9話

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 試合は一対一で終わった。全体的に押される展開だったけど、少ないチャンスを生かしてうまく引き分けに持ち込んだ感じだ。

 試合後の挨拶と監督からの講評が終わり、私と瑛士は由衣香たちに近づいた。由衣香たちは悔しそうに顔を歪めているけど、私にはとても良い表情に思えた。

「二人ともナイス・ゲーム。遊馬君にはやられることが多かったし、課題は間違いなくまだまだある。だけどさ、今日でだいぶ成長したんじゃない? 自信もっていいよ」

 深い満足感を抱く私は、ゆったりと本音を口にした。

 すると二人とも、きっと私に強い眼差しを向けてきた。

「あったりまえじゃん! 次はぜってー全戦全勝。言っとくけどそれ以外ないから!」

「うん、慶ちゃんに賛成! もう動きがわかっちゃったしね! 負ける理由が見つからない、だよね!」

 朗らかに喚く二人を見ると、自然と頬が緩んでいく。ああ、良い。私は今、間違いなく幸せだ。

 ちなみに二人とも、私たちの母校の龍神中学に入りたい、絶対入ると、いつも声高に口にしている。

 私はまだまだ未熟で子供にどこまで干渉すべきかわからないけど、二人の強い希望があるなら後押ししてやるべきなのかな、と考えている。

「よし! 目標も見つかったところで! 愛すべき我が家に凱旋としゃれ込むか! 今日はご馳走だ! 俺たち二人のスペシャル手料理が慶太と由衣香を待ってるぞ!」

 芝居っぽい口調で瑛士が嘯くと、「「うん!」」と、元気いっぱいな声が重なった。

 早足でコートの出入り口に向かう瑛士に、私たち三人はついていく。これまでもそしてこれからも、ずっと変わらない私たちのあり方だ。

 今まで進んできた道、今後進んでいく道に思いを馳せて、私は一人、静かに微笑むのだった。

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時空超越ストライカーズ!~A Football Tale in Great Britain~ 雪銀海仁@「演/媛もたけなわ!」商業連載 @hakugin

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