第4話 ぼくがやるの?


 噂によると、人食い鬼の大群は、このハイダス王国だけでなく、西のヨグナス国、北のアルメローナ国にも押し寄せてきているようだ。魔法が失敗したいま、各国が団結して、この危機を乗り越えなければならないのだ、とクラレンスは言った。

 クラレンスが、朗々と演説をぶちかますと、ロークスはボンヤリした様子で、

「でも、それをやるのは勇者でしょう?」

「おまえが召喚を失敗したのだろうが!」

 クラレンスは、どやしつけた。「罰として、人食い鬼征伐を命じる!」

「ぼ、ぼくが?」

「ほかにだれがいる?」

「自分で征伐すればいーじゃん」

「わたしはもう、魔力がほとんどないのじゃ。二十年前に戻りたいわい」

 ブツクサ言うので、ロークスは困惑した。

「ぼくだって、魔法をうまく使えないんですよ?」

「ヨグナス国とアルメローナ国の猛者が、使者として来ておる。わしもそなたをフォローするゆえ、ともに人食い鬼征伐をするがよいぞ」

 ロークスは、さまざまな口実を並べて拒否したが、ついに、

「ええい、まどろっこしい! ネズミに変えてしまうぞ!」

 師匠に脅され、仕方なく国王の謁見の間へと赴いた。

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