11 いざアンナプルナへ

 修行に明け暮れて、運命の五月十三日。ボスの呼び出しでGod Killerメンバーが全員集合している。


「貴様ら時は来たぞ、呼び出しの理由はわかっているだろうな」


「ハッ!もちろんでございます」


 メンバーの反応に狂花はニヤリと笑う。


「そうだ、アンナプルナへの遠征だ」


 ついにアンナプルナへの遠征が始まる。


 白馬の修行の成果を試す時がきた。


「明日より我らGod Killerはアンナプルナへ出立する。今日中に旅の準備を済ませろ。遅れたモノはおいていく。以上、解散」


 何故だか、男性メンバーはガッツポーズをして喜んでいた。


 白馬は不思議に感じながらも、傭推さんやミナサと共に遠征への必要なモノを、街へ買い出しに行った。


「白馬君、水着買わないとだね」


「水着ですか?」


 傭推は頷いた。


「どうしてアンナプルナへ行くのに水着を?」


「遠征帰りの寄り道で、海で遊ぶのが恒例になっていてね」


「なるほど、そうなんですね?」


 白馬は何故、傭推さんのテンションが気持ち悪いくらい高いのかがわからなかった。


「そして、うちのメンバーは美少女揃いでしょ!君も男ならわかるだろう。そう、ロマンさ」


 白馬が反応に困っていると、ミナサは軽蔑した目で庸推を見る。


「白馬行こっ」


 ミナサは僕の手を引き水着売り場へ。


 傭推さんは、三十分後にまたここでと言い残して、猫カフェに入って行った。


 水着売り場に入ると、ミナサはあれこれ水着を物色しながら白馬の袖を引っ張る。


「白馬はどんな水着が好き?」


「ミナサなら可愛いから、どんな水着でも似合うと思うけど?」


 ミナサは顔を赤く染める。


「…カ…ワ……イイ」


 そして、更衣室でワンピースの水着に着替えたミナサは、カーテンを開けると、恥ずかしそうにしながらはにかんだ。


「白馬、どうかな?この水着、似合ってる?」


「うん、良いと思うよ。スゴく可愛い」


 ミナサは俯き、顔を更に赤く染めた。


「ならこれにする」


 ミナサの着替えを待つ間、自分用の水着を物色した。


 白馬とミナサの水着選びが終わり、白馬は支払いをするためにカウンターに向かったが、ミナサがいない?


 後ろを振り返るとミナサはフリフリな服をじっと見ていた。


 ミナサもやっぱり女の子なんだな。


「服も買っていこうよ」


 白馬はミナサに声をかけた。


 ミナサは一瞬ビックリしたようだが、嬉しそうにパーッと笑顔になった。


「うん、そうだね。白馬はどんな服が好き?」


「僕は白のワンピースが好きかな」


「白のワンピースだね」


 ミナサは白のワンピースを手に取ると更衣室に入った。


 ミナサが着替えを済ませると、カーテンを開けて上目遣いで白馬を見た。


「似合ってる?」


「うん、やっぱりミナサは何を着ても似合うね」


「ありがと」


 ミナサの笑顔は眩しすぎる。


「じゃあ、あと何着か買っていこうよ」


「嬉しい。私、今とっても幸せ」


 ミナサの声がとても弾んでいた。


「大袈裟だな」


「大袈裟じゃないよ。今日は私の初めてがたくさんあった。白馬と一緒にいられて私は幸せ。…ごめん。今の忘れて、とても恥ずかしいことを言った」


 ドキッとして、白馬の鼓動が速くなる。


 その後はミナサの着替えを待ってる間に、ミナサと僕の水着と服の支払いを済ませる。


 傭推さんと合流してアジトに帰ることになり、ミナサと僕は道中、互いに目が合うと慌てて視線を逸らすことを繰り返す。


 そして僕達はプライベートジェットでアンナプルナを目指して旅立った。

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