Act:30『楽しみさ』
悠「うわああああん宿題やりたくないよぉぉぉ」
智「我慢するです。手を動かすです」
悠「手!」ぶんぶんっ
智「脳も動かせです」
悠「智ちゃん、今日は宿題するのやめよ!」
智「なんでです。あとに残すとダルいです」
悠「ほ、ほら~抹茶パフェ食べに行こうよ~」
智「……」ぴくっ
悠(よし、勝った!)
智「きょ、今日は我慢するです……さ、さっさと……宿題……やるです」
悠(目が潤んでるーー!)
悠「ごめんね智ちゃん……私、頑張るね!」
智「そうです。そして悠の金で抹茶を食べるです」
悠「もうそれ、決定事項なんだね……」
智「当たり前です。さっさと手を動かすです」
悠「手!」ぶんぶんっ
ぽよんっ
智「! 手以外は動かすなですー!」ばしっ
悠「ふえーん!」
*
蛍「宿題を見て欲しい?」
舞「うん、ちょっとわかんないとこがあって」
蛍「いいぞ。暇だし」
舞「えへへ、最近お兄ちゃんが勉強教えてくれて、嬉しいな」
蛍「そ、そうか?」(頼られるのってすっげー気分良いな……)
*
蛍「ふわぁぁ……寝るかー」
舞「そうだねー」
蛍「暑いから冷房かけようかな」
舞「お兄ちゃん、エコだよ!」
蛍「う……わーったよ……」
*
蛍『あちぃ~。おーい、スイカ買ってきたぞー』
唯『待っていたよ』
悠『わーい!』
智『さっさと切るです』
蛍『へいへい、待ってろよー』
蛍(こいつらいつから俺の家に……? というか俺がいない間に……?)
舞『スイカ買ってきたよー』
蛍『えっ』
舞『安かったから十個も買ってきたよー!』
蛍『う……』
蛍「うわああああああああああああああ!!!」
蛍「ハッ……ゆ、夢か……」
蛍(めちゃくちゃリアルな夢だった……)
蛍「眠れない……仕方ない、何か飲み物でも飲むか
……アレ、なんだ、なんかいっぱいある……。
!?
……これは、スイカ……?」
ゾーッ
蛍(正夢だああああああああああああああああ!!!!!)
*
蛍「ふぅ……」
舞「お兄ちゃん、スイカまだあるよー」
蛍(舞が買ってきたんじゃなくて、
親戚の叔父さんからの贈り物だったのか……)
舞「はい、どうぞ」
蛍「おう、ありがとう」
蛍(……夏休みも今日で終わり、か)
蛍「ちょっと散歩してくる」
舞「宿題は大丈夫なの?」
蛍「へへ、全部終わってるぜ」
舞「うわー凄い! ま、私も終わってるけどねー」
蛍「流石俺の妹だ! いってきます!」
舞「えへへ~いってらっしゃーい」
*
智「あ、先輩さんです」
蛍「よう。……ん、犬飼ってるのか?」
智「そうです。柴犬です」
蛍「へえ、名前は?」
智「マッチャです」
蛍「へ?」
智「マッチャ、です」
蛍(抹茶好きが講じて犬にまで……!?)
蛍「智って、ここらへん近所なのか?」
智「そうです」
蛍「じゃあ家近いんだな」
智「ふーんです。家の方向同じなので、そうだとは思ってたです」
蛍「もしかして
智「そうです」
蛍「俺も綴城だぞ」
智「……マジです?」
智「じゃあ私達は実は同じ中学なのにお互い知らなかったです?」
蛍「そうなるな」
智「なるほどです……先輩さんの存在なんてこれっぽっちも知らなかったです」
蛍「あ、でも俺は知ってたかも」
智「え、です」
蛍「小さい娘が犬の散歩してたの、見たことあるし」
智「……うっせーです」ぷいっ
蛍「あ、智……行っちまった」
*
蛍「ん、あれは……」
悠「あ、先輩! どーもですっ! もしかして私のこと襲いに来たんですか?」
蛍「んなわけあるか! ……自販機の前で何やってんだ?」
悠「何を飲もうか迷ってて……あ、先輩の白い液体でも……」
蛍「変なこと言うんじゃねーーー!」
悠「ドロドロしたの欲しいですよ~」
蛍「バカかお前は!」
悠「はい! 成績は後ろから数えた方が早いです!」
蛍「勉強のバカじゃねえ!」
悠「先輩、ツッコミが……突っ込みが激しいですぅ!」
蛍「漢字を変えるなぁーー!!!」
*
蛍「ったく、悠のやつはいつも……」
蛍(というかあいつの家この辺りじゃなかった気がするが…まあいい)
唯「おや」
蛍「ん」
唯「やあ、奇遇だね」
蛍「おう。何してんだ」
唯「散歩の帰りだよ。君は?」
蛍「俺は……」
唯「……うん」
蛍「……俺も、散歩の帰りだ」
唯「ふふっ、そうか。じゃあ、一緒に帰ろう」
蛍「おう」
唯「あ、今日で夏休みも終わりだね」
蛍「そうだな」
唯「ふふ、あっという間だ」
蛍「確かに」
唯「また学校が始まるね」
蛍「いやか?」
唯「まさか。楽しみさ」
蛍「そうかい」
唯「ふふっ」
蛍(明日から、学校だ)
To Be Continued in "あんたいとる!-untitled!- 3"
あんたいとる!-untitled!- 2 不知火ふちか @shiranui_fuchika
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