第5話


「……」


黒炎くんと同じクラスで安堵するも、すでにたくさんのクラスメイトから囲まれていた。


(これだと、近付けないよ!)


きっと、さっきまでの私だったら気さくに話しかけられるかもしれない。

だって、人目を気にせず、通学路で抱きつけるくらいだよ!?


だけど、“アイツ”の存在を知った私では近付くことは出来ない。


けど、黒炎くんが他の女子と話してるのを見るとイライラする。

うぅ、私ってなんて最低なの!


黒炎くんに彼女がいたとしたら、さっきの通学路でのハグはめちゃくちゃ迷惑じゃん! 私が彼女さんの立場だったとしても嫌だよ。


これは、一体なんていう気持ちなの? 自分でもよくわからない。



(そういえば寄るところがあるって……)


盗み聞きしたのは悪いと思ったけど、聞こえてきたんだから仕方ない。

私は黒炎くんの後をつけようと密かに決めたのであった。


そんなに気にしてはなかったけれど、黒炎くんは名字を言っていない。

私と再会したときも、今だってそうだ。

これって、急な引越しと何か関係があるのかな?


* * *


学校が終わると、お母さんに「友達と遊ぶんだ」と嘘をついた。


そして、今は黒炎くんに気付かれないように尾行をしている私。


(これって、はたから見たら、ただのストー〇ーじゃん)


せっかく同じクラスになれたのに、話せなかったし。


さすがにバレたらマズいと思いつつも、真相を確かめるまでは! と、この恋を諦めきれない私であった。


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