第五幕 其ノ四

 ユノはフェムトが何やらこそこそやっているのには気付いていた。我関せずと放置していたのだが、何かの紙束をこちらに向かって放り投げるのを見るに至って無視を止める。フェムトの非力さ──ユノの所感であり、一般成人並みの腕力はある──がたたり、その放物線は明らかにユノの居る場所の遥か手前である。何なら球状魔法陣の所まですら届きそうになかった。

 魔法陣にもナキアヅカ達にも動く様子が無い事を確認した上で、ユノは素早く前に出て投げられた紙束をキャッチする。

 ズシリとした重みのある紙束を片手で軽々と持てるあたり、流石に鍛え方が違うという事か。

 魔法陣への意識は残したまま手にした紙束に素早く目を通して行く。浅学せんがくではあるが魔法についても一片通りは学んでいたユノであったが、そこに書かれた内容は余りにも高度かつ専門的過ぎて大半がユノの理解の範疇はんちゅう外であった。しかし幾つか分かった点もある。

 一つは地上の魔法陣だ。

 星の血管とも言えるエネルギーの奔流、『龍脈』からその力を得て居る事。

 そしてその陣の本体も、地下の『龍脈』に直接打ち込んである事。

 地上に見えているのは、効力を発揮するために地上に陣を投影しているに過ぎないという事。

 通りで地上の陣を幾ら削っても無駄な訳だとユノは得心する。と同時に、地下深くにあるであろう『龍脈』に直接干渉するすべもない以上、地上の魔法陣に関してはお手上げと言わざるを得ない。

 二つ目は二つの魔法陣をナキアヅカ本人が制御しているという事だ。

 つまりは、ナキアヅカを仕留めれば二つの魔法陣は消える……はずだ。仕留めるまで至らずとも、集中を乱す事が出来れば、これだけの規模の魔法陣だ、制御を維持するのは困難であろう。

 制御を失い暴走する可能性等も考慮の余地はあるが、トワ様が支配される事と比べれば大した事ではないなと結論付ける。例えその影響で街一つ、国一つ、はたまた大陸一つが消え去ったとしても。

 ユノの読みは相当に甘く、トワの力を取り込んだこの魔法陣が暴走、大爆発など起こそうものなら星はおろか恒星系一つ軽く丸呑みするほどの物になるのだが、流石にこれを想像できない事を責めるのは無茶と言う物だろう。

 むしろこれだけの力を持った魔法陣を制御して見せているナキアヅカは、まさしくこの道の天才と言って過言ではなかった。

 ユノがざっと目を通して理解できた範囲で、今役に立ちそうな情報は以上の二点だけだ。

 結論、トワを助け出すには兎にも角にもずはナキアヅカを仕留める事。これに尽きた。

 魔法陣の処理に関しては暴走しない様お祈りするか、解放されると同時にトワが対処してくれる事を期待するしかない。

 何はともあれ行動目標が明確になったのは良い事だと、ユノは自分に言い聞かせる。

 ナキアヅカを斬る!

 シンプルで実にいいじゃないか。

 トワから託された刀を握る手に、知らず力が篭る。

 緊張はあれど焦りはない。

 高揚はしていても頭は冷静だ。

 ユノはかつてない程の力の高まりを感じていた。

 ユノは静かに刀を鞘に納め、腰だめに構え鯉口を切る。抜刀の構えだ。

「フッ!!」

 鋭い呼気と共に抜き放たれた剣閃が、力の刃となって上空に浮かぶ球状魔法陣を先と同じ様に斬り裂く。

 斬り裂かれた球状魔法陣は、これも先程と同じ様に直ぐに復元を始める。

「ぜやあああああああああ!」

 ユノは間髪かんはつを入れず振り抜いた姿勢から刀を返し、斬り上げた線を逆になぞる様にして振り下ろす。

 再び放たれた剣閃は開かれた魔法陣の隙間を縫い、その中心にたたずむトワと、その背後に居るナキアヅカを遂に捉えた!

