帰還とクエスト達成
「うん?ここは……」
暗闇の視界から、街路樹から漏れる日灯りが入り目を見開いた。既に薄暗く夕刻を知らせていた。街路樹から伝わる商店街を行き交う人々の声が耳に入る。中世ヨーロッパ風の街並み。
「見た事ある……ここは【始まりの街】!?そっか…オレテレポートで……」
次第に目は灯りに慣れてきた。そして次第に思い出して行くのだ。【辺境の地】に行って、亀裂に大きな揺れで脚を取られて落ちた事……それから≪
「オレ…銀龍と戦って勝ったんだ!!それでここにテレポートしたのか!?」
オレはこの見慣れた【始まりの街】の風景を目に捉えながら、ここに戻って来るまでの事の全てを思い出した。
ふと頭にある事が過(よ)ぎる……
「そうだっ!!クエスト……」
クロユキはクエスト依頼を受けている事に気付き、依頼主の宿主がいる宿…… 【貧乏オーナーによる、貧乏駆け出し冒険者の為の宿】を目で追いながら、そこに向かう事にした。
「確か……あそこは……」
街路樹に向かって駆け出した。露店で賑わう道を真っ直ぐに進み、そして曲がる……宿への記憶は定かでは無かったが、自然と身体がそこを行け!と言うように足取りが進む。
「ここだ…ここがオレが泊まった宿だ!!」
こじんまりとした木造の建物。古びた外観といくつかの部屋に灯る光。多少の風化をした木のドアを引いた。
「あっ!!そこのフロントにいるゴブリン……」
クエストの依頼主を発見して、宿の宿の中へと入る。フロントのカウンターが目の前まで来た時、その年配のゴブリンに話し掛けようと口を開いた瞬間だ。
『クエスト内容に変更あり。【エクストラ・クエスト】に切り替え、報酬が変更になりました』
【初回≪
そのようなパネルが表示されては、消えて行く。
そして、カウンターに立つ年配のゴブリンの視線はオレに浴びせられた。そして口を開く。
「これはこれは、気高き気品溢れる冒険者様。あの≪
年配のゴブリンの手からは、ひとつの小さな赤い宝箱が渡された。
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