人物図鑑と『オマケのどうでもいい話1』
•マシロ:主人公であり微生物。
ミトコンドリアや葉緑体、エンドサイトーシスなどに関連しているような微生物であるかもしれないが、その詳細は一切謎である。ただ、偶然にも蒼龍を内側から吸収した事により変異し、その意思を確立したものだ推測される。
個体の能力値はとてつもなく低く、微生物らしく吸収されるだけに存在しているようなものだが、変異した事により、どの生物にも適応順応しており本人の意思次第で如何様にもできる。
ただマシロ細胞を吸収したからと言って、支配増殖を勝手にするようなことはなく、普段の食事程度なら10分もすればそのまま体内に効率よく吸収される。水都では現在、病気や怪我にもなりにくく、身体が常に元気でいられるのは、マシロ細胞を定期的に吸収し、身体に悪いウィルスなどは除去されているのだが、それを知る術はない。
(例1)子供が高い木に登り足を滑らして落下したが、急に覚醒したかの様にしなやかに、まるで猫の様にニャンパラリンとくるりと地面に着地したという多数の目撃例が確認されている。
(例2)森林で昼食を取っている最中に巨大な猪に襲われた際、木の棒で走ってくる足を絡めて投げて討伐したとの報告例もあり。
•セッちゃん:姫だけど姫じゃない。
正式名称:セルフィーナ・ドューム・アザム・フィオーレ・カイザー。水都で蒼龍の側近的存在でいわゆる都市の代表者。
周囲からは姫様・神子・巫女とも言われており、蒼龍の望むまま、命を投げる覚悟も含め育てられるが、このおかげで龍の都市は関係を保てていたと信じられている。
アイラとウォルの姉弟は幼少期に拾ってから、ともに兄妹の様に育っていった。
•ウォル:セッちゃんの騎士で真面目だが、今現在において存在感は残念ながらそこまではないけど、毎日姫様と一緒にはいる。これから活躍できる場面があるかどうかは謎である。
•アイラ:料理人だけど実は裁縫の方が好き。
セッちゃんとマシロを繋げたサンドウィッチを作った人物。
これがなければ、二人はマシロに吸収されており、水都は完全に傭兵達によって占領されて幕が下されたと言える。物語の外側から見れば『サンドウィッチは世界を救った』と言えるが、それは誰も知りえない真実であり、この先も解明されることはないのだろう。
現在は、城の料理をしつつ、合間にマシロの全身スーツや服を次々に生み出している。
•レオンフィルド:渋いおっちゃん。
オニギリの力でマシロに傭兵のリーダーに任命された。姫と騎士を追う際、子供二人を追い回すのに大人達が大勢で向かう事に嫌悪感があったが、所詮は雇われる傭兵だった為に嫌々動いていた。
なぜかマシロに懐かれて、肩車をしながら移動をしてたが、それをあまり嫌とは思わなかったのは、自分にも娘がいるからである。もしかするとマシロも本能的に子供に意外に好かれるパパと感じていたのかもしれない。
•レイ:パンドラと呼ばれたS級冒険者。
過去、大掛かりな実験の材料とされた女性であり、この世界に存在する様々な種族の遺伝子を合成されたキメラ。成功確率が1%にも満たさない実験に見事成功し、その直後に都市が大爆発を起こり、彼女の暴走か何かの悪意なのかは不明だが、その場に一緒にいた5つの子供を助ける為、命を魔術で繋げた。
結果、全員生き残ってはいたが、成功したキメラはそのせいで身体が傷つくなどのデメリットが徐々に発覚していき、十全に力を発揮できない奇跡の成功体ーー最高低傑作(パンドラ)と呼ばれる事となる。
•生き残った5人:グルメハンターとなるために頑張るつもりだが、現在は人付き合いから練習中。
イチゴ:獣人の青年。
ツユハ:大人しいエルフ少女。
ミィ:活発なドワーフ少女だが見た目は猫娘。
ヨミ:長髪で冷静な影人となった少年
ツイ:ヨミの双子であった存在だが現在はヨカの身体(かげ)で共生している。
イツ:唯一の人族。
ルイス•サクラ
ベンジャーの代わりになった元貴族。人柄もよく、決して自分達だけの考えだけで動くような事はせず、周りの意見も全て聞きながら動く為、周りの信頼も厚く積極的に手伝ってくれて、ベンジャーが支配していた時よりも商業が回っている。
