第10話 第三の関門
まあ、そんなこんなでとりあえず隊服に着替えた面々は廊下を歩いて行く。
英吾が自分の隊服を見ながらぼやく。
「この服ってことは……この系統の話ってことだよな?」
「多分な……」
隣に居る圭人もぼやく。
「別にそれ自体は構わんのやけど……なんか意味があると思う?」
「どういう意味だ?」
英吾の言葉に怪訝そうな圭人。
「なんか感じるんだよね……「こうやって欲しい」的な態度が」
「ふむ……」
思案する圭人。
「あるやん。「そんなにやる気無いなら帰れ!」って言っときながら、帰って欲しくない感じ? あれと同じような匂いを感じる」
「……うーん……」
額を顰めさせて考える圭人だが、ぽつりと尋ねる。
「つまり、それをやると俺達は解放されるってことか?」
「多分ね……ただの勘だけど」
「お前の勘は当てになるからな……」
圭人は顔を顰める。
「いつも謎なんだよな。何でお前は直感であそこまで綺麗に当てる? 何のヒントも無いのにさらっと答えを導くよな?」
「それを言われても何となくとしか言えないなぁ……」
逆に困った顔になる英吾。
(何でやろ?)
思案する英吾だが、それを見ながら圭人は考える。
(こいつの勘が正しいとすれば、俺達をここに閉じ込めた奴は何がしかの事を俺たちに求めている……)
そして今まで起きたことを振り返ってみる。
(最初はエッチしてるみたいに聞こえた部屋……ただウザイだけだったな)
圭人自身もちょっと中を見たかったのだが、オチを見てウザくなった気持ちしかない。
(次に変なコスプレをさせられた試着室……)
内容に一貫性はあったが、それだけだ。
(笑って〇いけないを彷彿させる内容と鬼滅〇刃か……何となくありそうな気がするがなんか変だな。今のところ、無理矢理出場させられたって感じだし……)
意味があるようにはとても思えない。
だが、圭人はここでピタリと立ち止まる。
「うん?」
「どうした?」
「なんか引っかかるんだ……」
そう言って圭人は思案するが……
「ダメだ。思いつかない……」
「何なんだよ一体……」
英吾が困り顔になる。
「なんか今重要な手掛かりをつかんだような気がした」
「おっ? なんかわかりそう?」
「気がしたんだがなぁ……」
「思いつかねーのかよ!」
そう言って笑いながら圭人の頭をパシンと叩いて……
「一人アウト」
パシィン!
「いてぇ!」
尻を叩かれてしまう英吾。
「何やってんだよ……」
呆れてしまう圭人。
「生来のお笑い体質が恨めしい」
「お前はもう芸人目指せ」
あきれ顔が止まらない圭人。
だが、英吾はふっと顔を上げるとあることに気付く。
「また看板あるよ」
「来たか……」
顔を顰めながらも「ここ」と書かれた部屋に向かう圭人。
そして部屋の様子をうかがう。
「……教室か?」
部屋の中は教室のようになっていた。
机が向かい合わせでくっついて一つの島になっており、各机には名前が書いてあった。
嫌そうな顔になる圭人。
「中に入らないと駄目ってことか?」
「みたいだな」
諦めて中に入る二人。
「後ろは棚になってるな……」
「ロッカーに本に人形か……盾とかトロフィーもあるな」
教室の後ろには棚があり、色んな物が飾ってあり、番号が振ったロッカーもある。
「この日本人形は不気味だな……」
チーボが嫌そうな顔で棚に飾られた日本人形を見る。
「次は何があるんだろ?」
「嫌だなぁ……」
瞬と刹那の二人が嫌そうな顔で中に入る。
全員が中に入って机の周りを確認する。
「普通の机みたいだな?」
「特に何の仕掛けもな……」
「ちょっと! みんなあれを見て!」
刀和が慌てて黒板を指さす!
そこにはこう書かれてあった。
『引き出しを開けろ』
それを見て全員が嫌な顔になった。
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