第十二章 【ヒビキ】(3/6)
今晩は講座の日。ココロに付けられた傷がなかなか塞がらなくって首に大き目のバンドエイドして行ったら、いいって言うのにお師匠さんが手当してあげるって。薬を塗ってくれる前に、おまじないよって傷をペロッと舐められた時、背中を冷たいものが奔った。
少しお話して練習はじめ。お師匠さん、同じとこ3回語ってから、はいどうぞって、結構ムリ目なこという。覚えられないんですけど。
でも、なんとか一節だけ聞いてもらったら、
「声が撥ねましたね。やっぱり」
って褒められた。特に何したわけでないけど。
「この調子なら、間に合いそうですね」
間に合うって? 発表会とかするんですか? 無理だと思います。全然覚えられないですし、お借りしたテキストもまだ読めませんもの。
「とにかく、あと一つ、二つきっかけがあればいいと思いますので。たくさん冒険なさってください」
ボウケンですか?
家に帰って長坂モンキーズあてにお願い投稿。
「グループ参加の件、可能であればお願いしたく、連絡乞う。FROM:ココロノハハ TO:長坂モンキーズ御中」
返事はっや。
「表題の件、了解しました。明晩のイベントよりご参加可能。待ち合わせ場所:西廓3丁目交差点、マップリンク、時間:2330 長坂モンキーズ 幹事 エイプ100」
「よろしくお願いします。ココロノハハ」
さて、装備どうしよう。
「装備、水平リーベ棒しかないんですけど ココロノハハ」
「いいです 装備等はこっちで用意します 長坂モンキーズ隊長 モンキーZ50J」
「基本セットもないの ココロノハハ」
「それでどうやって戦ってきたの? まあ、余ってるのあるから貸してあげます 長坂モンキーズ副隊長 ゴールドモンキー」
なんかサルばっかだな。不安マシマシ。
西廓3丁目。地名からするとここは昔、遊郭があった場所。郷土史やってた教頭先生が、昔の辻沢は全域が
ゴッ、ゴッ、ゴゴッ。ウイィー。
「こんばんは。長坂モンキーズ来ました。今夜はよろしく。あ、モンキーZ50Jです」
お前ら、いい年して車とか持ってないの? 原チャリって、コーコーセーか?
「僕はゴールドモンキー。君の戦い、スレッターで見させてもらったよ。やばいね」
はあ? 戦歴ゼロなんだけど。
「カーミラ・亜種3体いっぺんに相手にして一撃で仕留めてた。やばいよ、カレー☆パンマンさん。あ、僕はMTX50Rね」
あれはレイカ……。そういうことか、ユサの仕業だね。この間の動画断りもなくあげたんだ。
「えっと、イエロータクトです。君用のTシャツ用意したんだけど」
あ、そういうのは。
「そう? 『ワイルド7』嫌いだった?」
そういうことでなく、正直ダサい。
「僕が幹事のエイプ100です。よろしく。作戦会議を始めましょうか」
この間の語りたがり屋。赤いバンダナにミラーのサングラス。今夜は迷彩服の上下ですか。
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