 その瞬間──

 トワを中心にして広がっていた球状魔法陣の形が歪み始めたかと思うと、ぐにぐにとあちこちが棘の様に尖り始めさながら金平糖の様な形になったかと思うと、爆発はしなかったものの、蓄えられた膨大な魔力が物理的な力を伴って放射状に一気に拡散したのだ。

 ユノは咄嗟とっさに刀を地面に突き刺し踏ん張ろうとするが、爆心地に近すぎたが故の猛威に敢無あえなく吹き飛ばされてしまう。

 ナキアヅカの屋敷や周囲のやぐらなど、あらゆる建築物が吹き飛ばされ辺りは一瞬にして更地になってしまっていた。唯一辛うじて残っていたのは塀の一部くらいの物だった。

 ユノは吹き飛ばされながらも、無事に残っていた塀の一部に着地し体勢を整える。ここが残って居なければ何処まで飛ばされていた事か分かった物では無かったが、そこが残っていたのは偶然ではない。ユノが衝撃を受け止めたが故に、その背後にあった塀が壊れず残っていたのだ。

 一方のフェムトは、紙束を放り投げた後はとっとと地面に降りて物陰に伏せていたため、後ろにゴロゴロと転がる様に吹き飛ばされはしたものの、掠り傷が少々と言った程度で大事には至って居なかった。

 球状魔法陣消滅の余波は僅かな時間で消え去った。

 天と地、二つの魔法陣が同時に消えたのを確認すると、ユノは舞い上がった土埃に隠れたトワの下へとはしる。

『ブラスト!』

 ユノは土埃を風の魔法で吹き散らし、その眼にいまだ宙に在るトワとナキアヅカの姿を捉える。

 一見した限りでは二人に大きな傷などは無い様であった。

 ナキアヅカまでも無傷であった事は意外であったが、魔法陣の破壊という目的は達成されているのだから、その程度は些細な事だと深く気に留める事なく一気に突っ込んで行く。

「覚悟!」

 未だ動きを見せぬトワとナキアヅカを不審に感じながらも、この機を逃すまじと、ユノは大きく跳び上がるとトワを躱しナキアヅカの背後に回り込み、刀を袈裟けさに振り下ろす。

 ユノの振るう刀がナキアヅカを一刀両断にした!

 ユノの刀は振り下ろされ、ナキアヅカの体を斬り裂いた……筈だった。

 目の間にあったナキアヅカの体は、再びトワの背後に在った。そしてトワは、地面に着地し刀を構え直すユノをじっと見つめていた。

 無表情でユノを見つめるトワからは、それまでの様な快活でちょっと意地悪な可愛らしさと共に、決して底の見えない深淵の様なものが感じられていた。

 ただ、そこにあるのは、『無』

 まだ、何もしていない。

 ただ、ナキアヅカを背中にかばっただけの事。それだけの事に、ユノは背筋が凍り付く思いだった。

「そんな……そんなハズはない!」

 し潰されそうになる恐怖を怒鳴る事で振り払おうとするユノ。

「クク……ククククク……はーっはっはっはっはっはあああ!」

 そんなユノを嘲笑あざわらうかの様に、それまで沈黙を貫いて来たナキアヅカが哄笑こうしょうを響かせる。

「やった……やってやったぞ! 儂は! 儂がっ! はーっはっはっはっ!」

 トワの背後で狂った様に笑い続けるナキアヅカを、ユノはキッと睨み付ける。

(まだだ!)

 奴がトワ様に命令を出す前に、始末する!

 先程は奴だけを斬ろうとしたために、斬撃自体は手加減した物になってしまった。

 次は諸共もろともに斬る覚悟で、行く!

 恐らく次の斬撃も背後に庇って躱すだろうと読んだユノは、剣閃をもってして躱した先のナキアヅカをトワごと斬ってしまう算段であった。

 しかしトワの動きはユノより一手早かった。

 一瞬たりと二人から目を離す事は無かったにも関わらず、トワの姿が気付けばユノの懐の内側にあった。

(言葉による命令すら必要ないとは!)

