転生したら村を任されたので、発展させていきます。外伝4
白藤 秀
拡散する種
俺が前世と呼ばれる記憶がある事を明確に意識したのは、リオンとして生きて五歳の頃、俺は流行り病にかかり生死の境をさまよった。
その結果として、俺は日本と呼ばれる法治国家で農業を生業として生きていたことを思い出す。趣味と呼べるほどの物はないが、好きな事はあった。歴史書を読んだり、アニメや漫画を鑑賞したり、うまい料理を作ったり食べること。
まあ、不幸にも熊に襲われその生涯を閉じ、第二の人生をリオンとして歩み始めた感じだ。
いま俺は男爵様から村を管理する代官を任されている。
最初は災害の復旧・復興を任されたのだが、その後も管理を任される村を増やされ、現在は三つの村を管理するまでになった。
「あー、もう冬も終わるなー」
溶け残っていた雪が氷になり、日差しのおかげで日に日に溶けて無くなっている様を見てしみじみ思ってしまった。
今住んでいる村は冬の間は猛吹雪と積雪で出歩けないため、4ヶ月ほどは家でゴロゴロしたり、雪が降る前に雪の下に埋めていたカブや大根なんかを掘り起こして料理したりと何かと怠けていた。
この間は代官としての職務は雪のおかげで打て会う必要は無くなる。
正確には、叔母がその職務を代行しているらしい。
来年あたりマジで引越しするか屋敷に戻るか選ばされそうで怖いんだよな。
俺は執務室でタネ・苗の注文表を見ながら悩んでいた。
「さて、今年の作付けは何にしようか?」
まだまだ食料に余裕はないからな・・・芋系でつないでおくか。
この土地柄というか、俺が管理している村は連作障害や根酸の影響などで土壌の酸性濃度が高くなりすぎて収穫量が少なく、税として収める収穫分を収めるとほとんど残らない。そんな酷い有様であった。
現代日本であるならphを測ったり、化学肥料などを与えたりしながら、アルカリ性に近づけてあげることで収穫量を段違いにすることが出来るのだが・・・
しかし、ここは異世界だ。
しかも魔法がある世界の為、精霊だの妖精だの加護がうんぬんカンヌン抜かしていたが。俺は断固として、灰をぶち撒いた。
それはもう畑中に。
灰にはカリウム、カルシウムの成分が多く、根の生育に大きく役立つからだ。植物の排泄物「根酸」の中和に役立つからさ。
昔ながらの焼き畑農法は、畑の土壌改良の知恵だ。
それに石灰焼けをおこさないのが素晴らしい。
最初はギャーギャー言っていた奴らも収穫高が五倍になればその口を閉じたがな。
今では従順な村人だ。
「しっかし、この世界の大豆には驚いたよな」
この世界の植物は常に日光と二酸化炭素、そして魔素を吸収している。
そんな植物を食べて大きくなる小動物→それを人がとって食べる→その事により母体は魔力を持ち、それを授乳する事により赤子は幼い頃から魔力を宿す。
この世界の人間のほとんどが魔力を持ち、魔法や魔術が当たり前になっているのはひとえに植物のおかであると言える。
そして、栄養素を高めすぎた野菜はどうなるか。
それはもう盛大に自分のタネを辺りいっぱいに拡散するのさ。
あれはね、もう地雷や手榴弾だね。
収穫しようとして触った瞬間、大豆が散弾銃の弾みたいにあたりに飛び散り、その多々大勢の大豆にあたり更に連鎖して弾け飛んだ。その連鎖が三時間は休まる事なく続いた時はめまいがしたね。
それからはあまり元気にならないように加減して追肥をやるようにした。
そのあと村人総出で大豆を拾い集めて、豆腐にしてやったわ!
〇人形にしてやろうか!! って思わず言っちゃったしね。
「今年から水路建設にも手を出せそうだし、言う事ないな。種籾がみつかれば大々的に稲作を始める事ができるぞ〜」
麦よりも採れ高が多く、何より俺が食べたいから植えたい。
米があれば日本食の再現ができるし何より米派の俺からしたらパンっていうのは味気ないのだ。
転生したら村を任されたので、発展させていきます。外伝4 白藤 秀 @koeninaranai
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