第3話死の島
それほど小さくはない所だった。自分たちはそこが島であることを知っているが、たとえ大きな動物であろうとも、そこが海に囲まれているとは気が付かないだろうと思えた。その大きな島で、子を育てている鳥も多くいた。それが今では全くできない。鳥以外の死骸がゴロゴロし、砂ぼこりが舞い、植物は、本当に一種類だけの、匂いがきつい草があるだけだった。
その草も、サラサラになった土、要は彼らが栄養を摂りつくし、砂となってしまった所にほんの少し生えているだけだった。
「まさかそんなことが起こるはずはない」
その島を見限った自分達鳥でさえ、砂の色に覆いつくされた島に愕然としてしまった。大きな動物はその植物を食べることはしなかった。餌を求め大きな島を巡り、数少なくなった自分たちが食べていた草を食べつくしてしまったのだ。仕方なくその草を食べたが、とにかく食が進まぬのか、まるで好んで死を選んだようにすら見えた。
何羽かの鳥たちが、別の種をその島に撒いたが、時は元に戻らず、その島の命はほとんど尽きたも同然だった。一人君臨したその植物も、いずれはいなくなるだろう。
「この話をすれば、きっとわかってくれるはずだ」
「でも作り話と言われはしまいか」
会議でも鳥たちは困っていた。狂気のような植物たちを止めるのは、あの島の様子を見せてやるのが一番であろうが、そうすることもできない。
「どうにかしなければ」
青い海の上、また雲一つない青い空に、いくつかの点が見え始めた。その点はしっかりとした大きさで、数はそう多くはなく、まっすぐこちらへと飛んできていた。黒くも、色々な色にも見えるその大きな鳥たちの一羽が、まるで指図でもしたかのように群れの他のものを別の所に行かせ、自分だけがここに向かってきていた。一直線に、迷うことなく。
「何か考えが浮かんだか、そうでなければ奴らが生きている意味はなかろう」
大きな猛禽は立派な嘴でそう言った。
確かにその飛ぶ姿は、何か力を持っているように感じた。
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