枯れたひまわり畑<5>
ひまわり畑を抜けると道沿いに大きな屋敷が建っていた。白いタイル張りの壁と青い屋根の鮮やかな屋敷に先ほどの馬に乗った領主が入ろうとしていた。
「何だ。まだいたのか」
相変わらず高圧的な物言いだった。
「ああ、ひまわり畑に水を引くのを手伝っていたよ。領主様に手間賃でも頂こうかな」
「それはご苦労だった。礼をしたいので入りたまえ」
私の皮肉をかわしてその男は私を屋敷に案内した。
緑の低い木々に覆われた庭園を抜けて屋敷に入った。屋敷の中は思った以上に質素でとても静かだった。
「おい、今帰ったぞ」
男が言うと「はい」と年老いた女の声がした。程なく声の主と思われる女が現れた。白髪の日焼けした老人だった。
「ああ、私の妻のミリアだ。こちらは旅人だ」
男から突然紹介されて私は「どうも、お邪魔します」と答えた。
ミリアは「ああどうも。ようこそ。今、お茶を淹れますね」と笑顔で答えて奥の部屋へ入って行った。
「どうだね。驚いただろう」
「そうだな。あの老人からあんたが不死の体だと聞いたよ。奥さんは普通に年を取っているようだな」
「ほう、驚かないのか。その通りだ。私は死なずに体の時間が止まったままだ。どうしてこうなったかわからないがな」
私は「そうか」と答えるとミリアがお茶を持ってきた。
「そちらの方は飲まれないのですね」
ミリアは少し恐れた表情で私を見た。
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