛末を記したアーノルドの手紙を受け取り、フリックたちが辺境伯から派遣された専門のアビスウォーカー探索者だと知ると、ギルド総会での自らの発言が領主代行を務める代官から言うようにと言われた言葉であったことを自白していた。


 ギディオン自身もアビスウォーカーに対する領主側の反応がおかしいと見ていたが、立場上領主の意向に反することはできず、困り果てていたところだった。


 フリックたちが『趣味』でアビスウォーカー探索をすると言うと、意図を察して自らが集めた情報をまとめた資料を落とし、それをフリックが拾うのを素知らぬ顔をして見ていた。


 その情報の見返りとして、フリックたちが不良案件化していたディードゥルの捕獲依頼を受けてくれ、その後見事に達成してくれたため、フリックたちに好意的な態度を示してくれる存在となった。




 マリベル 年齢10歳 女性


 猫耳と尻尾を持つ幼い獣人の女の子。インバハネスの南にあるデボン村の出身。


 父親のマルコに黙ってアビスフォールにまでついてきていたが、現地に到着後見つかってしまい、そのまま人夫として潜り込んで獣人たちと一緒に雑用をして働いていた。


 その後、父親たちが施設から連れ出される前に、不穏な気配を感じていた父親から隠れるように言われ、無人となった施設内に隠れ潜んでいた。


 そこで残されていた食糧と水で食いつないでいたが、それも無くなり、困り果てていたところをアルとメイラに助けられる。


 救出された後は、施設の内情を知る者として冒険者ギルドと辺境伯から保護を受け、保護者として発見者のアルとメイラが身柄を預かることになった。


 働かざる者食うべからずという信念のもと、常に自分から仕事を探してお手伝いをする性格のため、野営地に臨時で作られたギルドの炊事場で給仕の手伝いをしていた。


 その後、施設の捜索が進み、一緒に来た獣人たちの死体を見つけたことで父も死んだのだと確信すると、情報交換のために自らの出生地であるデボン村に向かうアルたちに同行する。


 そして、そのデボン村で父マルコとの再会を果たした。




 マルコ 年齢40代 男性


 デボン村から出稼ぎ鉱山夫として妻と娘を連れ、ラハマン鉱山の集落へ移住する。


 鉱山では水晶掘りをしており、その腕を買われて、鉱山を仕切っていた外国人のリーダーからもっと稼げる場所へ行く気はないかと言われたため、娘マリベルの生活向上のため承諾をした。


 鉱山を発つ前に妻は病死しており、知り合いにマリベルの世話を頼むと、鉱山から選抜された獣人たちを率いて、一路アビスフォールに向かい出発する。


 現地に到着すると、荷物に紛れてついてきてた娘マリベルの姿を発見したが、外に出られない制約から仕方なく人数を誤魔化して報告し、雑務を担当させていた。


 そんな生活の中、ある日外国人たちが慌ただしく施設の閉鎖を告げ、外に出るようにと言ってきたことに不穏な気配を感じ、人数を誤魔化して働いていた娘マリベルだけには隠れるように伝え、自分たちは施設の外に出ると気絶させられた。


 次に目覚めた時は施設の別の部屋で、血だらけの仲間の死体が折り重なる中、自分も大怪我をしていた。


 とっさに自らの身に何が起きたのかを察し、周囲に目をこらすと、皮膚が焼けただれてバラバラになった幼い獣人の死体を見つけ、娘も殺されたと思い、復讐をすることを決意する。


 その後施設を出ると、断崖絶壁であるアビスフォールの壁をよじ登り、途中で出会った冒険者に魔物に襲われたと偽って治療を受けると、気力を振り絞ってデボン村まで帰還し、そこでフリックに出会い傷を癒してもらえた。


 ある程度傷が癒えると、娘の仇を取るため、外国人集団のいるラハマン鉱山に単身殴り込みをかけたが、後を追ってきたフリックによって気絶させられ、ディードゥルに縛り付けられる形で村に送り返された。


 村に戻ると、そこには死んだと思っていたマリベルが保護されており、自らが重要な証言者だと自覚したことで、ノエリアの提案を飲み、鉱山を脱出してきた者たちを率いて、ユグハノーツの辺境伯へ身を寄せることになった。




 ユージン 年齢60代 男性


 デボン村の代表者。大襲来後に廃坑となったラハマン鉱山に住み着いた外国人集団たちの招集に応じて、村人たちが鉱山夫として出稼ぎに行くのを認めていた。


 だが周辺の村も含め、鉱山に行った村人たちの中に行方不明者が増えたことで鉱山への出稼ぎを禁止した。しかし今度は自警団崩れのならず者たちに人狩りをされるようになり、困り果てていた。


 そんな折り、村を訪れたフリックたちを人狩りと勘違いして襲いかかろうとしたが、ディードゥルたちに威圧され腰を抜かしてしまう。


 これまでの事情を話した上でフリックたちに助けを求めると、事態は予想外の展開に進み、鉱山に住み着く外国人集団がラドクリフ家と通じてなにかを画策していることを知ってしまう。


 色々と知ってしまった事でフリックたちに口止めされたため、鉱山から戻ってきた獣人たちのユグハノーツ移住にも口をさしはさむことはなかった。




 ラハマン鉱山に住み着く外国人集団


 大襲来終結後、十数年ほど前から廃坑になっていたラハマン鉱山に住み着き始めた外国人集団。


 王国の共通語も喋るが、外国人同士の際は聞き慣れない言語で喋っていることもあるらしい。


 見た目は普通の人間と同じだが、全員が白いローブを纏っている。


 個人としての戦闘力はたいしたことはないが、理解の及ばない強力な武器を使い、中には絶大な戦闘力を誇る新型のアビスウォーカーを使役する能力を有している者も見られた。


 彼らはラハマン鉱山で水晶掘りをしながらも、アビスフォールの地下にある巨大な施設の修復作業をしていた組織。


 その施設はマリベル曰く、『でんき』と『かがく』によって作られているらしい。


 そんな謎の集団であるが、近衛騎士団長ジャイルとの繋がりもあるようで、色々と便宜を図られていた節もあったが、その痕跡もラハマン鉱山の爆破とともに地中奥深くに埋まってしまった。

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