Act:50『頭も真っ白!』
唯「昨日、夜更かししていたね。部屋の明かりが点いていた」
蛍「なんで知ってんだ」
唯「ふふ、お隣さんだからね」
蛍「夜更かしして悪いかよ……」
唯「この前の宿題なら、教えてあげたのに」
蛍「うぐっ……」
――――――――――
桜「宿題?」
蛍「そう。この前出た英語のプリントできたか?」
桜「うーん、わからないところは印をつけて調べて答え書いたよ」
蛍「ふむ」
桜「もしかしたら前に習ったかもって思って教科書読み返してみたり、
できなかったところは別のノートでちゃんと復習したりもしたよ」
蛍「……」
桜「? どうしたの?」
蛍(わかってはいたがやっぱり優等生ッッッ!!)
桜「蛍はどうなの?」
蛍「え……できてなくて空欄だらけだけど」
桜「もうっ、わからないなら、唯さんに教えてもらえばよかったのに」
蛍「いや……まあ、それは」
桜「なに? もしかして喧嘩でもしてるの?」
蛍「そういうわけじゃないけど……」
蛍(今更聞くのもなんだかなぁ……)
京「ほたるくんっ、英語の宿題見せてー!」
蛍「京、お前も出てたのか」
京「せやで! 教科のせんせー同じやから、クラス違ても宿題同じやろ?」
蛍「そうだな。悪いが俺は全然できてねーぞ」
京「ええねん! ウチは真っ白! 頭も真っ白!」
蛍「辛い自虐だな!」
京「……あかん」
蛍「どうした?」
京「一個も同じ問題出てへん!」
蛍「なにっ!? ……ま、マジだ!!」
京「か、神は死んだんや! そして世界は……ゆっくりと終焉を迎えるんや……」
蛍「大げさだな!」
京「今日、提出やもん……」
蛍「……へ?」
京『しかも八割以上できてへんかったら補講やって……』
蛍(うおおおおまずい! 今埋まってるのだけでも全然自信ないのに!)
桜『ただ写すなら見せないよ! 蛍のためにならないもん』
蛍(桜はこの一点張りだし……オトコどもは補講する気満々のヤツばっかりだし!
どうすりゃいいんだー!!)
唯「……」
蛍「……」
唯「……あんっあんんっ……んぁっ……」
蛍「おい、わざとらしく絡んでくるな」
唯「濃厚な絡みっ」
蛍「うるさい」
唯「おや、この宿題は……」
蛍「……」
唯「ふふっ、教えてあげようか。君の知らないこと、たっくさん……」
蛍「言い方が嫌だが……英語を教えてくれ、頼む。……いや、お願いします」
唯「うんっ。……ふふふっ」
蛍「なんだよ。全然できてないのがそんなにおかしいか」
唯「ううん。前に教えた時よりもできるようになっているなと思って。
君が一人だけでここまでできるようになったのが、素直に嬉しいんだ」
蛍「……そ、そうかよ」
唯「ああ、一人では最近してないんだっけ、マスターベ――」
蛍「うるさい! さっさと教えろ!」
唯「ふふっ、はーい」
―下校中―
蛍「はぁ、間に合ってよかったぜ」
唯「ふふ、すっかり遅くなっちゃったね」
蛍「そうだな」
唯「英語はやっぱりまだ苦手かい?」
蛍「苦手なんだろうな、意識してなくても」
唯「ふふっ、そうか」
蛍「なんだよ、嬉しそうじゃねえか」
唯「ん? そうかい?」
蛍「いつもよりニヤニヤしてるように見えるぞ」
唯「バレたか」
蛍「お前なぁ」
唯「こうして君に教えることができるから、嬉しいのかもしれないね」
蛍「……な、なんだよそれ」
唯「ふふっ。なんだろうね」
蛍「でも、なーんか忘れてる気がするんだよな」
唯「おや」
―次の日―
京「……ほ、補講や~~~!!!!!」
To Be Continued to "あんたいとる!-untitled!- 4"
あんたいとる!-untitled!- 3 不知火ふちか @shiranui_fuchika
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