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プロローグ 神の正体

「キミタチは、神の楽園で暮らしていた。しかしキミタチは、我等の叡知を盗み追放されることとなった」


「そして追放されたキミタチは、人という新たな種族として地上に現れた」


「だけど、我等の叡知である知恵の実を食べた人間が、どうなったか気になるよね?」


「それはね、知恵の実を食べた人間は、神の恩恵である運を得たわけさ」


「それが、現在まで運が引き継がれた結果なんだ」


「それから運を得た人間がどうなったかって?」


「お察しの通り運を得た人間は、カーストのような見えない序列で縛られる存在となってしまったよ」


「貧富、差別、キミタチの人生そのもの。それらはキミタチの生まれる前から決まっていた神のシナリオなんだ」


「人間は、死ぬまで運に囚われて生きるわけだ」


「不平等は、人間が生まれ落ちて死ぬまで無視できないものさ」


「何故なら人は運を得てしまったからだ」


「神から奪ってしまったもの、それを運命と人間は呼んでいる」


「キミタチが、我々神に刃向かわぬよう運をコントロールしていたが、稀に異分子が生まれる」


「その異分子は、決まって我々神に牙を向いた」


「面白いことに牙を向く異分子は、運の力が強くて神に届きうる存在だった」


「我々は、その異分子を神の子と呼んでいる」


「何故だかわからないが、神の子は百年に一度八人生まれる」


「システムの障害かと思った我々は、何度も修正しようとしたけどお手上げだよ」


「毎回さ、勝手に我々の天界に道を開き、打倒神だとか言っちゃって笑っちゃうよ」


「身の程をわきまえろって話だよ」


「しかし我々は、神の子には利用価値があることに気付いたんだ」


「神の子を神の使徒、要するに神の下僕として雇うことにしたわけさ」


「でもね。先程言ったように異分子キミタチは、我らに牙を向く」


「だからめんどくさいんだよね」


「仕方ないから一度負かして、運をいじっちゃうわけ。そしたら従順な神の下僕の出来上がりさ」


「人間にルールがあるように、我々にもルールがあってね。神様は神様でなければならない」


「つまりは、我々は感情を持たず固執しなければいけないわけだ」


「神という存在からの変質は、ご法度とされている」


「だけど、キミの暮らす日本では、神という存在は希薄となってきているね」


「その理由はわかるかい?」


「えっ?働かない神はいらないって!酷いな!?」


「理由はね、日本という国は、文明が発達して神様と呼ばれる不確かな存在に頼る必要がなくなり、満たされてしまっているからなんだ」


「元々は祈るという行為は、誰かの無事を祈るためのものである」


「しかし日本では、本来の意味ではなく神頼みと呼ばれる願いへと変わった」


「日本以外での祈るという行為は、感謝を伝えることや罪の告白と赦しのためだったりする」


「でも、おかしいね。キミタチ人間が崇める神は、全員死んでいるんだけど」


「◯◯◯◯、キミタチは、我々神を殺せたところで意味はないよ」


「神というシステムを作ったのは、キミタチだからね」


人間キミタチが存在し続ける限り、我々は滅びないよ」


「諦めた方が楽なのに、何で人間キミタチは繰り返すのだろうね」


「我々には、とても理解が出来ないよ」


「もう何度も同じ言葉を繰り返しているんだよ」


「なのに誰一人として受け入れないから、流石に落ち込むよ」


「まあ、従順な下僕の方が扱いやすくて楽で良いんだけど」


「キミタチは、神に愛された子供たちなのだから」


「我々にとって、人間は特別だからね」


「でも、このままキミタチが繰り返すのなら。永遠にキミタチは、我々と戦い続けないといけないわけだ」


人間キミタチが滅びる、その時まで。じゃあ、そろそろ始まりの戦歌を奏でよう…」

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