 それはユノの大きな誤算であった。

 無手のトワと刀を握るユノ。大きな実力の差があってしても、遥かにユノの方が有利な状況である。その差が『大きい』程度であれば……。

「くっ……!」

 強く地を蹴り後退するユノ。

 刀の間合いを維持すべく一旦距離を取ろうとするが、トワはそれにピタリと付いて来る。

 その密着した状態からスルリと伸びて来るトワの腕を、刀の柄で打ち払いながら全力で揺さ振りを掛けトワを引き剥がそうとするも、何かで繋ぎ合わされているかの様に追随してくる。

(間合いさえ何とかなれば……っ)

 トワを躱してナキアヅカを討つ機会も得られるかもしれぬと、そうユノは考えていた。

 トワはその考えを見透かす様に、ユノに張り付くのを止め距離を取る。それも敢えてユノの間合いギリギリ内側まで。

 それは「さあ打って来い」というトワからの無言の誘いの様であったし、逃げ回るユノを追いかけるのに飽きた様でもあった。

 どちらでも構わない!

 ユノに選べる選択肢など、もう残されては居ないのだから。

「はああああああああああああああああああああああああああ!」

 全身全霊、乾坤一擲けんこんいってきの一撃を持ってトワ様に刹那の隙を作り出し、返す刀でナキアヅカを討つ!

 ユノに残された可能性は、この一手のみであった。

 ユノは全ての力を切先の一点に集中させ、自身の限界を超えた速度で突撃する。

 狙うのは一番面積の広い胴体。技は速度優先、最短距離を行く突き。

 ユノの生涯の中でも、最高最速の一撃であった。

「ぐ……はっ…………!」

 しかしその刃がトワに届く事は無い。

 口から血を吐き、地面に倒れる事も許されないユノの姿がそこに在った。

 ユノの背中からトワの手が突き出していたからだ。

 トワの腕は肩までユノの体に埋まり、完全にユノの胴体を貫いていた。

「ト……ワ…………さ……ま………………」

 ガシャン──

 力なく零れたユノの言葉。力なく項垂うなだれた手から刀が零れ地面に転がる。

 ユノは腕を引き抜くと、ユノの体を掴んだままナキアヅカの方を振り返る。

「その娘はまだ殺すな。お主程ではないにしろ、儂のお気に入りの娘なのでな。これから先まだまだ楽しませて貰わらければならん」

 ナキアヅカの言葉にコクンと頷くと、トワはユノの体に開けた穴に手をかざす。

 すると、まるで逆再生したかの様に見る見る傷が塞がり、元の綺麗な状態へとあっという間に治ってしまう。

 ただ失った意識までは直ぐには戻らない様で、ユノはそのまま地面に寝かされる。

「一応念の為、もう一度この娘にも呪印を刻んでおくとするか。トワよ、そのままその娘を抑えておれ」

 命を受けトワは寝ているユノが暴れない様にしっかりと押さえ込む。

 その様子を確認してからナキアヅカはユノの下へと歩み寄り、そっと手を伸ばす。

 と、その時──

 

 パァン!

 

「うぐっ!」

 火薬の炸裂音と共に上がる苦鳴。

「ちっ……外した……っ!」

 フテリの死体から拳銃を拝借はいしゃくしていたフェムトの、起死回生の一手であった。

 トワを我が物とし、ユノも今一度この手にしようというその時、ナキアヅカの頭にはフェムトの事など欠片もなかった。完全なる油断。トワはフェムトに気付いていた物の、ナキアヅカの命令を受けていたためそちらを優先。正にこれ以上ない絶好の機会であった。

