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テストが終わって、みんな気が抜けた感じだけど、私は来月に『実技試験』を控えているから、気を抜いている場合ではない。今日も家に帰って、デッサンの勉強をしなくてはならない。

 その日から、第一志望の国立芸術大学・美術学部(絵画専攻)に受かるための勉強をもっと本格的に進めた。絵を描くための道具で足りないものを足したり、デッサンについての勉強をしながら絵をかいたりなど、とにかく一日中絵を描いていた。

ずっと絵を描いていると疲れてしまうから、息抜きで、佐奈と出かけたりした。目標は、第一志望の国立の美術大学に合格すること。そして、先生におめでたい結果を報告するんだ。

 二月に入ると、遊ぶ時間を減らした。とにかく、自分の部屋にこもって、デッサンの勉強に励んだ。一日何時間勉強をしたのだろうっていうほどに、部屋にこもった。きっと、テスト勉強よりは長時間こもっていたのだろう。実技試験の内容は、基本デッサンと着彩写生の二つ。この二つの実技試験を主に、総合評価するようだ。

 そして、いよいよ実技試験当日を迎えた。

「美波、持ち物は大丈夫?」

「うん。全部持ったよ」

「精一杯、がんばってきなさい」

「はい」

 朝、お母さんに活を入れてもらって、試験会場となる大学に向かった。

 大学に着くと、スタッフとしてきている在学生や先生たちがたくさんいた。試験を受ける教室に入ると、緊張感が漂っていた。続々と、受験生が集まってきて、緊張感はさらに増した。

 今日の実技試験は、午前と午後に分かれて行われる。それぞれ、受ける教室が違うから、午前の試験が終わったら移動しなければならない。午前の試験は、基本デッサン。そして午後は、着彩写生となっている。

 十一時半。基本デッサンの試験が終わった。久しぶりに、テストというものを受けたから、すごく緊張したし描いている手が震えていた。だけど、今までの成果を十分に発揮できたから悔いはない。

 お昼休憩をはさんで、午後の試験・着彩写生が始まった。これが終われば、あとは、運命の時を待つだけ……。

 ……。……。……。

 午後、二時半。最後の実技試験が終わった。

「受験生の皆さん。本日はお疲れ様でした。午前に受けた試験会場の教室へとお戻りください」

 校内放送が流れ、一斉に戻る。教室に戻ると、そこは、午前の空気と全く違って明るい雰囲気になっていた。きっとみんな、試験が終わった安心感なのだろう。

 そこに、試験官の先生が入ってきた。その手には、受験生の人数分ある大きな封筒。

「皆さん、お疲れ様でした。今から、この封筒をお渡し致します。この中には、先月受けていただいたセンター試験と、本日受けた実技試験の結果が入っています。そして、合格者には、合格通知と合格証も同封されています。合格された方は、速やかに、事務室に行ってください」

 合格通知と合格証。それが入っていなければ……、終わり。

 一列に並んで、封筒を受け取る。受け取ったら、教室に出るという流れ作業になっている。列に並んで、その時を待つ。心拍数は、どんどん早くなっていく。

「橘 美波さん。お疲れ様でした」

 封筒を受け取って、すぐに教室をでる。

 呼吸を整えて、封を開ける。結果は……。


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