プードルスター選手権<1>

 犬小屋位の大きさの家が並ぶ町を訪れた。屋根の色が赤や青く鮮やかでドアのない家が並んで建っていた。壁は水色や白のタイル張りで犬小屋とは少し違った。この町には小人が住んでいるのかと思いながら歩いていると、

 「おい、そこの骨野郎」

と背後から声がしたので見ると茶色のプードルが小さな尻尾を振って私を見ていた。

 「なんだケダモノ」

 「ケダモノとは何だ。失礼な奴だな。俺は見ての通りプードルだ。トニーと呼んでくれ」

 プードルと呼んだらいけないのかと思ったが面倒臭そうな犬だったので話を合わせた。

 「それじゃトニー、ここに住んでいるのはみんなプードルなのか」

 「ああ、そうだ。ここはプードルの町だからな。ついて来いよ」

 話が微妙にかみ合わないまま取りあえず生意気なトニーの後をついて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る