第3話 初めての生徒会室

放課後、生徒会室に向かうことにする。


いったんトイレに行って身だしなみを整えてから向かう。第一印象は重要らしい。面接対策で何度も注意された言葉。


生徒会室は校舎の端の普通の教室より少し大きいサイズの教室に入っていた。左右にある扉を悩んで階段方向の扉をノックする。


「はーい、どうぞ!」


中からは女性の声がする。


失礼します、と短く言って扉を開ける。四角に並べられた机と窓際に一直線に並べられた二つの机が見える。


窓際の机に一人の女子生徒が座っていた。窓から差し込む光は彼女の体にぶつかっている。逆光で姿が見えない。それに光で眩しくてたじろいでしまう。あまり先輩の前でこのような姿は見せたくない。


「あぁごめん、ごめん」


立ち上がってカーテンを閉めてくれる。


やっと確認できた彼女は入学式で話していた生徒会長だった。姿を覚えていたこともあるけど机には厚紙で作ったのであろう”生徒会長”と書かれたプレートが置かれている。


生徒会長専用の席があるんだ……。

決して豪華な席ではない。普通の椅子に普通の机。私は分かりやすい特権が好きなのかもしれない。


「あぁ、これ前会長が作ったんだよ、かっこいいでしょってね」


私がじっと机の上のプレートを見ていたからなのか、プレートの説明をして恥ずかしそうに笑っている。


「あ、遅れました。私、1年の新見 真智です。役員になりたくて来ました」


ハキハキと言えた気がした。関心したように生徒会長の七里先輩は頷いている。


「関心だね~。あなた新入生代表の挨拶してたでしょ?とりあえず役員は立候補の中から6人なってもらうことになっているから書類を書いてね」


七里先輩は自分の机に書類を出してくれる。必要事項を書いて担任の先生と生徒会担当の先生にハンコを貰えば立候補が出来る。


「他の役員の方はどうしたんですか?」


閑散とした生徒会室に疑問を抱く。


「あぁ今日は仕事が少ないから私だけ。毎日生徒会があると皆疲れちゃうしね」


七里先輩は疲れないのだろうか。七里先輩は書類を読んだりファイルを閉まったりと忙しそうだ。出来る役員の印象を与える無駄のない動きには自分と重ねれるところがあるのかもしれない。


「それでは、失礼します」


軽い挨拶を済ませて帰宅する。




・ ・ ・



結局、立候補は私を含めて6人ぴったりだった。


募集人数は6人つまり選挙をやる必要もない。生徒総会での拍手での私たちは承認された。


新入生代表という肩書は無駄だったのかもというモヤモヤを抱えながら私は生徒会役員となった。


役員になって初めての仕事は役員全員と顔を合わせることだった。1学年6人。つまりは18人の役員がいる。


1年生は私の他に女子が4人男子が2人。2年生は男子と女子の先輩が半々。3年生は生徒会長の七里先輩と副会長の神戸先輩、神戸先輩はチャラそうな男子。そして後の4人は女子の先輩だった。



「皆さん!初めまして生徒会長の七里響子です。初めましてと言っても手続きであった子もいるけどね」


七里先輩は話の途中でこちらに目線を送ってくる。手続きで会ったというのは私の事だろう。軽く会釈をしておく。


「3年生で生徒会は1年生の時から入ってて仕事は一通り出来ると思ってますので困ったことがあったら相談してください」


七里先輩の挨拶が終わると次は副会長、神戸先輩。


「あ、副会長の神戸と書いてごうどと読みます。生徒会自体は去年からやってますってことでよろしく」


神戸先輩はどこかチャラい…。イケメンだとチャラく見えるのか。しかし生徒会活動にはこんな感じの先輩が一人は必要なのかもしれない。


「1年生の皆さんはまだ慣れてないと思うので私たち3年生とペアを組んで貰います」


事前に決めていたのであろう、生徒会室に置かれている裏紙を使ったメモを眺める。私は中学校でも生徒会活動をしていたのでペアなんて組まなくても大丈夫なのだけど。


でも、どうせペアを作るんだったら七里先輩が良いな。生徒会長だし。神戸先輩もなんだかんだ仕事が出来そう。でもあんな感じでだらだら喋られてはイラっとしてしまうかもしれない。

  

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