prelude-other-

Act:10.4 & 10.9

◇4月


智「……

   ……

    ……

     ……」

智(ぼっちです……)


智(まずいです、このまま一人だと一年間ぼっちです)

  それだけは困るです。なんとかしないとです。

  ……でもうるさいやつとは仲良くしたくないです。

  むむ……あの子が良さそうです)

悠「……」


智「どーもです」

悠「! ど、どーも……」

智(思った通りです。物静かな娘です)

悠「……」

智「駒井智っていうです。よろしくですー」

悠「は、はい、よろしく……お願いします……」


智「どこから来たです? 私は綴城東です」

悠「えと……――中学です」

智「……聞こえなかったです」

悠「……――中学です」

智(聞こえないからスルーです)


智「なるほどです。家はどのあたりです?」

悠「えっと……あっちです」

智「じゃあ同じ方向です。一緒に帰るです」

悠「は、はい……」

智「……」

悠「……」

智(会話が続かないです)


智「とにもかくにもです。これからよろしくです」

悠「は、はい……よろしくです」

智(ちょっと静かすぎるです……)

悠(良い人かも……?)


◇下校中

智(なにはともあれ、友達ができたです)

悠「……」そわそわ

智「中学の時はなにか部活やってたです?」

悠「やってません」

智「ふうんです。一緒です」

悠「……」

智「これから一緒に帰れるです」

悠「……そ、そうですね……」


智「どうしてそんなにオドオドしてるです?」

悠「え……し、してますか?」

智「してるです。今も体を引っ込めたです」

悠「……」

智「友達なんだから、もっと仲良くしたいです」

悠「……智さん」


智「さ、さん付けも禁止です。普通に呼ぶです」

悠「……はい」

智「け、敬語もダメです」

悠「……うん、智……ちゃん」

智「それでいいです」

悠「うん、ありがとっ」

智「別に、感謝されるようなことしてないです」

悠「それでも、ありがと」

智「……です」


智「悠、一緒に文化祭実行委員やるです」

悠「一緒にやってもいいの?」

智「当たり前です。というか、悠以外とはする気ないです」

悠「あ、ありがと?」

智「感謝されるようなことじゃないです」


 *


智「……放課後に委員会で集まる……です?」

悠「うん、そうみたい」

智「……めんどくさいです。悠一人で行くです」

悠「ええ、困るよ……」

智「……はぁ、です」


智「買い出し係が楽そうです」

悠「ら、楽かどうかで決めちゃうの?」

智「当たり前です。さ、手を挙げるです」

悠「う、うん……」

智(買い出しもズル休みすればいいです)


 *


智「あの先輩にまかせておけばなんとかなりそうです」

悠「そ、そうだね」

智「これで委員会はボーっとしてるだけで済みそうです」

悠「これでいいのかなぁ……」

智「何言ってるです。これでいいです」

悠「う、うーん……」


智「先に言っとくです」

悠「?」

智「私は買い出し絶対に行かないです。だから二人で行ってです」

悠「え、ええ!!」

智「しかたないです。めんどくさいことは極力したくないです」

悠「で、でも、先輩と二人きりって……」

智「大丈夫です」ぽむっ

悠「智ちゃん?」

智「なんとかなるです」

悠「と、智ちゃんー……」


◇買い出しを終えて


智「……悠、です?」

悠「何、智ちゃん!?」

智「……ほんとに悠です?」

悠「うん、そうだよ! 正真正銘、私だよー」

智(これは何かの夢です……夢、です……)


悠「智ちゃん、どうしたのー?」

智「あなたは悠じゃないです。悠に似た何かです」

悠「うう、智ちゃんそんなこと言わないでよー」ぎゅっ

  むにゅっ

智「! やめろですー!!」

悠「うわっ!? ど、どうして~!?」

智「うっせーです!」ぺったーん!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る