 フェムトによる不意打ちは、ナキアヅカの肩に命中していた。

 弾自体は当たっては居たが、致命傷には程遠い。これでは立ちどころにトワによって治療されてしまうだけだ。

 出来れば即死。少なくともトワに命令出来なくする必要がある。ユノとの戦いを見る限り言葉を介する必要が無さそうな以上、意識を刈り取る必要がある。

 フェムトは初めて手にする銃を続けて二度三度と、ナキアヅカに向けて発砲するが一発目を外した焦りと緊張から真面まともに照準が定まらず、どちらもナキアヅカの体を掠りもしない。

「トワ! その娘は後でよい! この男を始末せよ!」

 四度目の弾丸は、奇跡的にナキアヅカに直撃するコースを取っていたが、新たな命を受けたトワが行きがけの駄賃とばかりに弾き飛ばす。

 フェムトの目前まで『凄まじい速度で駆けて来る』トワ。

 フェムトはトワの速さに「ヒィィ」とおののきながらも、引っ掛かる物を感じていた。

 そしてトワの瞳に自分の姿が写っているのが見える様になって気付く。

(凄い速さで移動してくるのがおかしいんだ)

 と言う事に。

 そしてその時、それまでまるで無であったトワがフェムトの前でニヤっとわらう。

「お主にしてはよう頑張ったのう。恰好良かったぞ?」

 フェムトにだけ聞こえる様にささやく。

「後は任せて寝てるが良い」

 トワがピンっとフェムトの額を軽く指で弾く。

「まあちと苦しいかもしれんがのう……」

「なん…………っ?」

 最後まで口にする事は出来なかった。

 トワに額を弾かれたフェムトは、全身の穴という穴からありとあらゆる体液を撒き散らしながら、人体が爆発するかの様にして死に至っていた。

 それはトワがフェムトに掛けた呪いの、恣意的しいてき発動であった。

 それを見届けるとまた無を取り繕って、トワはナキアヅカの下へと戻る。

 ナキアヅカはその余りに凄惨な光景に、流石に言葉を失っていた。

 恐怖に?

 否。

 歓喜に!

 これ程の怪物を支配下に置いた己の研究の正しさに。己の人生の大半を捧げた研究が遂に実った事に。

 そして、これからその怪物を思う様嬲り、さらし、痛めつけ、上げる苦鳴を思う存分堪能する事が出来る!

 たぎる!

 滾るぞおおおおおおおおおおおおおおお!

「ぐわーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっーーーあああ!」

「はーっはっはっはっはっはあっ!」

 絶頂の極みに至り、感情を抑えきれぬままに哄笑を響かせていると、何処からか己以外の声が聞こえて来る事に、ナキアヅカは気付く。

 怪物は奴隷と堕し、勇者は地にし、邪魔な虫は肉塊へと変じた。

 何時か来るかもしれぬこの日の為にと集めた魔族の兵士達は、地上の魔法陣を起動するための生贄としてその役目を見事に果たした。

 今この地に、自身以外に声を発する者など居よう筈がない。

 そう──居る筈がないのだ。居てはならないのだ!

 鼓膜を震わすその声がする方へと、ナキアヅカは勢い良く振り返る。


「──────っ!?」


 ナキアヅカがそこに見たものは、未だ高笑いを続けている小さな少女。

 言うまでもない。トワである。

「莫迦な……。そんな筈が……。貴様は…………貴様は確かに儂の奴隷と化したはず!」

 目の前の現実を理解する事を、ナキアヅカは本能的にこばむ。

「有り得ん有り得ん有り得んありえんありえんアリエンアリエン……っ! 儂が……儂が作り上げた魔法陣は完璧だった! 最後は勇者に少々邪魔された故急ぎはしたが、完全な形で発動させたのだ! 貴様は儂の完全な支配下に在らねばならんのだ!」

「クックッ。確かに。お主の作った魔法陣はどちらも素晴らしい出来じゃった。お主が完璧じゃと自負するのもうなずける。『今までこの魔法陣を使って来た』者達の中で一番じゃったぞ」

