第12話 簡単な質問


 部屋の後ろには棚があり、色んなものが飾ってあった。

 その中の一つに呪われてそうな日本人形が上にある。

 その日本人形が喋ったのだ。


『これからお前にいろんな質問をする! それに答えられなければ罰が下るぞ!』


 怖い顔で刹那を睨む日本人形。


「この系統かぁ……」

「刹那頑張れ!」

「僕も一緒に考えるから!」

「俺たちがついてる!」

「絶対ヒント出してやるから!」


 口々に助け船を出す5人。

 刹那も涙ながらに顔を引き締める。


「私頑張る!」

「その意気よ! せっちゃん!」


 瞬も横で応援する。

 そんな刹那に日本人形がいやらしく笑う。


『安心しろ。仲間が答えを教えたからと言って罰は下りない。私は優しいからな』

「うん? 随分優しいな?」

「優しすぎて嫌な予感がする……」


 英吾と圭人の二人が嫌な顔になる。

 だが、日本人形がさらに笑った。


!』


ぴきっ


 刹那の顔が完全に凍り付いた。

 その一方で仲間たちが安堵の息を漏らす。


「何だよ。答えがそこにあんのかよ」

「鬼〇なら俺らも全部読んだからな」

「みんなでそれをネタに遊んでたし」

「何回も読んだから大丈夫だな」

「何か発音がおかしかった気がするけど大丈夫だろ」


 ほっとする5人の男たちだが、刹那と瞬はそれどころではない。


(ぐぉぉぉぉぉぉ……)


 吐きそうな気持になる刹那。

 そんな刹那を尻目に日本人形が高らかに言った。


『第一問.一巻で炭〇郎が町で売っていたのは何?』

「意外に簡単だな」

「炭だ! 炭! 名前にも書いてあるぞ!」

「脅かせやがって……楽勝の問題じゃねぇか……」


((全然楽勝じゃない!))


 瞬と刹那は心の中で泣く。

 瞬はぱらりと薄い本をめくるが……


『亀〇~♪ 〇頭~♪ ピンクで滑らかな亀〇頭は如何ですか~♪』


 かなりイカレたセリフを吐いている〇次郎が書いてあった。


(売ってるのが『〇頭』なんて言えない!)


 こんな内容が知られたら首をくくるぐらいの勢いだろう。

 刹那は泣きながら答える。


「わかりません……」


パァン!


 答えると同時にお尻を叩かれる刹那。

 男たちが全員キョトンとする。


「何でわからんの?」

「何かあったのか?」


 全員が心配そうに近寄るのだが……


「お願い! 来ないで!」

「「「「「お、おう……」」」」」


 血の涙を流しながら叫ぶ刹那に気圧されて動きが止まる全員。


そして数分後……


「しくしくしくしくしくしくしくしく……」


 全問答えられずに顔を両手で覆って床に泣き伏せる刹那が居た。

 困った顔で傍に居る瞬。


「あーごめん……ちょっと先進めてくれる? 刹那は精神的ダメージが大きいの」

「……どっちかと言うとケツに物理的ダメージじゃないか?」

「というか何であんな簡単な問題が答えられない?」


 不思議そうな顔をしている男たちに申し訳なさそうな瞬。

 英吾は怪訝そうな顔をするが先へ進めることにした。


「じゃあ、次行くぞ。最初はグー! じゃんけんぽん!」

「俺か……」


 嫌そうに圭人が唸る。

 仕方ないので引き出しを開ける圭人だが……


「うん? ゲーム機?」


 中にあったのは携帯ゲーム機だった。

 英吾がそれを見て訝しむ。

 

「すげぇ古いな……連護兄ちゃんが遊んでたD〇じゃん?」

「本当だ……」

「まあいい。スィッチ入れるぞ」


 圭人が嫌そうにゲーム機のスィッチを入れる。


ビュオン!


 圭人がゲーム機にスイッチを入れると同時に前の黒板が光り始める。

 そして……


『ときめき学園! 孕ませハーレムエディッション!』


 と出てきた。


「……エロゲーかよ……」


 笑うよりも呆れかえる圭人だった。


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