あんたいとる！-untitled!- 3

Act:35『ほな握手！』

蛍『なんで、抱きつくんだ！　は、離れろ！』

夢『だって会えなくなるんだもん。寂しいもん』

蛍『だ、だからってそれとこれとは違うだろ！』

夢『蛍くんのこと、気に入っちゃったんだもん。ダメ？』

蛍『気に入った！？』

蛍「……うおおお……！！！」

悠「せ、先輩どうしちゃったんですか？　頭抱えて……」

桜「昨日からあんな調子なの……」

蛍（どういうことだよアレは！？

　　勘違いするぞ！？　していいのか！？）

唯「目が怖いね」

悠「あれは何かを襲おうとしている目ですね……」

桜「お、襲う？」

唯「うん、あれはさながら狼のような、恐ろしい――」

蛍「勝手なこと言ってんじゃねー！！」

唯「ああ、狼の標的に選ばれてしまった！」

蛍「誰が狼だ！」

？「噂通りのええツッコミやな～！」

蛍「……ん？」

？「あんたが宮澤くん？」

蛍「え、ああ、そうだけど？」

？「そかそか！　ウチ、西峰（にしみね）京（きょう）って言うねん！」

唯「まずい、新たな標的が！！」

蛍「お前いちいちうるせえな！？」

京「なははは！　ええなぁ、鋭いツッコミや！」

蛍「な、なんだそりゃ？」

京「ウチ京都から越して来てな、ツッコミできる人探しててん！

　　いやー関東の方にも面白い人おるんやなぁ！」

蛍（これ、誉められてるんだよな……？）

京「というわけでよろしゅうな！　ほな握手！」

蛍「お？　おう」

京「と思わせて腕相撲！」

蛍「なんでだ！！」

京「にひひひ、最高や！　ほんまに最高やで！

　　せや、たこ焼き好きやろ？　あげるで！」

蛍「いや、別に好きじゃないけど」

京「じゃあ嫌いなん？」

蛍「嫌いってわけでもないけど」

京「じゃあ好きやん！　はい、たい焼き！」

蛍「ありが……って、たこ焼きじゃねえのかよ！」

京「くー！　……ええわぁ、すぐ来るツッコミ大好きやわぁ！」

蛍「くそっ……調子狂う！」

京「嬉しいわー！　ウチ、今めちゃくちゃ不幸やわ！」

蛍「幸せじゃねえのかよ！」

京「にひひっ、せやな！　辛せやな！」

蛍「漢字間違えてるっつーの！　……頼むからいきなりボケないでくれっ」

京「ワシはボケとらんぞ！　お母さん、ご飯はまだかのう？」

蛍「わかりやすいくらいのボケだな！　しかもそっちじゃねえっ！」

京「にひひひひっ！　面白過ぎるわ～！」

蛍「……辛い」

蛍「そ、そうだ！　お前もツッコんでみてくれよ」

京「えっ……ウチ？　……う、うん。ええで？」

蛍「醤油、塩、味噌、とんこつって色々あるから美味しいんだよな、アーメンは」

京「それゆーならラーメンやろ～」

蛍「……ん？」

京「う、ウチ、あんまりツッコミ上手ないねんっ！　……ぐすっ」

蛍「わ、わかったから泣くな！　な？」

唯「それを言うならザーメ――」

蛍「早急に黙れ」

京「あっ、授業始まってまう！　また来るわ！」

蛍「お、おう……」

京「ほなまた！　蛍（ほたる）くん！」

蛍「蛍（けい）だ！」