 高笑いを止めたトワがナキアヅカに答えてやる。

「なっ……つまり、それでは…………」

「魔法陣は完璧じゃった。ただ肝心な前提をお主は間違えてったのじゃ。今までコレを使って来た者達と同じ様に、の」

 ツカツカとナキアヅカの傍まで歩み寄り、そっと耳元にトワは囁く。

「そもそもこんな物をどうした所で、この儂に効いたりはしないのじゃな。お主の人生全てが無駄じゃったのう?」

 絶頂の極みから一転、絶望の奈落へと叩き落されたナキアヅカの表情は、畏れ慄き泣いている様にも、気が触れて笑っている様にも見える。愕然とした等と言う状態を遥かに越えた、人格が崩壊していく様であった。

「そんな……そんな…………儂の……儂は…………ああ……ああああああははははははははははははは」

 譫言うわごとを呟くナキアヅカを指さし、トワは──

「かーっかっかっかっかっかっかっ!!」

 け反りながら大爆笑していた。

 それはもう大変な笑い様で、ケタケタ、ゲラゲラ、ヒーヒー言いながら、足を踏み鳴らしたり、地面をゴロゴロ転がったりしながら、全身で笑いを表現していた。

 文字通り、笑い転げて居た。

「それじゃそれ。……ひぃひぃ……それが見たかったのじゃ……ああ愉快愉快じゃ」

 目には涙を浮かべながら、まだ笑いの余韻が収まらないのか、腹を抱えてうずくまると握りこぶしで地面をドンドンと叩いていた。

「最早聞こえては居らんかも知れんが、儂はお主の様な己の欲に素直な者を好む。実に儂を楽しませてくれるからのう。ヒトからこの身になって、無限の時間を生きると言うのは実に退屈でいかんのじゃ。退屈こそが儂の一番の強敵てきじゃな」

 うむうむと自分の言葉に自分で頷く。

「この魔法陣はその効果のせいじゃろうな、ごうの深い者達を惹き付けおる。じゃからこうして幾度となく使われておる。壊す? まさかまさかなのじゃ。むしろ敢えて誰かに見つかる様に残しておくのじゃよ。そしてこれを見つけた誰かがこれを使い、人生の絶頂を極めた時、それを全てぶち壊してやるのじゃ。正に今のお主の様にの。その時の反応は皆様々じゃが、素晴らしいまでの感情の発露を見せてくれおる。それを見るのが楽しゅうて楽しゅうてたまらんのじゃな」

 聞く者も居ない中、否、聞く者が居ないからこそ滔々とうとうと語るトワ。

 トワはヒトとして壊れた自身の感情を客観的に、いや神の視点から理解している。

 だからこそ、ヒトの感情が激しく揺れ動く様が愛おしく、懐かしく、よろこばしいのである。

「さて、そろそろ今回のお楽しみもお開きと致そうかの」

 焦点の合わない目で虚空を見つめながら、譫言を呟き続けるナキアヅカに引導を渡すべく、ユノが落とした己の刀を拾い上げる。

「さらばじゃ」

 スーッと滑らかに、名残惜しむ様にトワ的にはゆっくりと、刃を横に空を滑らせる。

 客観的には刹那の真空状態を生み出す程に鋭い一振りは、何の抵抗もないかの様にナキアヅカの首を斬り飛ばす。

 ナキアヅカの首は背中側にゴロリと転がり落ち、力を失った体は前のめりに地面に崩れ落ちる。

 トワはそれを見届けると、血の一滴も付いていない刀を一振りし血払いの動作を行うと、懐から懐紙かいしを取り出し刀を拭い空に放り投げる。

 うむ。と何か納得いった様に満足げに頷くと、納刀しナキアヅカの遺体に背を向ける。

「一件落着!」

 気を失ったままのユノと、フェムトだった肉塊を何の躊躇もなくむんずと掴み上げ、トワはナキアヅカの屋敷を後にした。

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