•ベンジャー・スカー。焼死。
巨乳とロリコンを愛する水都の商業関係を纏める大貴族。本来、その影響力は凄まじいはずなのだが、マシロにはその影響力は通用しなかった。一言だけ言えば、ロリコンではなくマシロを手に入れようとさえしなければ、死んでなかっただろうと思われる。
•ネイサン=ドレイク。ゴブリンクイーンとなり現在手厚く保護(?)されている。
奴隷業界では有名な商人。質のいい奴隷は確かに評判は良かったのだが、その裏で幅広い悪事も両立していた。レイの実験も彼が一任されていたが? 彼だけが実行犯なのかは不明である。
ベンジャーとドレイク、二人の財産が合わして3000枚以上の金貨を残していた。マシロが水都に配ったのはその二人の財産であり、彼らは最後に水都の民へと貢献したという事になる。
他の財産もあるのだが、集めることに対してマシロが既にめんどくさがって後回しにしてしまっている。
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【オマケのどうでもいい話】
それはマシロの能力解析をしている最中の出来事である。
マシロが「どうでもいいけど、過去の分岐がどうなろうと、今がこうなったんだからいいんじゃない? 何で悩んでるん?」と言った後、ふとレオンがマシロに尋ねる。
「そういや、俺からもどうでもいい話なんだが、傭兵達もこの金貨が入った布袋をもらったがよかったのか? 俺らとしては元々の雇われた報酬以上の金額を貰って助かっているわけだが、本来の契約だと『命と引換え』に復興作業だっただろ? その後に『姫さんにでも交渉を〜』って言ってたよな?」
マシロがパンを加えたままレオンを見つめている。
(あ〜そういや、そんな事いったっけ⋯⋯。水都にいる人間で数えてたからなぁ〜。わざわざ中身を見てまで、水都か水都じゃないかとか調べる気もさらさら起きなかったしなぁ〜。それに〜)
【0.08秒】
周りがマシロの返答を聞こうと、全員がこちらに振り向こうとしていた。
【0.58秒】
(しょうがねぇ⋯⋯。体内会議をはじめる。みんな、オラになんか良いアイデアをちょうだい!)
【1.30秒】
『そういう時だけこっちに振らないでよねぇ〜』
『正直にいえば〜?』
『なんとなくでいいんじゃない〜?』
『ウチはパスー』
『ZZZZzzz〜』
『それよか、これから食べるであろう美味しい食べ物の話題でいいじゃん』
『そうだそうだー』
ここで大半が食物の話に乗っていってしまう。
『まぁ、こっちを見ている皆の期待の眼差しを見る限り⋯⋯信頼度は変動しそうだねぇ』
『たしかに!』
『ここでなんとなくみたいな返答すると、やっぱりマシロは人間に興味ないのかと思われるんじゃない?』
『たしかに!』
『それだけならいいけど、もしかするとご飯もなんでもいいのでは? みたいな話になって、ショボイご飯になるかも⋯⋯』
『たしかに!』
『それはいやだねぇ⋯⋯。なら、ここらでビシッと決めるしか⋯⋯。ん〜例えば、真面目に働いているからとか? ボーナスじゃ! みたいな?』
『それよりかは諸費費用みたいなのでもいいんじゃない?』
『ん〜けど、そういうのはセッちゃんから渡すべきじゃ⋯⋯』
『たしかに!』
『お腹すいたなぁ』
『たしかに!』
『さっきから、たしかにしかいってないマシロは何か良いアイデアないの?』
『たしかに!』
『⋯⋯⋯⋯』
『⋯⋯はぁぁ〜』
【3.00秒】
口の中に入っているパンを飲み込むと、マシロがゆっくりと口を開く。
「少なくとも、戻ってきた時から水都に住み、水都の為に働き、水都で寝てるよね? ならば、ウチとしては水都の人間として受け取る権利はあると思ってるよん。それに⋯ウチにとっては、貴方達の中にある【信じる龍】までには興味ないもん」
僅か3秒で出した答え。だが、マシロの言葉にみんな納得していた。
(ミッションコンプリだぜ)
体内マシロ達は祭りが如く喜んでいた。
