トリガーハッピー・シンドローム
あー…………、楽しかった。
何かもう頭の中が全部ふわふわになって、掌に伝わる振動がやけに存在感を増していって、視界が怖いくらいクリアになっていく感じというか。
今まで話には聞いてたけど、〈銀の弾丸〉を埋め込んだ人たちが殺し合いを楽しむ理由がやっとわかりました! 今だって、たった三人を撃ち殺しただけなのに、こんなに幸せな気持ちになっちゃってます。ああ、適合手術を受けて良かった。本当にありがとうございますっ!
いや、何というかですね……これまでわたしが感じてきた幸せって、全部どうでもいいものでしかなかったのかな、って思っちゃいます。
だって、今のを経験しちゃったら……。
とにかく、わたし気付いちゃいました。
これまで最高だと思ってたもの、セックスもドラッグも全部、ただのおままごとでしかなかったんですよ! こんなに素晴らしいことがあるのに、この人工島なら誰でもすぐに簡単にできるのに、どうせ警察に捕まることなんて絶対にないのに、何で皆やらないんだろう。もしかして怖がってるのかな? 何を? 全然理解できない。
ああ……でも、一時間も経ったらまたやりたくなってきちゃった。
ねえ、ちょっと私に撃ち殺されてくれます?
できるだけ痛くないようにするので。
はは、何わけわかんないこと言ってるんですか。
監禁されてるお父さんとお母さんがどうしたんですか? わたしが銀使いにさせられた理由? え、もしかしてわたし脅されてたんですか?
あ、でも! もう気にしなくて大丈夫ですよ。お父さんとお母さんのことは好きにしてくれて大丈夫です。なんか急にどうでもよくなっちゃったんで。
てか、そんな風に言われたって……。私がコレをやめられるわけないじゃないですか。コレは一度知っちゃったら離れられない、そんな種類のものなんですよ。そんなのあなたも解ってるはずでしょう?
……ああ、我慢できなくなってきた。もうやっちゃっていいですか?
ちょっと、動かないでください! すぐ終わりますから!
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