19 遠征三日目
クレバスに落ちないように注意しながら、僕たちは無事にアンナプルナ第一峰に到達した。
ちょうどお昼の時間だったので、お湯を沸かしてカップ麺を食べることになった。
お湯が沸くとカップラーメンに注いだ。三分待って蓋を開く。
魚介系の香りのホワイトシチューのようなスープ、空腹を刺激される。スープを一口飲んだ。とても温かくて、優しくアッサリした味だった。
割り箸で麺を掴みとると、そのままズルズルと口の中に運んだ。
その味は、今まで食べた中で一番美味しいカップラーメンだった。
隣のミナサは目を星のように輝かせて、無言でカップ麺を食べていた。
カップラーメンを食べ終わった僕らに遠征最後の試練が始まる。
その試練は雪の上で瞑想をするというシンプルなものであった。
瞑想を開始して一時間経過、三時間経過、静かだ…
八時間経過…キツい、雪が冷たい。
二十四時間経過、2日経過…白馬は気絶しそうになる。実際に少し気絶していた気がする。
瞑想を始めて、三日目の昼、ボスは終了だと手を叩く。
僕たちは三日ぶりにまたカップラーメンを食べた。今日食べたのは、かきたま味噌ラーメン。
卵の食感が楽しく、味噌の濃いスープが嬉しい。麺を飲み物のようにごくごくと飲み込み。一気にスープを飲み干した。
みんなお腹が空いていたので食べる勢いが凄い。ミナサなんてもうカップ麺二つ目だ。
三日前に食べたカップ麺よりも、今日食べたカップラーメンの方が美味かったから不思議だ。
食事が済むと、僕たちはすぐに下山を始めた。一睡もせずに雪山を下り、翌日の朝の六時に下山が完了した。
アンナプルナ麓で待機していた非戦闘員やリナ、アリスと合流する。
リナさんとは初対面な僕はびっくりした。
何故ならば、水晶のような透き通る美しさを持つ美少女だったからだ。
リナさんは、日本語が片言だが喋れるようで人懐こい笑顔が眩しい。
その後、僕たちはカトマンズに車で戻った。
シバ・サノラムさんのご好意で宿を貸してもらい爆睡した。
白馬が目が覚めたのは、二日後の朝の七時だった。なんだか体がとても軽いような気がした。
朝食には、豪華な食事が用意されていた。アリスは豪華な食事を前にして目を白黒させる。
豪華な食事に美味しいと一言口にすると、アリスは泣いていた。白馬はなんとなく、アリスの髪をくしゃくしゃと撫でた。
アリスはそんな白馬の顔を覗き込むと、照れたように【ダンネバード】と言った。
ボスが眠そうに今日、十一時にプライベートジェットに乗り、フィリピン中部セブ島に二日間滞在して、日本に帰ると今後の予定を発表した。
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