リリンが死んだ村<3>
翌朝、私が広場に入った時には人々がゆっくりした動作で葬式の片づけをしていた。皆飲みすぎたせいか無口で淡々と作業していた。遺族達が墓地の方へ歩いて行った。家の屋根に上った男達が紐をほどいて旗を屋根から落とした。
私は村を出た。道の脇に浮いた黒い水晶を男達が台車に乗せて片付けていた。
「仕事しているところ悪いがそれは何だね」
私が訊くと若い男が、
「これは昔から村にある死者を送る道標らしいよ。何でこのでかい石が光って浮くのかよくわからないがな。旅人のあんたなら何か知っているんじゃないのか」
と明るく話してくれたが、私は「いや見たことないな。ありがとう」と淡々と答えて歩き始めた。辺りの景色を見ながら私はこの季節感のない鮮やかな景色は死者の悲しみを癒す為のものだろうかと思った。レンガ作りの小屋の水車がコトコトと音を立てながら回っていた。
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