銀の龍の背に乗って

 降下をするシルバーの首に手を回し、合図するように軽く叩く。


「ごめん、シルバー!!まだ降りなくて良いや!モンスターがいる場所探してみよう!?……って、あそこに居るの……プレイヤー?モンスターに襲われてるのかな?」


 崖を少し過ぎたところだ。シルバーのスキルの力を見てみたい。そう思い、空中からモンスターを探していたところだ。

 すると複数の人影が……それはモンスターの群れに襲われていた。それを見逃さないと言わんばかりに、その方向を指してシルバーに合図を送る。


「なぁシルバー、あそこの真上に行ってくれないか?」


 ゆっくり翼を羽ばたかせながら、オレが指差した方へと進む。少しずつ、そこに近づいて来た。次第にシルバーのスピードは減速し、まだはっきりとは見えないところで進むをやめて、翼をゆっくり上下に動かしている。


「う〜ん……あれって多分ウサギだよな!?で、襲われてるのは……ここからじゃあよく見えないな!シルバー、もう少し近くまで行ってみてくれよ!!」


 その言葉の通りに、鳴き声を放って加速する。オレは先に見えるモンスターと、それに襲われている人影を凝視する。やがて、はっきりと見える距離まで近付いた。

 その人影の頭上にはグリーンのマーカーが表示されているのが見える。


「やっぱりだ。NPCじゃなくてプレイヤーだったのか!!いっちょう、助けてやるか?」


 そう言い放つと、シルバーのスピードは減速された。


「あのプレイヤーたち……初心者かな?レベル1でカンストのオレが人のこと言えないけど……」


 今オレが背中に乗っているコイツ…… ≪銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫に比べたら、どんなモンスターも雑魚(ざこ)に感じてしまう。

 それもその筈だ。運営の考えは、1層フィールドに存在している隠しダンジョンのボスではあるが、もっと上の階層を突破してそれなりに強化されたプレイヤーが、そのダンジョンを発見して辿り着く予定であった。

 

 しかしこのクロユキは、運営のそんな想定すらもひっくり返してしまったのだ。本来ならば【辺境の地】に行き着く前の、【エスゴール氷山】で遭遇するモンスターに手こずり、その先の【辺境の地】に踏み出すのを躊躇してはそこを引き返す想定を踏んでいた。

 

 今のところ、このクロユキによって運営の思惑全てに対して、斜め上の行動と結果に憤(いきどお)りを感じてしまう運営たちだ。

 そもそも、運営はステータスが極振りにされた時点で、このキャラメイクは失敗作だ。と踏んだ矢先に、途端、クロユキが取得して行くスキルは、なんのエラーかまたは、バグなのか分かりかねてしまうが、『レベル1カウントストップ』してしまい、『ステータス極振り』のプレイヤーが、到底取得は出来ないと思われたスキルを手にしてしまう。


 そんなクロユキに対して、なんらかの処置を講じなくてはと『クロユキ対策』を検討してみる事になって行くのだが……

 

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セカンド・ライフ 〜カンスト上限ってどこからだっけ?Lv.1の最弱のオレがスキルで最強に成り上がります!〜 夢実千夜@Senya_Yumemi @Senya_Yumemi

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