第6話
「さっきから、痛いくらいに悪寒が……」
「!?」
黒炎くんがチラリと後ろを見る。私はすかさず、看板の裏に隠れる。
「……気のせい、か? そんなことより早く行かねえと!」
(良かった、バレてない)
私はホッと肩の荷が下りるように安堵する。
早く行くって、やっぱり恋人のところ? 他校に彼女がいるってこと?
私の心はモヤモヤで積もっていく。
まるで、雨が降りそうで降らない曇り空のときみたい。
「あった! 今日発売の新作! 残り1個だったとは危なかった」
黒炎くんが入っていったのは、ゲームショップ。
そこで手にしていたのは、まさかのアレで。
「すみません、これください」
「はい、まいどあり。高校の制服も似合うじゃないか、黒炎君。
入学おめでとう。それにしても、相変わらず“コレ”なんだね」
「店長、ありがとうございます。
そりゃあ……やっぱり、ゲームと言ったらギャルゲーですよ!」
そう……黒炎くんが持っていたモノ。
―――それはギャルゲーソフトでした。
「あ―――!!!!」
私は思わず大声で叫んだ。
「「!?」」
黒炎くんもショップの店長も驚いて、こっちを見ている。
「あ、朱里? どうして、ここに?」
「いや……その、私もたまたまゲーム買いに来たっていうか、その……。
そんなことより、今ギャルゲーって聞こえたんだけど!?」
「ああ、ギャルゲーだ! なんなら、朱里もやるか?
だけど、俺が全クリしてからじゃないと貸してやれないけどな。
って言っても、こんなの俺にかかれば1日で終わるんだけどな!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます