エクストラ・スキル

 ≪銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫の身体の部分には所々、ポリゴンの集合体が見られる。

 脚と尾、背中にかけて腕もだ。

 そう、ポリゴンの集合体……すなわち、オレが食ってしまった部分だ。


 それから、≪銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫はピクリとも動かなくなってしまった。背中に乗りながら……


「おいっ、銀龍!!どうした?血生臭さが消えるから、その紫の…掛けて欲しいんだけど!!」


 ≪銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫は立ったまま微動だにしないのだ。背中に跨(またが)るオレは地団駄(じたんだ)を踏み、銀龍の身体を何度か蹴ってみる。しいては、装備してる【アサシン・ブレード】で何度か刺してみるが、動く事はなかった。

 それを見てすかさずジャンプし、銀龍の背中から降りる。


 そして……


 ≪銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫専用のエフェクトなのだろうか。


「ジュワーー」


 と銀龍の身体から湯気が立ち昇り、肉の塊がボロボロと崩れ落ちて行く。気が付けば≪銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫の身体は朽ち果てて、肉片になり地面に転がっていた。そこには赤く染められた液体が広がる。


 そして、肉片はポリゴンの破片となり、砕けては空中を舞い踊るかのように散って行った。それと同時に、空洞の奥に黄色に輝く魔法陣が張られ、≪銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫が散って行った場所には宝箱が現れた。


「えっ……?倒せたの!?」


 頭の中で通知音が響き、パネルが表示される。


『スキル【毒耐性 中】から【毒完全無効】になりました』


【毒完全無効】

全ての状態異常『毒』を完全に無効化する。

取得条件

状態異常『毒』を受けて一定時間耐えること。


「ここで【毒完全無効】になったってなぁ!?」


 そのパネルが閉じられ、逆さま現れた宝箱の方へと向かい、その宝箱を開ける。

 すると、中にはひとつの巻物が置かれていた。そして通知音が鳴り響いては、パネルが展開された。


『スキル【銀龍使い】を取得しました』


【銀龍使い】エクストラ・スキル

銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫を召喚して、自由自在に操れる。特に使用制限は無い。

『固有スキル』

【ポイズン・メテオ】:≪銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫の口から猛毒の毒液・毒ガスを吐き出し、敵を攻撃する。

【トルネード】: ≪銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫の翼から生み出される竜巻で攻撃する。

取得条件

銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫を単独で初回討伐した者のみに贈られるスキル。


「これって……あの≪銀翼のシルバー・毒龍ベノムドラゴン≫を召喚出来ちゃうのね!?……【毒完全無効】にアップして良かったわ!!」


 呑気に歩きながら、空洞の奥に現れた魔法陣に向かう。


「これ…なんだろ!?」


 張られた魔法陣に向かい、手を差し伸ばしてみる。

 すると……


『入場すると【始まりの街】に戻ります』


「これ、テレポート出来るのか!?【始まりの街】に戻るかな?明日はアプデだし!!」


 そして、その魔法陣の中に入ってみる事にした。

 オレの身体は吸い込まれて行くように……次第に視界は真っ暗になり、闇に覆われた。

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