Act:19『ウィンウィンです』


悠(デートが決まってのは良いけど……洋服、どうしよう!

  うーん、これはちょっとダメ……これも、なんか変!

  うわーーーん!!)


智『で、私に電話したです?』

悠「うん……」

智『自分が一番見せたい自分を見せるべきです』

悠「……智ちゃん……!!」

智『情報料じょーほーりょーとして今度抹茶を奢るです』

悠「や、やっぱり抹茶なんだね……」



悠「あ、先輩!」

蛍「おー」

悠「お、遅れましたか、私!?」

蛍「いいや。俺がちょっと早かっただけ」

悠「そ、そうでしたか! え、えーっと……じゃあ、行きましょう?」

蛍「……そうだな」

悠(あれれ……な、なんだか素っ気ない……?)


悠「え、えーっと、今日は映画を観ます!」

蛍「お、いいな」

悠「先輩は映画とか、好きですか?」

蛍「そうだな。好きだぞ」

悠「じゃあ、良い選択でしたね! えへへ」

蛍「んじゃ行こうぜ」

悠「は、はいっ」


悠「この映画観たかったんです!」

蛍「ん……」

悠(ラブストーリーなんて、ちょっと思い切っちゃったかな……)

蛍「じゃ、じゃあ俺が買ってくるよチケット」

悠「え、あっ、私払いますよ!」

蛍「いいよ。俺が払うよ。後輩に払わせるわけにはいかないからな」

悠「は、はい……」


蛍「ポップコーンとかいるか?」

悠「あ、そうですね。折角の映画ですし」

蛍「そうか。じゃあ買ってくるよ」

悠「ふええ!? そ、それはダメですー!」

蛍「俺も食べたいしさ」

悠「いえ! これ以上出してもらうのは……!」

蛍「……じゃあ、半分出してくれよ。それでいいか?」

悠「うう……はい」



蛍「……」

悠「……」

蛍「……」

悠(先輩、嫌がってないかな?)

  ……ラブストーリーなんて選ばなければ良かったかな……。

  うわあああ映画にぜんっぜん集中できないー!!



悠(映画の内容、まったく覚えてない……)

蛍「良かったな、映画」

悠「は、はい! そうですね!」

悠(ああ、言葉が全然浮かんでこないー!)

蛍「……なんつーかさ。今日、緊張したよ」

悠「へ?」

蛍「悠と二人きりってのは、久しぶりだったからな」

悠「……そ、そういえば、そうですね」

蛍「それになんか今日の悠には、いつもと違って更にドキッとした。

  その服も、よく似合ってて可愛いな」

悠「え……」

蛍「も、もうこれ以上は言わねーぞ……恥ずかしいから」

悠「え……!」(それって……)

蛍「か、帰るぞ?」

悠「……はいっ♪」

悠(……えへへ)



智「ふーんです。手応えはなかなか良かったみたいです?」

悠「えっへへ~そうなんだ~」

智「私も抹茶もらえて満足です。ウィンウィンです」

悠「うふふふっ、どんどん飲んじゃってー!」


唯「なるほど、二人でピンクなホテルに」

蛍「行ってねえよ!」

悠「せ、先輩、忘れちゃったんですかー? あのホテルでの一夜を……」

唯「やはり……! これは詳しく聞かないとだね」

蛍「だから行ってねえよおおお!!」

智「……やれやれです」

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