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三学期が始まった。いよいよ、受験が近づいてくる。毎日、受験勉強に追われてる。でも、雅翔からきた手紙を読み返して自分を励まして頑張った。
一月十二日。センター試験の日がやってきた。前日にきた雅翔からの手紙を持って、佐奈がくれたお守りを持って、会場に向かった。会場に向かっている間、佐奈からのメールが私を強くさせた。
会場に着いた。いよいよ、自分との戦いが始まる。
センター試験が終わって数日後。次は、第一志望の国立芸術大学・美術学部(絵画科)に合格するために必要な実技試験がある。実技の内容は、学科から指定された基本デッサンを描くこと。それを、いかに丁寧に描けるかが合格不合格をわけるのだ。
そんなとき、側にいてくれるのは親友の佐奈。今日も、朝から一緒にいる。
「冬休み、会いに行ったの?」
「うん。行ったよ」
佐奈は、私の恋愛を応援してくれるとてもいい人。だから、佐奈には気軽に話せる。あの日に、何をしたかとか、楽しく話せる。
「いいじゃん! よかったね」
「うん、楽しかった!」
今日も、家に帰って勉強に励む。第一志望の大学に合格するために。
そんな日々を繰り返していると、あっという間に時が過ぎていく。学年末のテストや、三送会など様々な行事がやってくる。
「今学期から、数学の先生変わるんよね」
「えっ?」
「桜庭先生の代わり。今日からだよ」
「あっそっか」
そうだ。先生、いないんだった。記憶喪失になっていないけど、先生がいないことを忘れがちになる。それほど、先生に会いたいってことなんだな……。
数学の授業が始まった。新しく来た先生は、年代が近い感じの男の先生。この学校、数学担当は男性って決まってるの? っていうほどに、男の先生の率が高い。
「はい。今日から、数学の授業を受け持つことになった、轟といいます。宜しくお願いします。」
「お願いします」
周りの女子たちは、あの時みたいにざわざわとし始める。いつも通りの授業が始まった。去年までいた先生はどういう風にやっていたのかとか、私たちに聞きながら初回の授業が進んでいった。
新しくなってからの授業が終わった。
「美波、どう? できた?」
佐奈がきた。気にかけてくれているみたいだ。
「うん。ちゃんとできたよー」
先生が変わっても授業は受けられたけど、でも、どこか、桜庭先生の面影が見えて切なくなった。
下旬に入り、学年末テストがやってきた。テストの科目は、五教科。全て、一年間のまとめのテストだからかなりしんどい。だけど、気を抜かずに、放課後は佐奈と佐奈の彼氏の吉沢くんと、そこに、来栖くんも加わって四人で勉強した。
「そういえばさ」
今日も、その四人で勉強していて、休憩中に吉沢くんが話しかけてきた。
「今更だけど、橘の好きな奴って、桜庭だろ?」
「えっ? うん」
さすがの吉沢くんも知っていた。まあそりゃそうだろう。
「でも、すげえよな。教師を好きになるって。ドラマみたいだわ」
確かに。ドラマみたい。自分でも思う。
「俺は、噂になる前から知ってたよ」
トイレから戻ってきた来栖くんが言った。
「えっ、そうなの?」
「うん。だって、好きだから。橘の事」
「えっ?」
佐奈が驚いた。吉沢くんも、あぜんとしていた。
「えっ、知らなかったんだけど。美波、知ってた?」
「うん。だって、告白されたから」
あ、もう告白済んでるんですね。っていう感じで二人とも納得した。納得はしたけど、驚いている。
こうやって、誰かと放課後に集まるということも少なくなってくるんだなって思うと寂しくなる。このテストが終わったら、もう、集まって勉強することなんてないんだから。
こうしている間に、気づけばテスト一週間前。授業も、振り返りの小テストをしたり単元テストをしたりと、最後のテスト対策の期間に突入した。四人で集まるのも、これで最後という日に、吉沢くんがジュースをおごってくれた。
「楽しかったなー」
「すごく楽しかったね」
「俺は途中参加だったけどな」
これこそ、青春なんだな。
そして、いよいよ学年末テストが始まった。みんな、最後の力を振り絞ろうという強い気持ちで臨んだ。一時間目は、化学。最初から、とても頭を使うからすごく疲れるけど。
化学から始まったテストも、あと二教科というところに差し掛かった。最後の二教科は、社会と数学。社会は、年表をしっかり押さえておけばできると先生が言っていたから、みんなでひたすらに年表を覚えた。まあ、あとは、重要人物の名前とか、その人が何をしたとか基本的な情報がテストに出た。
そして、最後の数学。
「美波、今回の数学出来そう?」
「んー、微妙かな。でも、今までの復習っていうことは、うん」
「うん。分かった。頑張ろう!」
「頑張ろう!」
親友の特権。何も言わなくても伝わる。
最後の科目、数学が始まった。問題の傾向としては、桜庭先生に教えてもらったところが半分出て、今学期分が半分。っていう感じ。だから、今までの知識が残っていたということで、そこまで難しくはなかった。
そして、最後のテストの終わりを知らせるチャイムが鳴った。
「はい。そこまで。後ろの人は、回収しに来てください」
学年末が、終わった。
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