第7話


「……」


やばい。黒炎くんの言ってることが半分以上わからない。

誰か今すぐ通訳して。


「おや、もしかして、この子がもしかして噂のアカリちゃんかい?」


「へ? 朱里って……なんで私の名前、知ってるんですか??」


「店長、アカリはカタカナでアカリ。こっちは漢字で朱里で全くの別人です。

それにアカリはお尻まである黒髪なのでもっと長いですよ。

ついでに紹介すると、霧姫朱里、俺の幼馴染です」


「あー……いやぁ~、すまない。そっか、別人なんだね。

朱里ちゃん、改めてよろしくね」


「はぁ。よ、よろしくお願いします」


状況がつかめないまま、私は店長に挨拶を交わした。



* * *


その後、店を出た私たちは公園で話すことにした。


(こうしてると、なんだか昔に戻ったみたい)


隣を見ると、イケメンな黒炎くんの横顔。だけど、どこか幼げで。


身長や声が変わったって、性格まで変わることはないんだろう。

そう、思っていたんだけど、現実は違った。


「ねぇ、黒炎くん。ギャルゲー、好きなの?」


「あぁ、好きだぜ! 言ってなかったか? って、無理もないか。

俺とお前が一緒だったのって小学生の頃だもんな」


「うっ」


今、槍がグサッと胸に刺さった気分。

好きな人から、まさかそれを言われるとは、なかなかキツい。


「俺、大のギャルゲーオタクなんだ!」


なかなかキツいカミングアウトを黒炎くんは恥ずがることなく言い切る。

心なしか、超がつくほど目が輝いているのですが、気のせいだろうか。

いや、きっと気のせいではない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る