「そうか⋯⋯。しょうもない話をして悪かったな。もし勘違いだったら、全員一致で返すつもりだったからな。ただでさえ、俺らが住むに当たってのお金などを免除し、食べ物などもよくしてくれてるのに、お金まで同等にもらう行為は罪悪感があったからな」
「まぁ、もしそういう気持ちがあれば、ちょっとお高い物などを買ってあげたらいいんじゃない?」
「わかった。そう伝えておくよ」
「なら、次は私のどうでもいい話というか聞きたいことがあります!」
セッちゃんが挙手しながら立ち上がる。
「んと? どうでもいいけど、どうぞ⋯⋯」
先程みたいに体内会議が起こらないようにお願いしたいマシロ。正直、あれはお腹が急激に減るのである。
「レイさん! まずは貴女に聞きたい!」
「はい? なんでしょうか?」
「なぜ、いつもマシロさまに合わしているのですか! 正直に当て付けみたいなのでやめてほしいです!」
「お断りいたします。これはマシロ様と私を表していますので、ご了承ください」
「むむむ⋯⋯ずるい!! ずっと一緒の姿なんてズルいです! マシロ様の全身スーツにあわして⋯⋯毎日、レイさんは獣(どうぶつ)化するなんて!」
「ずるいと仰られても⋯⋯申し訳ございません。私にはできてしまいますので、姫様もできたらいいのですが⋯⋯本当に残念です」
「むきー! 今に見てなさい。私にだって動物ぐらいにはなれます」
「バニーガールとかですと⋯⋯マシロ様おそばより別のあやしいお店に行かれた方が⋯⋯。あ⋯⋯その胸では⋯⋯本当に申し訳ございません」
「⋯⋯本当にどうでもいい話だねぇ」
「そんな事言わないでください! これはマシロ様の近くは誰なのかと知らしめる戦いなのです!」
セッちゃんにしては珍しく引くことはしなかった為、少し本気なのだろう。
「どうでもいいけど、いまはこんな姿だからできるけど、ウチの本来の姿が男だったらどうするん? そのうちゾウさん生えてたり、ゴツいおっちゃんになったりヨボヨボのお爺ちゃんだったら?」
「そ⋯⋯それは⋯⋯」
セッちゃんが少し戸惑う。
「それはそれで最高ですね。こうみえても身体には自信がありますので、夜のお世話でもお役に立てますし、ヨボヨボのお爺様でしたら、一緒に日向ぼっこでも、どんなお世話も喜んでいたします」
レイの顔は満ち足りた顔をしていた。実際、そうなった場合でも完全に受け入れる事がすでに想像の範疇なのであろう。
「ま⋯⋯負け⋯⋯ました」
セッちゃんが膝をおり崩れる。少しでも戸惑った自分が許せなかった。想像するだけでどう接しればいいのか分からなかったのである。
「これは勝ち負けではございません。姫様にとっては、そういう考えがまだないお年頃ですので致し方ありません。私では年齢からいえば絶対に勝てませんので」
勝手に二人の中で何かが芽生えた瞬間である。
(まぁ、人間も最初は全員雌から始まり、その成長過程で雄に変化していくんだし、その過程から見れば、この身体は雌なのかもしれないねぇ〜)
最初にイケメンになってもすぐにドロドロになったのはそういう理由なのかもしれない。雄になる為の情報遺伝子がこの中にはないのだろう。雄の人間を吸収しても、それは自分の情報ではないから不可能だと知る。
(まぁ、レイが言ったウチの本当の肉体がどっちなのかは知らないけど、それを手に入れたらどうなるんだろうねぇ)
こうなると、ウチは微生物ではなくなり、肉体を手に入れるということになるのだろうか? その場合は水都は? 様々な考えがよぎる中、いい匂いがマシロの身体を刺激する。
「マシロ様、巨大ホットケーキできましたよ〜♪」
サクラとルイスが、マシロの為に通常の数倍はある巨大なホットケーキを運んできた。
「ふおぉぉぉ〜♪」
マシロにとっては自分より大きく高い巨大な塔のように見え、その芳潤な香りと蜜の甘い香りについ眼を輝かせ、考えていた肉体の話はすでに途切れて二度と浮上する事がないように意識の奥底へ沈んでいたのは言うまでもない。
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