4-2

一ヶ月の休みが終わって、卒業式の日が近づいた。この三年間あっという間だったな。いろいろとあった三年間だった。嬉しい事や辛い事。そんなことよりも、もっと自分が変わったことがある。それは、桜庭先生に出会ったこと。せんせいに出会って、自分が変わった。久しぶりに、人を好きになれた。あんな気持ちになったのは、すごく久しぶりだから最初は認めたくなかったけど、自分の気持ちは素直だったんだ。

 好きだって伝えたとき、気持ちにこたえられないって言われて、とても寂しかった。先生と恋愛できないってわかっていたけど、でも、さみしかった。だけど、先生が私の気持ちにこたえてくれた時、すごく嬉しかったんだ。やっと、想いが届いたんだって。

 三月十二日。いよいよ、卒業式がやってきた。久しぶりにみる同級生の顔触れは、どこか寂しそうに見えた。

「美波、おはよう」

「おはよう」

 佐奈も、どこか寂しそう。

「佐奈、どうしたの?」

「明日で、終わっちゃうんだよ……。美波ー」

 佐奈は、さみしそうに抱きついてきた。

「あー、佐奈ー」

 そして、午前九時。

 卒業式が始まった。


 卒業式が終わって、最後のホームルーム。担任からのメッセージに、クラスの女子みんなが涙した。男子は、泣く人や涙をこらえる人さまざま。

「それでは皆さん。素敵な人生を歩んでください。またいつか」

 先生の号令で、ホームルームは終わった。

 ホームルーム後、佐奈が私のところに駆け寄ってきて、抱き着いてきた。

「美波、今までありがとう」

「こちらこそ、ありがとう」

 私は、佐奈に手紙を書いた。佐奈も、私に手紙を書いてきてくれた。

 手紙交換が、とても切なくなってさみしくなった。

 佐奈と吉沢くんと私、そして、来栖くんも一緒に帰った。帰り道中、いろいろな話で盛り上がった。三年間分の喜怒哀楽をみんなで分かち合った。

「じゃあ、ここで。また、みんなで集まろうな」

「もちろん! みんなで騒ごう!」

 吉沢くんと来栖くん、私と佐那のペアで分かれた。

 佐奈と二人になって、この時間がとても愛しく感じた。

「美波、霊の先生とまた付き合い始めたの?」

「ううん。付き合ってるわけじゃないよ。二人で会うときは、お互い友達としてってことにしてる」

「そうなんだ。そこから、また恋人になったりする?」

「うーん、どうかな。わかんない」

 桜庭先生が異動してから、二回ほど会いに行ってるけど、あくまでも恋人としてではなく友達というか、そういう関係ということにしているんだ。

 駅に着いて、佐奈ともバイバイすることにとてつもない寂しさを覚える。

「美波。私と出会ってくれて、仲良くしてくれてありがとう。これからも、仲良くしてね」

「もちろん! 当り前じゃない」

 お互い、涙をこらえるけど私は堪えきれずに涙が出てくる。泣いてる私を、佐奈は優しく抱きしめてくれた。この瞬間、改めて佐奈の優しさに心が安心した。そして、余計に泣けてきた。

 帰りの電車の中、佐奈からの手紙を読んでジーンときた。便箋三枚にびっしりと書かれた手紙の内容は、佐奈らしいほんわかする内容。私のことがずっと好きだのなんだの、時々ラブレターかなと疑う内容だけど、それが佐奈のキャラクターなんだと思った。



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