4-3

最寄りの駅に着いて、家に帰ろうとしたとき、ロータリーに見覚えのある車が止まっていた。その車から、一人の男性が降りてきて……。

「卒業おめでとう。橘」

「先生。どうして?」

 突然桜庭先生が来て、すごくびっくりしたけど、すごく嬉しかった。

「あの時、卒業式の日を聞いたのはこういうこと。あの場所に、連れていきたくて」

「先生。ありがとう」

 あの場所とは、あそこのこと。

 私は、先生の車に乗った。

 車の中で、この間聞いたバンドの音楽が流れてた。

「あ、私、あのあと、この歌のPV見たよ」

「本当に?」

「うん。すごくよかった」

 車内で、先生が好きなバンドの話題で盛り上がった。今度、深夜の音楽番組に出演するから録画をするとか、自分は頑張って起きてリアルタイムで見るとか。

 そんなこんなで、海に着いた。

「今日、すごい天気良いね」

「だね」

 車を降りて海辺に行って、砂浜をゆっくり歩きながら、先生が学校に来てからのことを中心に、いろいろな話をした。

「橘は、あの時どう思った?」

「うーん、とにかくヤバい人しか思わなかったなー。ていうか、初めて会った生徒に壁ドンとあり得ないでしょ」

「ははっ」

 先生は、私の話を聞いて笑っていた。先生も、あのときの思い出話を持ち掛けてきて、私のことを好きになったこととかいろいろと話してくれた。

「思い出せば、いろんな話題が出てくるね」

「そうだな」

 それから、砂浜に字を書いて遊んでいた。

「ほら、そんなことしてないで行くよ」

「はーい」

 歩いていたら、先生が突然足を止めた。

「先生? どうしたの?」

「あのさ」

 先生はまじめな顔になって

「橘。あの時から、お前のことが好きなのは変わらない。橘といると、正直になれて素直に笑えるんだ。だから、これからもずっと傍にいてくれないか?」

「えっ?」

「橘。俺と、結婚してください」

 ……。……。

「へっ?」

 暫く、沈黙が流れた。正直、状況が把握できなくて、まぬけな返事しかできなかった。

「へっ? じゃねえよ。なんだよ、その間抜けな返事は。まあ、そういうところも好きなんだけどな」

 恥ずかしくなって、うつむいた。

「橘」

 呼ばれて顔をあげると、先生は両手を広げていた。

「美波。ほら、おいで?」

 先生の優しい声に、ふっと微笑んで駆け寄った。

「先生」

 私のことを優しく抱きしめてくれた。

「絶対離さないから」

「私も、絶対離れないから」

 先生の優しくて少し力強さを感じた。

 そして。

 夕日が沈みゆく頃、私たちは海辺で優しいキスをした。


 あの時始まった禁断の恋は、改めて想いを確かめて、愛を誓った。

『一生、幸せにします』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

先生と禁断の賭け愛(ラブゲーム) 櫻葉ゆう @arayu_0123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