第3話 ことの始まりは……

 顔をしかめ、腹に手をやり、こんな弟子でもいちばん優秀なんだからな、ハイダス王国は人材不足だとかなんとかボヤいている。そのあいだ、ロークスはのほほんとしていた。

 人食い鬼の群れが現れたのは、いまから三週間まえのことである。どこからともなく、地から湧いて出てきたように、ハイダス王国を襲って来た。魔王退治が終わって二十年、気が緩んでいたハイダス王国は、大慌てで再度の勇者召喚を試みることになった。そのやり方は、二十年前とおなじだった。その時は国王も、

「この時期に攻めてくるとは、人食い鬼も愚かであるな」

 余裕ぶっこいていたのだが、三日がかりで組んだ魔方陣が、何の反応もしないとなったら、魔法使いたちの責任だけでなく、国家存亡の問題になってくる。

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