18 遠征二日目
早朝五時、朝食を済ませた僕たちはストレッチをして移動を開始した。
白馬は山を登りながら疑問を口にした。
「テロリストを名乗っているから、悪いことをする集団だと思っていたのですが。うちは結局何をする集団なんですか?」
輝はうーんと唸なり、しばらくの沈黙の後に口を開く。
「革命を起こす集団は、世界から見ればテロリストなんだよ
結局は勝てば官軍、負ければ賊軍だ
俺たちは人が傷つかないテロリストを目標にしている
暗い世の中だからこそ正義が栄える。誰だって明るい方が好みだからな。
今は俺たちは悪であることは間違いねぇ
だが、俺たちだって、俺たちのしてることが正義だと信じる
平等じゃないから人は努力する、平等じゃないから人は争う
誰かが相手を理解しようと努力する人間は少ないだろう
皆、自分が大事だからな」
話を聞いてた間にもう夕方になっていた。
開けた場所にテントを張り、今日は晩御飯を食べた後に夜戦の訓練を行うことになった。
「今日はカレーですか!具がたくさん入っててめっちゃくちゃ旨いですね」
「彼方君はカレー好きなの?」
ハルは、カレーを美味しそうに食べる彼方を見つけると、口許を綻ばせながら声をかけた。
「はい、大好物です」
「彼方はカレーが好き。彼方はカレーが好き」
ミナサは何やらメモを取っているようだ。
「ふっふ、男の子だね。たくさん食べてたくさん強くなりなよ」
ハルさん優しいな。
「はい、期待に応えられるよう頑張ります」
「あ、ほっぺにご飯粒ついてるよ」
ハルの白い綺麗な手で、白馬の頬に触れる。そしてご飯粒を口にする。
白馬は大変どぎまぎする。ミナサは顔を真っ赤にしてぐぬぬと手を震わせていた。
僕たちが夜ご飯を食べた後、すぐに訓練を開始した。
今回の訓練では能力を使わず、素手で相手を無力化することが勝利の条件である。
白馬はすぐに無力化されリタイアした。
ミナサは雪の上で、プシューと力尽きたとうつ伏せに倒れ込んでいる。ミナサは冷たくはないのだろうかと彼方はジーッと眺めていた。
訓練で最後に残ったのはボス、サヤ、凪沙だった。
狂花は言わずもがな凄いが。サヤと凪沙二人で狂花に対峙する。
狂花はサヤの猛攻を捌きながら、凪沙の当たれば骨が砕けそうな足技や手刀を躱していた。
十分が経過し、サヤが狂花の山突きで吹っ飛び。
凪沙の手刀と狂花の手刀が交差して、凪沙の手が大きく弾かれ隙が出来た所で、狂花の回し蹴りで凪沙は無力化した。
二十時に始まった夜戦は二十二時に幕を閉じ、それぞれもう遅いからと別れた。
白馬はホントに強くなれてるのか怖かった。
僕はシャワーを浴びて、ベッドで少しモヤモヤしながらも床に就いた。
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