第2話 “水咲 廉斗”

普段なら、放課後は残らずに車で帰っているはずなのだが今日は例外で、私を保健室まで運んでくれた人でもあり、同じクラスでもある『水咲 廉斗』と高校に入ってから初の“電車”に乗って下校している。


名前は知っていた。

なんでも、学校1のイケメンで、女子からは告白の嵐でスポーツ万能。

一年でありながら、サッカー部のレギュラーを任された男。学力はどうか知らないけど、

まぁ、とにかく学園の人気者ってところだろう。

でも、その彼が何故私を保健室まで運んだのか、周囲のクラスメイトは私の異変に気づかなかったのに......。なんでこの人だけ私の異変に気づいたんだろうか。

ただ、洞察力が鋭いだけなのだろうか、


「ねぇ、どうしてそんなに険しい顔してるの?なにか考え事でもしてるの?」


「いや、少し考え方をしていただけ。

でも、なんで水咲くんは私と一緒に帰ることにしたの?もっとほかに一緒に帰りたそうな女子とかいたのに......。」


「うーん?なんとなく、かな?」


なんとなく、か。まぁ、いいや。明日になればどうせもう関係ない。

今日は特別。

そう、思っていた......。


けど、そんな私の考えは大きく外れることになった。

また考えに思考を巡らせていると、水咲がまた話しかけてきた。


「ねね、椎名さん、今日からずっと一緒に帰ろ!」


「え、いや、私は毎日車で登下校してるし、私といるより他の人達といたほうがいいよ」


「え?なんで?俺椎名さんと帰りたーい

俺と2人きりが嫌なら人数たそうか?」


「いや、そういうわけじゃなくて」


「よし!理由がないなら一緒に帰ろ!!約束ね!あと俺の友達3人ぐらい追加するね!」


「えっ、ちょっと、水咲くん!」


はぁ、、断れなかった、かといってこっそり車で帰るっていうのも気がひけるなぁ。




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忘れられないあの日へ 麗央 @reoka12

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